農家3年目ですが、初めてほうれん草栽培を始めようと考えています。
播種から収穫までが期間が短いことに魅力を感じており、うまくできれば主力にしていきたいと考えています。
初めからうまくできるとは思っていませんが、試行錯誤しながらやっていくつもりなので、まずは基本をしっかりと押さえておきたいです。
ほうれん草の栽培方法やコツ、注意点など基本的なことになりますが、アドバイスをいただけると嬉しいです。
農家3年目ですが、初めてほうれん草栽培を始めようと考えています。
播種から収穫までが期間が短いことに魅力を感じており、うまくできれば主力にしていきたいと考えています。
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渡會那央
わたらい農場 代表
ほうれん草栽培は秋なら約1か月〜40日!温度管理と一斉発芽がポイントです
ほうれん草の栽培特性
まずはほうれん草の栽培上の特徴について、確認しましょう。
生育サイクルは約1~2ヶ月
ほうれん草は播種から収穫までが「約1~2ヶ月」という野菜です。
生育適温は「10~20℃」で、気温が高い季節ほど生育スピードが速く、寒い時期ほど緩やかになります。
栽培期間は春や夏なら25〜30日、冬なら40〜50日程度。
寒ちぢみほうれん草などの極寒期に栽培する品種でも最長で2ヶ月ほどです。
栽培適温についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草栽培の温度管理について教えて。特に注意が必要なポイントは?」
初心者農家には秋まきが基本
品種開発や栽培技術の進展により、ほうれん草は日本ではほぼ年間を通して出荷されていますが、「初心者農家には秋まきが基本」と覚えておいてください。
その理由は、ほうれん草が寒さに強く暑さに弱いことに加え、昼間の日の長さが品質に影響するためです。
春まき品種は、初心者農家には難易度がやや高い可能性があるでしょう。
秋まきでの栽培方法についてはこちらをご覧ください
「初めてのほうれん草栽培で、秋まきがいい理由は?」
ほうれん草の栽培方法
基本的なほうれん草の育て方を詳しく説明しましょう。
土作り
まずは土作りです。
ほうれん草は土壌が酸性だと上手く育たないため、まずは畑の土に調整を加えます。
具体的な作業としては、
・植え付けの1ヶ月~半月前までにpHを調整する為石灰を混ぜ入れる
・植え付けの1週間前を目安に堆肥と元肥を入れる
ことが必須です。
発芽後に追肥を与える工程はありません。
種まき前にしっかりと、土壌に栄養を与えておくことが重要です。
土作りや露路栽培の方法についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草栽培の土はどう作る?土壌調整で気をつける点を教えて」
「ほうれん草を栽培する土壌phの適正範囲は?」
「ほうれん草を栽培したい!露地で育てるにはどうすればいい?ポイントは?」
「ほうれん草の栽培では追肥はいる?いらない?」
播種
そして播種の作業です。
よく湿らせた土壌に「すじまき」でまきましょう。
これは土の表面に深さ1cmほどの線状の溝を作り、その中に等間隔に種をまく方法です。
ほうれん草の種は硬い殻に覆われているため、品種や栽培時期によっては「芽出し処理」を行うとよい場合があります。
なお発芽タイミングをできるだけ早く、均一に揃えるのも、ほうれん草栽培のコツの1つです。
播種の手順や発芽についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草栽培の播種する時期はいつ頃?方法やコツも教えてほしい」
「ほうれん草栽培の発芽のポイントは?芽出し処理についても教えて」
「ほうれん草が発芽しないのはなぜ?上手に発芽させる管理方法は?」
温度と水分管理
秋・冬まきの場合、特に11月下旬から2月いっぱいは、気温・地温が低くなりすぎないよう、トンネルやハウスでの栽培を検討してください。
また水のやり方にも注意が必要です。
まず第一に、種が土の中で乾燥してしまうと発芽しません。
播種から発芽までは、常に土が乾かないようにしましょう。
発芽後は一転して水分を控え、乾燥気味の環境で育てます。
生長段階に応じた水の与え方についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草の栽培で行う水やりのポイントは?」
発芽させるための温度管理についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草を上手く発芽させるための温度条件とは?」
収穫・出荷
品種にもよりますが、一例として草丈20〜30cmほどになったら、根元をカットして収穫します。
収穫1週間ほど前からは、出荷後消費者に届くまでの腐敗を防ぐ目的で、土壌水分を少なめに保ちます。
また直前の一定期間は、作物内に農薬成分を残さない配慮も必要です。
農薬の使い方についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草栽培で知っておくべき農薬を教えて」
ほうれん草栽培の注意点
最後にほうれん草を育てるにあたって、特に気をつけるべき点が3つあります。
気をつけたい病害虫、防除方法
ほうれん草は他の葉野菜と比較すると害虫が付きにくい作物です。
とはいえ病害虫への対策を怠ってはいけません。
過剰施肥は植物の従長を引き起こし、病害虫に弱くなります。
最重要病害は「べと病」です。
品種選びの際に、できるだけ幅広いレース(変異して現れる病原菌のタイプのこと)に抵抗性のあるものにしましょう。
害虫には、アブラムシやヨトウムシ、メイガ、コナダニ、アザミウマなどがいます。
病害虫の防除についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草栽培ではアブラムシをどう防ぐべき?必要な対策を教えて」
「ほうれん草が萎凋病に感染した場合の症状や対策を知りたい」
酸性土壌は厳禁
ほうれん草は酸性の土壌では育ちません。
日本は雨が多く土が酸性に偏りがちであるため、播種前の土壌調整はしっかりと行ってください。
さらに土壌の状態がほうれん草の品質や収量を左右することから、栽培前に土壌診断を受けるのがおすすめです。
病害虫対策も兼ねて、土壌消毒も行っておくと安心です。
酸性土壌を避けるべき理由や調整方法などはこちらをご覧ください
「ほうれん草栽培で石灰は必要?効果と正しい使用方法は?」
冬まき・春まき品種で気をつけること
ほうれん草の栽培のコツとして、「一斉発芽」「土壌調整」に並んで大切なのが「品種選び」です。
基本は秋まきと考えた上で、冬まきや春まきの品種栽培に取り組むときには、時期や場所の温度条件に適した品種を選ぶようにしてください。
冬まきの品種例や選び方についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草の冬越し栽培の方法は?品種や収穫のコツを教えて」
「ちぢみほうれん草(寒じめほうれん草)の栽培方法に興味があります」
また、ほうれん草は、温度のほかに光の影響も受けます。
特に春まきでは、味や食感を損ねる「とう立ち」の原因となるため、遮光ネットなどを用いて光の管理にも注意してください。
とう立ちを防ぐ方法についてはこちらをご覧ください
「ほうれん草を栽培するのに日当たりは重要ですか?」
このお悩みの監修者
渡會那央
わたらい農場 代表
長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。