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ほうれん草の種まき時期はいつ頃?播種(種まき)の方法やコツも教えてほしい

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ほうれん草の種まき時期はいつ頃?播種(種まき)の方法やコツも教えてほしい

都心部でサラリーマンをしていましたが、実家が農家なので、地元に戻って農家を継ぐを予定です。

父親は葉野菜を中心に育てていましたが、販路を広げようと思い、私は多品種を露地栽培する方針で動いています。

いま作付け計画を立てているところなのですが、秋から冬にかけて比較的時間に余裕がありそうなので、ほうれん草の栽培をやってみようかと考えています。

知り合いのほうれん草農家さんたちに聞いてみたのですが、ほとんどの方が施設栽培をしているので、露地栽培については言うことがバラバラで、正確な情報がわかりません。

ほうれん草の種まきの時期や方法について、大まかな流れを教えてもらえますか?

渡會那央

わたらい農場 代表

ほうれん草栽培は、秋まきが主流ですが春まきも可能。一斉発芽させるのが成功の鍵

ほうれん草の種まき適期は「冬以外」


ほうれん草は種まきから収穫までが約1~2カ月と、栽培期間が短い野菜です。暑さに弱く冷涼な土地を好みます。

日本にはほうれん草のさまざまな作型(=栽培条件や栽培技術、もしくはその組み合わせ)があり、そのためほぼ1年中収穫が可能です。

ほうれん草には春まき・夏まき・秋まきがある


一般的にほうれん草は「春まき」「秋まき」品種が主流で、現在は「夏まき」を含めた3種類があります。

細かなスケジュールは品種や地域によって異なりますが、種まきと収穫のタイミングをおおまかにまとめると以下の通りです。

・春まき 3月~6月に種まき、4月~7月に収穫
・夏まき 6月~8月に種まき、7月~10月に収穫
・秋まき 9月~10月に種まき、10月~3月に収穫


平地での露地栽培では秋まきが中心となるでしょう。ハウスやトンネルを活用して、1年のうちに複数回栽培することも可能です。

露地栽培の方法はこちらをご覧ください
ほうれん草を栽培したい!露地で育てるにはどうすればいい?ポイントは?



時期に適した栽培品種を選ぶのがポイント


おいしいほうれん草をたくさん収穫するためには、まずは栽培時期に適した品種を選ぶのが基本です。

秋まきであれば低温でも生育する低温伸長性(ていおんしんちょうせい)の品種、夏まきであれば高温でも生育する高温伸長性(こうおんしんちょうせい)の品種というように、時期に合ったものがあります。

中間地や暖地であれば、気温が低くなっていく秋まき品種が最も育てやすいでしょう。

冬越し栽培についてはこちらをご覧ください
ほうれん草の冬越し栽培の方法は?品種や収穫のコツを教えて



播種(種まき)の手順


それでは種まきの進め方を説明します。

ほうれん草は畑に直まきで育てます。生育が早く、根が地中に深くまっすぐ伸びる「直根性(ちょっこんせい)」の植物なので、生長に伴う移植作業はありません。

種まきの手順1 畝立て


まずは畑に畝(うね=苗を植えるために土を盛って作る、細長く直線状の山)を立てます。

畝の幅は一般的に約60〜90センチメートルにすることが多いです。まき溝の間隔(=条間)は15~25センチが標準なので、畝幅を算出するには、畝1列に対して何条の溝を設けるかを計画すると良いでしょう。

トンネルやマルチ(土壌の保湿などのため畝を覆う資材)をかけて栽培しやすいのは、畝幅60~90センチです。この場合は4~6条植えとなります。一方、幅180〜200センチの畝に7〜8条植えする農家もいます。


種まきの手順2 まき溝を作って種をまく


続いて、土の表面に「まき溝」を作って種をまきます。前日のうちに土に水やりをして湿らせておきましょう。発芽まで土壌を乾燥させないのが、発芽率を上げるポイントです。もしくは雨が降った後の日に種まきするのも一案です。

ほうれん草の種は、手作業であれば溝の中へ1~2センチ間隔でまいてください(=すじまき)。

発芽から生育期にかけて間引きながら、適度な株間を調整していきましょう。

播種機(はしゅき=種まき機)を使う場合、設定する株間は春・夏まきと秋まきとで異なります。秋まきが4〜7センチに対し、春・夏まきでは7〜8センチ必要です。

生育が旺盛な春・夏まきで秋まきと同じ間隔にすると、1株あたりの範囲が狭すぎる状態につながります。

葉の色が淡く厚さが薄い、低品質なほうれん草になってしまうので注意しましょう。

間引きのタイミングについてはこちらをご覧ください
ほうれん草の間引きはどのタイミング?注意点も教えて



種まきの手順3 土の鎮圧や水やりなど


種をまき終わったら溝には土を寄せてかぶせ、しっかり水やりをして上から鎮圧してください。土の水分が逃げないようにするためです。

発芽までは乾燥しないように、水やりに気を配りましょう。毎日土壌水分計(pFメーター)などでチェックするのも有効です。

ほうれん草は種まきからおよそ5~7日ほどで発芽します。

水やりの重要性や気をつけたいタイミングについてはこちらのページも参考にしてください。


発芽を揃えることが上手く育てるコツ


おいしいほうれん草をたくさん収穫するコツは「できるだけ早く、一斉に発芽させること」です。

発芽率を上げるには?


発芽率を上げるポイントの1つ目は、土壌水分の確保です。土を十分に湿らせて、種に土が密着する状態を作りましょう。

そのため、種まきの前日ではなく10日前頃から土に十分な水を与えて湿らせ、深く耕しておくベテラン農家もいます。

2つ目は、種の深さや間隔がバラバラになりすぎないことです。

まき溝の深さ、種をまく間隔、まいた後に寄せて鎮圧する土の量など、すべての条件ができるだけ均一になるようにに目指しましょう。程度にムラがあると、上手く発芽が揃いません。

春まきの場合は気温が低いので、不織布をべた掛けするなどで土壌を保温すると良いでしょう。

ほうれん草の栽培適温についてはこちらをご覧ください
ほうれん草栽培の温度管理について教えて。特に注意が必要なポイントは?



春~夏まきは発芽処理が有効


ほうれん草の種は硬い皮に覆われており、そのままでは発芽しにくい性質を持っています。

春・夏まきでは、種を水に浸して発芽を促進する処理も有効です。水を吸った種の外皮は柔らかくなり、土壌中でも水分を吸収しやすくなります。

ただし最近では発芽しやすいよう改良した種子も開発されており、そうした種を選べば発芽処理は不要です。

このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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