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ほうれん草の栽培で連作をするにはどうすればいい?

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ほうれん草の栽培で連作をするにはどうすればいい?

ほうれん草は比較的短い期間で収穫できるので、新たに栽培品目に追加しようと考えています。

ただあまり広い農地ではないので、連作障害が心配です。

連作障害を起こさないための栽培計画や対策について教えてもらえないでしょうか?

また、ほうれん草をたくさん収穫するためには、どのように計画するのがベストでしょうか。

渡會那央

わたらい農場 代表

ほうれん草の連作は、土壌診断などを利用し、正しく肥料を与えましょう

ほうれん草は周年栽培できる野菜


ほうれん草の魅力は、種まきから収穫するまでの日数が短く、工夫すると年間を通じて何度も栽培できることです。

連作計画を立てやすい作物ですが、安易に連作してしまうと連作障害や土壌病害による収量や品質の低下を招くため注意が必要です。

ほうれん草は種まきから収穫までの期間が短い


ほうれん草の種まきから収穫までの期間は1~2カ月ほどです。成長の早い春や夏では25〜30日、冬でも40~50日程度で出荷できます。

一例として、40日で収穫する場合の種まきからの経過日数の目安は以下の通りです。

・種まき
・発芽・・・5~7日
・本葉2~3枚・・・15日
・本葉8~10枚・・・30日
・草丈22~25cm・・・40日(収穫適期)


種まき後に苗を植え替える必要はなく、追肥も必須ではありません。


周年栽培とは


ほうれん草は、季節に合った品種を選んだうえでハウス栽培やトンネル栽培などの方法を組み合わせると、ほぼ周年栽培(季節を問わず、年間を通じ栽培すること)が可能です。

ただし寒さに強く暑さに弱いので、夏まきは冷涼な地域に限定されます。初心者農家が一般的な気候の地域(中間地・暖地)で露地栽培を始める場合は、秋まきがおすすめです。


栽培スケジュールの一例


ほうれん草の栽培スケジュールの例は、以下を参考にしてください。

春まき品種 種まき:3月~6月、収穫:4月~7月
夏まき品種 種まき:6月~8月、収穫:7月~10月 ※冷涼な地域のみ
秋まき品種 種まき:9月~10月 収穫:10月~3月



ほうれん草の連作障害と土壌障害


ただし同じ作物を同じ場所で繰り返し栽培すると、ほうれん草も連作障害を起こします。

ほうれん草が特定の養分を使い果たして土壌中の栄養バランスが偏るほか、多様であることが生長にいい影響を与える、微生物の生態系バランスも崩してしまいます。その結果、その作物を好む病害虫が付きやすくなります。

連作は最重要病害「べと病」の発生リスクを高める


ほうれん草の最重要病害といわれるのが「べと病」です。

最初は葉の表面に黄白色の斑点が出現し、進行するとそれが拡大して株が枯れてしまいます。

原因は土壌中の糸状菌(カビ)で、気温が10~20℃、春先や秋の雨や曇りが続いた後など、湿度が高い畑に多発する傾向があります。

連作によって土壌に窒素成分が蓄積することが、発生リスクを高める一因になります。


立枯病や萎凋病といった土壌病害にも注意が必要


ほうれん草では連作障害のほかに「土壌病害」と呼ばれるトラブルがあります。土壌病害は、連作によって土壌中に増えた病原菌が、植物に侵入・繁殖しやすくなることから起こります。

ほうれん草が発芽して間もなく、濡れたようにしおれて倒れてしまう「立枯病(たちがれびょう)」や、下のほうの葉が黄色くしおれてくる「萎凋病(いちょうびょう)」も、土壌病害の一種です。


連作障害を起こさないためには?


連作障害や土壌病害を起こさないためには、まずは「同じ場所で連作しないこと」が最も基本的かつ有効な対策となります。

それに加えてさらに良質なほうれん草をたくさん収穫するため、以下の3点を検討してください。

栽培前に土壌を消毒する


栽培前に土壌を消毒すれば、中にいる病原菌や害虫がいなくなるので、トラブルの可能性を減らすことができます。

消毒を行う時期は、ほうれん草栽培が落ち着いていて土壌を休ませるタイミングである夏季、梅雨前後が良いでしょう。

殺菌作用のある薬剤を直接混ぜ入れる方法や、太陽熱消毒(透明なビニールを土の上から張り、3週間〜1ヶ月以上放置し太陽の熱で殺菌、菌密度を減らす方法)、くん蒸(くんじょう=土に気体の薬剤を浸透させる)などの方法があります。


土壌診断を受け、状態に応じた適切な肥料を与える


土壌診断を受けて土の状態をしっかり把握しておくことも有効です。特にほうれん草は追肥が必須でない分、種まきした時点での土の栄養状態が収量や品質に直結します。

土の中の養分バランスを知るこが、ほうれん草が必要とする栄養分を適切に与えるヒントとなります。

例えば、何も調べずに標準的なバランスで元肥(もとごえ=栽培開始前にあらかじめ与える肥料)と堆肥(たいひ=わらや糞などの有機物を微生物の力で分解した農業資材)を与えたところ、窒素過多になって病気が発生した…というようなミスがよくあります。

土壌診断は地域のJAやホームセンターで受けられるので、相談してみてください。


コンパニオンプランツの活用もおすすめ


「できるだけ薬剤に頼らずに健康でおいしいほうれん草を育てる」方針の農家では、コンパニオンプランツ(一緒に植えるとお互いが健康的に生長するのに良い影響を及ぼす植物や、その組み合わせのこと)を活用している人もいます。

ほうれん草と相性が良い野菜は、ネギ、ニンジン、ゴボウなどです。

一例として、ネギ類は根にいる微生物の働きでほうれん草の萎凋病の発生を抑えてくれるほか、互いの生育を促進する効果が認められています。

またほうれん草の後作には、サツマイモや枝豆が良いとされています。

興味のある方は、どの作物がどのような点で良い影響をもたらすかを調べてみてはいかがでしょうか。

ほうれん草の後作におすすめの作物についてはこちらをご覧ください
ほうれん草の後作には何がいい?相性の良い作物・悪い作物が知りたい


このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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