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ほうれん草栽培で石灰は必要?効果と正しい使用方法は?

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ほうれん草栽培で石灰は必要?効果と正しい使用方法は?

来年の計画を立てていて、次はほうれん草の栽培をやってみようかと検討しています。

これまで葉物は育てたことがないため、初めてのチャレンジです。

まずは土づくりから準備をしようと思いますが、「ほうれん草は酸性の土では育たない」と聞いたので、石灰を使おうかと考えています。

もし注意点があれば、教えてほしいです。

渡會那央

わたらい農場 代表

酸性土壌ではほうれん草は発芽・生長しないため種まき前に石灰を混ぜ込み中和します

ほうれん草畑に石灰を混ぜ込む理由


まずはほうれん草を育てる場所に石灰が必要な理由を確認しておきましょう。

酸性土壌とは


土壌酸性度(土壌pH)はほうれん草栽培にとって重要な条件です。

最適な土壌pHは「6.3〜7.0」で、これは「中性」の範囲に当たります。土壌pH「5.5以下」だと「弱酸性~酸性」にあたり、ほうれん草は上手く育ちません。

酸性土壌でほうれん草を栽培すると、次のような事態につながります。

・根から株へ、必要な養分が効率的に吸収されなくなる
・ほうれん草にとって有害な土壌内のアルミニウムが、株の中へ溶け出しやすくなる


ほうれん草栽培に適したphについてはこちらをご覧ください
ほうれん草を栽培する土壌phの適正範囲は?



石灰を土壌に混ぜ入れる効果


ほうれん草の種まき前に石灰を土に混ぜ入れることによって、土壌pHを中和することができます。

酸性土壌のまま種まきすると、本葉(ほんよう=子葉の次に現れる丸い葉)が2~3枚開いた頃に葉が黄色く変色して、それ以降生育がストップしてしまうことがあります。

あらかじめ土壌を調整しておけば、そのような事態を防げます。


ほうれん草を育てる土壌への石灰の入れ方


続いて、ほうれん草の畑に石灰を入れる具体的な手順について説明しましょう。

土壌診断で土壌酸性度を把握する


まずは栽培前に、土壌の酸性度をできるだけ正しく把握する必要があります。

土壌診断を受けると、土の中の栄養バランスも同時に把握できるでしょう。

土壌診断については、まずは地域のJAやホームセンターへ相談してみてください。


苦土石灰がおすすめ


土壌酸性度の調整用資材としてよく使われるのは、「苦土石灰(くどせっかい)」です。

ドロマイトという鉱物から作られており、石灰と苦土(マグネシウム)を含みます。

苦土石灰は効き目が穏やかなアルカリ性のため、土壌に混ぜるとちょうどいい酸性度になるのです。

ちなみに「消石灰(しょうせっかい)」という石灰もありますが、こちらは「強アルカリ性」。

即効性に優れる反面、直後に植えたり種まきしたりすると、作物が肥料焼けを起こすリスクがありますが、冬季に散布したり(3ヶ月以上栽培しないのであれば)、苦土が十分あるのであれば、期間を考慮して、消石灰を散布しても良いでしょう。

消石灰は肥料中の窒素成分と結合すると土壌中でアンモニアガスが発生します。

ほうれん草の根を傷めないよう、苦土石灰を選ぶことが望ましいでしょう。


時期は種まきの1カ月前~半月前が目安


混ぜ込む時期は「植え付けの1カ月から半月前」が目安です。

苦土石灰を入れたからといって、すぐに酸性度が中和されるわけではありません。

土壌に浸透して作用する時間を考慮すると、この時期が最適です。


石灰の分量は1㎡あたり100~150g


分量の目安は「1㎡あたり100~150g」程度を基準にするのが良いでしょう。

畑の土壌pHが高め(=中性寄り)であれば少なめに、低め(=酸性寄り)であれば多めに調整してください。


石灰の具体的な入れ方


苦土石灰を畑の全面にまんべんなく与えてください。

手作業であれば一握りが50gほどなので、2~3回握ってまく計算です。

まいた後は土によくなじむように、深く耕しましょう。

ほうれん草は直根性(ちょっこんせい=地中に深くまっすぐ伸びる)の性質を持つので、できるだけ深くまで、柔らかな状態にしておくと良いでしょう。

基本的な栽培方法や栽培特性についてはこちらをご覧ください
ほうれん草の栽培の大まかな流れと、うまく育てるコツや注意点を教えてください



石灰を入れる前後に気をつけたい土壌管理のポイント


最後に土壌管理のポイントを、栽培を始める前、栽培中、栽培後の3つの段階ごとに解説します。

栽培前:土壌診断に基づいて適切な元肥を与える


ほうれん草は種まきから収穫までの時間が短いため、生育が芳しくないときに、追肥などで後からリカバリーすることが困難です。

栽培前の土の状態をよく知り、できるだけ理想的な栄養バランスの土壌で栽培を始めるのが成功のコツの1つです。

まずは土壌診断を受けて、それに基づいて適切な量や比率の肥料計画を立てましょう。


栽培中:生長段階に応じて上手に土壌水分を調整する


種まき後は、土壌の水分管理がほうれん草の品質と生育を揃える鍵になります。

発芽を促進するためには、種の硬いカラが破れやすくなるよう、土が乾かない程度にたっぷり水やりします。

発芽後は乾燥気味に育てますが、葉の生育期には水分不足を起こさないように、適度に水やりしなくてはいけません。

さらに畑の場所によって水分量にムラが出ないよう、均質に管理するのも重要なポイントです。

水やりのポイントについてはこちらをご覧ください
ほうれん草の栽培で行う水やりのポイントは?



栽培後:収穫後は土壌消毒する


栽培後には土壌を消毒するのもおすすめです。

中にいる病原菌や害虫を一度死滅させれば、次の作物を安心して育てられます。

土壌消毒には、薬剤を混ぜ入れたり、太陽熱や蒸気の高温にさらす方法などがあります。

土作りについてはこちらもご覧ください
ほうれん草栽培の土はどう作る?土壌調整で気をつける点を教えて

このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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