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ほうれん草栽培で知っておくべき農薬を教えて

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ほうれん草栽培で知っておくべき農薬を教えて

結婚を機に、義理の両親がやっているほうれん草畑を私たち夫婦が引き継ぐことになりました。

私はこれまで農作業の手伝いをしたことがあるくらいで、知識もこれから勉強しなければなりません。

義両親が大切にしてきたほうれん草畑を守っていこうと思いますが、以前病害虫で大きな被害を出したことがある畑なので、まずは農薬について学んでいきたいです。

ほうれん草の慣行栽培でよくある病害や農薬について、基本的なことを教えてもらえないでしょうか?

渡會那央

わたらい農場 代表

ほうれん草の病害虫防除に有効な農薬をご紹介します

ほうれん草によく付く害虫と防除効果のある農薬


まずはほうれん草の大敵である病害虫の種類を押さえておきましょう。

気をつけたい害虫はヨトウムシ、メイガ、コナダニ、アブラムシなど、おもな病気にはべと病、モザイク病、炭疽病(たんそびょう)、萎凋病(いちょうびょう)などがあります。

ヨトウムシ類に効果のある薬剤


ハスモンヨトウを初めとするヨトウムシ類は蛾の仲間で、ほうれん草の代表的な害虫です。

漢字では「夜盗虫」と表記される通り、夜に裏から葉を食害するので、見つけづらいのが難点です。

発生を確認したら「アファーム乳剤」、「カスケード乳剤」「アニキ乳剤」「プレバソンフロアブル5」「ディアナSC」「コンフューザRV」等が有効です。


メイガに効果のある薬剤


シロオビノメイガなどのメイガ類も葉を食害します。

こちらも蛾の仲間なので、ヨトウムシ類と共通する薬剤を備えておくのも良いでしょう。

発生したらすぐに「カスケード乳剤」「パダンSG水溶剤」「スピノエース顆粒水和剤」等を散布してください。


コナダニ類に効果のある薬剤


ホウレンソウケナガコナダニは土壌の中で生息・増殖し、本葉が2~4枚の頃の新芽を食害します。

発見するのが難しく、気付いた時にはすでに手遅れとなっていることが多いため、事前対策として、堆肥には必ず完熟堆肥(かんじゅくたいひ=有機物を十分に発酵・分解したもの)を使用してください。

発酵・分解がな不十分(未熟)なものは使用しないようにするのが重要です。

発芽直後にコテツベイトを散布しておくことも効果的です。

心配な場合は土壌病害(土壌中に存在する病原体が根などから侵入したうえ、作物の中で増殖して起こる病気)の予防と併せて、栽培前に「ガスタード微粒剤」や「キルパー」などで土壌消毒しておきましょう。

発生してしまったら「アファーム乳剤」「スミチオン乳剤」「カスケード乳剤」や「ネコナカットフロアブル」などを散布してください。


アブラムシに効果のある薬剤


アブラムシ類は集団で植物の中の汁を吸い、株を弱らせます。

またウイルス病を媒介して病気を持ち込む点にも注意が必要です。

殺虫効果のある「アドマイヤーフロアブル」「トランスフォームフロアブル」などを散布して対処してください。

ほうれん草に加害するおもな害虫についてはこちらをご覧ください
ほうれん草で気をつけるべき害虫は?被害はどうやって見つける?



ほうれん草の代表的な病気と防除方法


続いて病気に防除効果のある薬剤を紹介します。

べと病に効果のある薬剤


ほうれん草の最重要病害として知られるのが「べと病」です。

土壌中の糸状菌(カビ)が原因で、葉の表面に黄白色の斑点が現れ、裏面にはカビが生えたように薄紫色になり、やがて株を枯らします。

まずはべと病に抵抗性のある品種を選び、排水が悪い場所で栽培しないようにしましょう。

発生後の対処には「アリエッティ水和剤」「ランマンフロアブル」「コサイド3000」「ピシロックフロアブル」「フェスティバル水和剤」などが有効です。


モザイク病の防除(薬剤なし)


「モザイク病」はおもにアブラムシによってウイルスが持ち込まれ、感染する病気です。

葉にモザイク状の模様が現れ、端が縮れたりしなびたりしてきます。

発生後に対処が可能な薬剤はありません。

媒介となる害虫が侵入しないよう、防虫ネットなどの対策が有効です。


炭疽病の防除(薬剤なし)


「炭疽病」も糸状菌(カビ)が原因で発症する病気です。

葉や茎に小さな斑点が現れ、拡大・融合して大きくなり、腐敗します。

乾燥すると穴があきます。

モザイク病と同様、発生後に使える薬剤がありません。

適切に間引きして密植状態にならないようにし、畑の湿度が高くなりすぎないようにしましょう。

肥料の与えすぎも原因の1つです。


萎凋病に効果のある薬剤


「萎凋病(いちょうびょう)」は、土壌中に生息する病原菌から感染する病害です。

連作を避け、栽培前に土壌消毒するのが最も妥当な予防方法です。

気温が上がってくるとかかりやすく、連作障害の1つとも言えるでしょう。

コナダニ類の防除にもつながる「ガスタード微粒剤」や「クロールピクリン」「バスアミド微粒剤」「キルパー」などでしっかり消毒しておきましょう。

もし発生してしまったら「ベンレート水和剤」を灌注(かんちゅう=水やりと同様に注ぎかけること)すると効果があります。

土壌病害など土作りで気を付けるべきポイントはこちらをご覧ください
ほうれん草栽培の土はどう作る?土壌調整で気をつける点を教えて



農薬を使う際の注意点


最後に薬剤使用の注意点について確認しておきましょう。

希釈倍率や使用量などはラベルに記載されている内容をしっかり確認し、地域の方針にしたがって散布してください。

また出荷時に残留しないよう、収穫前の一定期間は使わないようにしましょう。使用可能期間は薬剤によって異なります。


減農薬栽培に取り入れられる2つの方法



できるだけ薬剤に頼らないで栽培する方針であれば、畑に「粘着トラップ」や「コンパニオンプランツ」などを取り入れるのも良いでしょう。

粘着トラップで物理的に捕獲する


粘着トラップとは、害虫が好む色や光のシートやテープに誘引して、粘着物質で物理的に虫を捕獲するアイテムです。

害虫の発生を初期段階で発見するためのモニター装置としても活用できます。


コンパニオンプランツを一緒に植える


コンパニオンプランツとは「一緒に植えるとお互いが健康的に生長するのに良い影響を及ぼす植物や、その組み合わせ」のことです。

ほうれん草はゴボウ、レタスなどと相性が良いことがよく知られています。

また基本的なことにはなりますが、ほ場の周りに草を生い茂らせないようにすることで様々な害虫からの被害を減らすことができる為、除草作業も大切なポイントです。

基本的な栽培方法や栽培特性についてはこちらをご覧ください
ほうれん草の栽培の大まかな流れと、うまく育てるコツや注意点を教えてください

このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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