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特定技能1号から永住権を取得する方法が知りたい

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特定技能1号から永住権を取得する方法が知りたい

現在、家族で農家を営んでいますが、両親が引退を考えており、さらにうちの地域は人手不足が深刻で、収穫期の人手が足りません。

周りの農家は技能実習生を受け入れていますが、即戦力が欲しいので調べてみたところ、「特定技能1号」という在留資格をもった外国人がいると知りました。

農業の知識や日本語能力も持っているようなので、受け入れようかと検討していますが、できるだけ長く雇用したいと思っています。

外国人にも安心して働いてもらいたいので、できれば永住権のようなものを取得させたいのですが、特定技能1号の在留資格で永住権を取得することはできるのでしょうか?

堀口健治

早稲田大学名誉教授

永住権を取得するには特定技能2号への移行が必要です

特定技能1号から永住権を取得するのは不可能


特定技能1号取得の状態から永住権を得ることはできません。

なぜなら、永住権取得の条件である「原則10年以上日本に在留していること」を満たせないからです。この10年の期間は、特定技能1号での在留期間が除かれています。

なお、永住権取得には、在留期間以外にも条件があるため順番に確認していきましょう。

特定技能1号の特徴についてはこちらをご覧ください
在留資格の一つである特定技能1号について詳しく教えて



永住権を取得する3つの条件


永住権を取得するには、以下3つの条件を満たす必要があります。

・仕事をして自活している
・法律違反をしていない
・国益適用要件を満たしている


永住権を取得した場合、日本での活動を制限されることなく生活できるようになります。

出入国残留管理庁が行っている永住権申請の審査のポイントを事前に押さえて、スムーズな永住権取得に備えましょう。


仕事をして自活している


永住権は、公的負担に頼らず生計を立てている外国人に認められる権利です。

これは永住権の中の「独立生計要件」に該当し、内容は以下の通りになります。

独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること:日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

「将来を見据えたときに、安定した生活を送ることができるか」という点が重要になります。

また、保有する資産も審査の対象になり、世帯単位で判定されます。技能や収入に困らない状態でなければなりません。


法律違反をしていない


永住権取得のためには、日本の法律の遵守が条件となります。法律の遵守は、永住権における「素行善良要件」に該当します。詳しい内容は以下の通りです。

素行が善良であること:法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

交通違反や入管法違反など、比較的軽い処罰であっても申請を却下される可能性があります。

また、地域住民として地域の常識やルールを守った生活を送っていることも大切です。


国益適合要件を満たしている


永住権の取得は、「国益適合要件」を満たすことも条件の1つです。国益適合要件の内容は以下の通りになります。

・その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
・原則として引き続き10年以上在留していて、そのうち就労資格または居住資格での在留が5年以上である
・罰金刑や懲役刑などを受けていない。納税、公的年金などの公的義務を適正に履行している
・現在持っている在留資格が、その規定上最も長い期間で在留していること
・公衆衛生上の観点から有害となるおそれがない


上記のように、永住権取得のためには、日本の居住者として日本国に貢献しているかが判断されるのです。

国益適用要件には特例がある


万が一、国益適合要件の内容を満たしていない方でも、特例として永住権の取得が認められる可能性があります。特例の詳しい内容は以下の通りです。

・日本人・永住者・特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続しており、しかも1年以上日本に在留している。実子や特別養子縁組の場合は、1年以上日本に在留している

・定住者の在留資格で5年以上在留している。難民の場合も難民認定後5年以上在留している

・外交・社会・経済・文化などの分野で日本への貢献があり、5年以上在留している

・高度人材外国人である。必要な在留期間は、学歴・職歴・年収など、「出入国管理及び難民認定法」に従って法務省出入国在留管庁が行う評価(高度人材ポイント制)により異なり、70点以上ならば3年以上、80点以上ならば1年以上


特定技能1号から永住権を取得する方法


特定技能1号から永住許可を取得するためには、特定技能2号へ移行する必要があります。

特定技能2号は、在留資格の更新回数に上限がなく、永住権取得の条件である「10年以上日本に居住」を満たすことが可能です。

また、特定技能2号では家族の同伴が認められるようになり、登録支援機関を通さずに就職活動ができるようになるなど、制限が緩和されます。

特定技能1号と特定技能2号の内容を比較した表は以下の通りです。


特定技能1号

特定技能2号

在留期間

上限:通算5年まで
(1年、6ヵ月または4ヵ月ごとの更新)

上限:なし
(3年、1年または6ヵ月ごとの更新)         

技能水準

試験等で確認
(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等を免除)

特定技能1号になった上、試験等で確認

日本語能力水準

生活および業務に必要な日本語能力について、試験等で確認
(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等を免除)

試験等での確認は不要

家族の帯同

不可

可(子、配偶者)

永住ビザの申請

不可


外国人支援

必須。登録支援機関への委託が必要な場合がある

支援計画の策定及び実施は不要

対象分野数

12分野14業種

2


永住権を取得する際の注意点2つ


永住権を取得する際の注意点として、以下の2つが挙げられます。

・注意点1:更新する必要がある
・注意点2:連帯保証人が必要である


注意点1:更新する必要がある


永住権の在留カードは、運転免許証のように定期的な更新が必要です。在留カードとは、3ヶ月以上の在留期間をともなう中長期在留者に対して交付されるカードです。

なお、在留カードの更新は2ヶ月前から行うことができます。

万が一、更新期間中に対応できない場合は、事前更新を行うことも可能です。期間内の更新手続きができない理由を明確にして、申請書に記載します。

作成した申請書は、居住する地域を管轄している地方出入国在留管理官署あるいは外国人在留総合インフォメーションセンターに提出しましょう。


注意点2:身元保証人が必要である


外国人が永住権を取得する際は、身元保証人が必要になります。身元保証人とは、日本の法令を守るように指導する役割を担う人です。

万が一、永住権を獲得した外国人がトラブルを起こしたとしても、身元保証人が損害賠償を負わされたり、連帯保証人になったりすることはありません。

なお、身元保証人を務める権利がある人の条件は、以下の4つになります。

・ 日本人である
・ 税金の滞納がない
・ 安定的な収入がある
・永住権を取得している外国人

このお悩みの監修者

堀口健治

早稲田大学名誉教授

専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。

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