若手が全然地域におらず、人手不足がいよいよ深刻です。
うちでも技能実習生を利用しようと思っていましたが「技能実習制度が大きく変わる」という改革のニュースを目にして、特定技能の方がいいのでは、と思い始めました。
特定技能1号について調べているのですが、在留資格や特定技能1号に関する詳細がよくわかりません。
在留資格の特定技能1号について教えてください。
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堀口健治
早稲田大学名誉教授
特定技能1号は日本国内で特定分野に就労するための在留資格です
特定技能1号とは在留資格のうちの1種
在留資格とは、外国人が日本に在留するために必要な資格のことです。
現在、2023年1月の時点で27種類の在留資格があり、「外交」「留学」「特定技能」「技能実習」などに分類されています。
そして、特定技能1号は、在留資格である「特定技能」のうちの1種です。
それぞれの在留資格は日本国内での活動や就労業務に制限があり、細かく区分されています。
例えば、「特定技能」の在留資格で日本に滞在している場合は、特定技能で定められた分野の職種でしか働けません。
仮に、大学の教授として働きたいのであれば、特定技能の在留資格では働くことができず、新たに「教授」の在留資格を取得する必要があります。
特定技能の運用要領についてはこちらをご覧ください
「特定技能の運用要領が作成されたと目にしました…」
特定技能1号の特徴
特定技能1号は、特定産業分野での就労が認められている資格です。
知識や技術のある外国人が、人材不足の深刻な特定の産業で働くために必要な在留資格として創設されました。
特定技能1号の特徴として、在留期間の上限が5年間であることや受け入れ機関によるサポートが義務化されていることなどが挙げられます。
特定技能1号取得者だけでなく受け入れ企業に関わるルールもあるため、特徴をしっかりと把握しておきましょう。
派遣雇用や受け入れ機関についてはこちらをご覧ください
「特定技能1号とは?農業や漁業でも雇用できますか?」
「特定技能1号の受け入れは派遣でも可能ですか?」
「特定技能人材の受け入れには外国人支援が義務になっていますが、注意点はありますか?」
特定技能1号と技能実習の異なるポイント
特定技能1号とよく似た在留資格に技能実習があります。
どちらも日本国内で多く受け入れられているため、それぞれの特徴をよく把握しておきましょう。
農業・漁業分野における「特定技能」と「技能実習」の違いについてはこちらをご覧ください
「特定技能制度と技能実習制度の違いを教えてください」
「特定技能制度の雇用契約と労働条件とは?」
「人材確保で利用増加の特定技能制度。外国人が就労できる在留期間は?」
目的
特定技能1号は、人手不足が深刻な特定産業分野の人材確保を目的として創設されました。
そのため、特定技能1号を取得した人材は、それぞれの分野に適した知識や技術を有しており、即戦力として働くことができる方々です。
一方で技能実習は、国際貢献を目的としています。外国人が日本の様々な技術を習得して、帰国したのちに母国で技術や経験を活用してもらえるよう創設されました。
帰国についてはこちらをご覧ください
「特定技能外国人の一時帰国費用は誰が負担する?」
受け入れ分野
2023年1月の時点で、特定技能1号の受け入れ分野が12分野となっているのに対して、技能実習の受け入れ職種は86職種です。
受け入れ先の区分にやや違いがありますが、特定技能1号と比べて技能実習は、職種や作業が細かく分類されています。
また、特定技能1号と技能実習で同じ業種・職種のものもあれば、どちらか一方にしかない場合もあります。
そのため、技能実習を受け入れることができても特定技能1号では受け入れられない可能性もあるので、受け入れ先は自身の分野や職種が対応しているか確認しておくことが必要です。
特定技能の職種についてはこちらをご覧ください
「特定技能1号に該当する職種が知りたい。どの作業を任せていいの?」
「特定技能制度の外国人材は漁業分野でも受け入れられる?」
転職
特定技能1号は、同一区分内であれば転職することができます。
また、別分野や別業種への転職も新たな分野や業種の試験に合格することで、転職可能となっています。
一方で、技能実習は原則として転職できません。
例外として、受け入れ先の企業が倒産した場合などには転職可能となりますが、基本的に転職はできないと認識しておきましょう。
転職するための手続きや副業についてはこちらをご覧ください
「特定技能1号の外国人は転職可能なのでしょうか?」
「特定技能外国人の副業は問題ない? 受け入れ機関が注意すべき点は?」
在留資格の特定技能1号について正しく理解しよう
外国人が日本に在留し特定の活動をするためには、在留資格が必要です。
特定技能1号は、在留資格の「特定技能」のうちの1種で、特定産業分野での就労が認められた資格となっています。
よく似た在留資格に「技能実習」がありますが、「特定技能」は人材不足の産業に即戦力となる外国人を受け入れる目的で創設されたため、目的や特徴などが異なっています。
在留資格や特定技能1号について理解して、新たに特定技能1号の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。
特定技能外国人を受け入れる方法についてはこちらをご覧ください
「特定技能外国人を受け入れたい!雇用するのに必要な書類は?」
「農業分野で特定技能を取得するためには、どんな試験があるのですか?」
「特定技能の在留資格に必要な評価試験について詳しく教えて」
「特定技能1号の指定書とは?雇用時にチェックすべきポイント」
このお悩みの監修者
堀口健治
早稲田大学名誉教授
専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。