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ほうれん草栽培ではアブラムシをどう防ぐべき?必要な対策を教えて

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ほうれん草栽培ではアブラムシをどう防ぐべき?必要な対策を教えて

少量多品種を栽培している就農2年目の農家です。

まだこれからの段階ですが、徐々に圃場を拡大しようと思い、新しく借りた畑で、今年からほうれん草栽培も始めたいと思っています。

いまは作付け計画を立てている段階ですが、昨年育てていたキャベツやレタスがアブラムシの被害を受けてきたので、徹底防除したいです。

ほうれん草の栽培で、アブラムシの被害を防ぐために、気をつけるべき点について教えてください。

渡會那央

わたらい農場 代表

ほうれん草のアブラムシ対策は、薬剤やトンネル栽培で寄せつけない工夫を!

ほうれん草とアブラムシの基礎知識


まずは、ほうれん草とアブラムシについて、押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。

特に気をつけたいのは春と秋


近年、ほうれん草はさまざまな作型(栽培条件や栽培技術、もしくはその組み合わせ)により、ほぼ1年中栽培が可能になっています。

秋まきが基本ですが、春に育てられる品種もあります。暑さに弱いので夏は栽培に向きません。

このうち特にアブラムシの被害に遭いやすいのは、春と秋です。

気温などの条件がアブラムシの活動時期に重なるためです。

圃場の周りにある草、ナズナなどアブラナ科の草で繁殖を続け、ほうれん草にも寄ってきますので、春は草対策をしっかり行うこともポイントです。


ほうれん草に加害するアブラムシの種類


ほうれん草に特によく付くアブラムシは、「モモアカアブラムシ」や「ワタアブラムシ」です。

モモアカアブラムシはキャベツやレタス、ナスやピーマンなどの野菜のほか、果樹や花などさまざまな植物に広く寄生します。

体長は0.5~2ミリメートルほどの大きさで、体色は赤みのあるものだけでなく、薄緑色や、黒色の個体もいます。

ワタアブラムシも同様に多くの植物に被害をもたらすアブラムシの1つで、体長は1~2ミリ、主に緑や緑がかった黒色をしています。


ほうれん草のアブラムシ被害


続いてほうれん草のアブラムシ被害の症状や、厄介なポイントを説明しましょう。

葉から汁を吸って株を弱らせる


アブラムシは植物の中の汁を吸います。1匹や数匹程度であれば問題ありませんが、短期間に大繁殖するため、発見や対処が遅れると大量発生を招きます。

集団で吸汁することで、葉が変形したり萎れたりします。また成長点に届けられるべき栄養を奪い、株全体の生長を遅らせます。


病気のウイルスを媒介する


より厄介なのが、病気のウイルスを媒介することです。

汁を吸ったアブラムシは、甘露(かんろ)と呼ばれる甘い液体を排泄します。

すると今度は、甘露をエサにするウイルスが葉や茎に発生するリスクが高まるのです。

中でも「モザイク病」は、アブラムシの影響と分けては考えられません。発症した株の葉には、黄色や淡緑色のモザイク状の斑点が現れます。

葉がカビで黒ずむ「すす病」も、甘露に集まるウイルスが原因です。


ほうれん草栽培でのアブラムシの防除方法


それではアブラムシの防除方法を具体的に4つ紹介します。どれか1つだけを選ぶのではなく複数を組み合わせると、より高い効果が期待できます。

1、薬剤を使う


「アクタラ」「アディオン」「アルバリン」「ウララDF」「スタークル」「ダントツ」「マラソン」など、アブラムシに有効な農薬は多数あります。

水溶液を散布するか、土作りのときに粒剤を混ぜ込むなどで、飛来や増殖を防げます。


2、トンネルやベタ掛けで栽培する


トンネル栽培やベタ掛けを利用すると、物理的にアブラムシがほうれん草に寄りつきにくくなります。

トンネル栽培は、畝(土を細長く直線状に作った山)にアーチ型の支柱を立て、フィルムやシートで覆った空間の中でほうれん草を育てます。

ベタ掛けは、寒冷紗(遮光や防寒効果のある化学繊維の布)などで植物を直接覆います。

トンネル栽培のメリットや設置方法はこちらをご覧ください
ほうれん草の冬越し栽培の方法は?品種や収穫のコツを教えて



3、マルチ栽培で反射シートを利用する


アブラムシは、キラキラする光や白色を避ける性質があります。

したがって、畝をフィルムやシートなどで覆うマルチ栽培では、アブラムシが嫌う資材を用いると良いでしょう。

マルチ栽培には土壌の温度・湿度、柔らかさを維持したり、肥料の流出を防ぐ利点もあります。


4、粘着トラップを導入する


粘着トラップも害虫対策に役立つアイテムです。

アブラムシは黄色を好むため、黄色い板やテープに誘引して、強力な粘着物質の力で吸着します。

捕獲の目的以外に、モニター装置として採用する農家もあります。定期的にチェックすれば、もし発生しても数の少ない段階でアブラムシに対処することが可能でしょう。


アブラムシの被害を出さないために気をつけたいこと


最後に、アブラムシ被害を出さないための注意点について確認しておきましょう。

まずは害虫が住みつきやすい環境を作らないことが第一です。雑草はこまめに取り除きましょう。

また、葉の裏など見逃しやすい箇所も定期的にチェックして、早期に発見・対処してください。

ほうれん草は生育スピードが早く、一度発症した株や葉を回復させることは困難です。

また、モザイク病には有効な薬剤がありません。病害の発生はそのまま収量低下に直結します。

したがって害虫対策は予防に注力しましょう。

畑や周辺は清潔に整え、草の対策、土壌へ薬剤散布をしておくなど、種まき前の行動が重要です。

このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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