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ほうれん草を栽培したい!露地で育てるにはどうすればいい?ポイントは?

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ほうれん草を栽培したい!露地で育てるにはどうすればいい?ポイントは?

畑の輪作計画の中に、短期間で収穫できるほうれん草も取り入れようと考えています。

うちは露地栽培をしているので、ほうれん草も露地でやろうと考えていますが、どういったことに注意すればいいでしょうか?

また、通年栽培するためにトンネル栽培も併用して行うこと検討しており、その辺りの情報も探しています。

渡會那央

わたらい農場 代表

ほうれん草の露地栽培は秋まきがおすすめ!土壌の乾燥に要注意を

ほうれん草のさまざまな栽培スタイル


栽培技術の進展や品種開発によって、ほうれん草はほぼ一年を通じて収穫できる野菜となりました。地域や季節によりさまざまな作型(=条件や技術の組み合わせによる作物の栽培体系)があります。

ほうれん草のおもな栽培スタイルを3つ説明しましょう。

露地栽培(トンネルなし)


まずはトンネルを使わないシンプルな露地栽培です。ほうれん草は種を畑に直まきして育てられます。

トンネルを使う露地栽培やハウス栽培と比較してコストがかからず、手軽に始められるのがメリットといえるでしょう。


露地栽培(トンネルあり)


続いては露地のトンネル栽培です。風を防ぎながら温度を調整して栽培することができます。防虫効果もあります。

地面や畝(うね=土を細長く直線状に作った山)に、半円またはアーチ型の支柱を立てて、透明シートで覆ったトンネルの中でほうれん草を育てます。

トンネルは寒冷地での栽培や早春などの季節に、植物を寒さや霜から保護するのに役立ちます。また露地栽培よりも、害虫被害や土壌水分の蒸発を抑える効果もあります。

ただしトンネル内は高温・高湿度になりやすいため、気候や天気によって温湿度を適切に管理する必要があります。


ハウス栽培(雨よけ栽培)


ほうれん草はハウス栽培も可能です。

ハウス栽培のメリットは、降雨や強風による影響を受けず、ほ場の温度や土壌水分量などを均質に管理できることです。

特に夏季は土の湿度が上がることから降雨による病気(立ち枯れ病、株腐れ病、萎凋病)には効果的と言われています。

一方デメリットには、ハウス資材や水やり装置などにコストがかかること、台風等に遭うと損失が出ること、湿気がこもると病害虫が発生しやすいこと、場所が固定されるため連作障害が起こりやすいこと、などがあります。


ほうれん草の露地栽培で知っておきたいポイント


ほうれん草は露地栽培が可能ですが、気温や水分の管理には注意が必要です。特に次の3点を意識してください。

露地栽培が適している時期は9月から翌5月


一般地でほうれん草の露地栽培に適しているのは、9月から翌5月頃の秋まき、春まき品種です。

ただし近年は、気候変動の影響で9月でも高温日が続く場合があるため、必ずしもこの限りではありません。

気温を元に判断しましょう。


11月から4月はトンネル設置がおすすめ


地域にもよりますが、露地栽培の適期のうち、気温が下がる11月から4月中旬頃は、トンネルを設置すると安心でしょう。

特に冬場はトンネルが必須です。

ただし気温が上昇し始める2月から3月は、トンネル内が高温になりすぎないように気を配ってください。

天気予報をチェックするほか、日中の日射しの様子を見て、換気などで調整してください。

トンネル栽培のメリットや詳しい設置方法についてはこちらをご覧ください
ほうれん草の冬越し栽培の方法は?品種や収穫のコツを教えて



土壌の乾燥に注意が必要


露地栽培では土壌の乾燥に注意が必要です。

ほうれん草は生長段階によって水分管理のポイントが異なります。中でも発芽期には、土壌を常に湿らせておくことが大切です。

特に水分が蒸発しやすい露地栽培では、この時期に土が乾燥してしまわないようにしっかり水やりをしましょう。



トンネルを立てる前後は寒冷紗などのベタ掛けも有効


夜間の冷え込みが気になるものの、トンネルを設置するほどでもない時には、「ベタ掛け」も有効です。

これは畝に直接不織布や寒冷紗をかぶせて、寒さを緩和するものです。

ベタ掛けには、害虫被害やとう立ち(花芽が付いた茎が伸びて、味や食感を損なう現象)が起こりにくくなる効果もあります。

一般地では10月頃から使用する農家が多いです。


ほうれん草の露地栽培の大まかな流れ


最後に、ほうれん草の露地栽培の手順について簡単に紹介します。詳しくはそれぞれの関連ページをチェックしてみてください。

1、土作り:土壌の酸性度調整、元肥・堆肥入れ


ほうれん草は酸性の土壌だと育ちません。種まきの1カ月から半月前に、土壌に石灰を入れて土壌の酸性度を調整しておきます。

2週間前には、元肥(もとごえ=栽培開始前にあらかじめ与える肥料)と堆肥(たいひ=糞などの有機物を微生物の力で分解した農業資材)を入れて耕しましょう。

2、種まき:均一な間隔・深さで


種は、土壌に1センチメートル程度の深さの溝を作り、そこへできるだけ均等間隔にまきます(=すじまき)。

まいた後はしっかり水やりし、発芽までずっと土が湿った状態を保ちます。

播種の方法やコツはこちらをご覧ください
ほうれん草の種まき時期はいつ頃?播種(種まき)の方法やコツも教えてほしい



3、間引き・栽培:正しい株間と水分を保つ


発芽後は2回間引きを行い、正しい株間、水分を保ちながら育てます。

ほうれん草は収穫までの期間が短く、1株ごとに手入れをするような時間的余裕はありません。

限られた畑で高品質なほうれん草を多く収穫するためには、できるだけ均質に、適切な手入れをするのがポイントです。

間引きのタイミングや株間についてはこちらをご覧ください
ほうれん草の間引きはどのタイミング?注意点も教えて

このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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