収穫期になるといつも人手不足に困っていたので、技能実習生を受け入れて、繁忙期をしのいできました。
しかし、近所の農家さんが特定技能の外国人を雇用しているのを知って、うちでも特定技能の人材に切り替えようかと考えています。
特定技能についていろいろと調べてみると、特定技能1号では5年間しか雇用できないという情報を見つけました。
農業では一連の作業を覚えてもらうのに時間がかかるので、5年だと仕事にも慣れ、安心して作業を任せられる頃だと思います。
そのため、できるだけ長い間雇用したいのですが、5年以上雇用することはできないのでしょうか?
堀口健治
早稲田大学名誉教授
特定技能1号の在留期間は5年間ですが、2号(永続的)の対象分野が拡大されるかもしれません
農業、漁業分野で使える在留資格
外国人が日本で働くためには就労できる在留資格が必要です。従事する業務の範囲や就労期間など、外国人の就労制限は在留資格(ビザ)によって異なります。
農業、漁業分野で使える在留資格は以下の通りです。
・技能実習
・特定技能1号
・永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等
・留学、家族滞在
特定技能の在留期間
特定技能は、2019年に運用が開始された新しい就労ビザです。従事できる業務は技能実習と類似していますが、特定技能は技能試験に合格した外国人が対象で、技能実習より高い技能が必要とされる業務への従事を想定しています。
特定技能1号での在留期間は最長5年と限定されています。この期間を超えて継続雇用することは今のところできません。
特定技能1号よりも高度人材の在留資格として、特定技能2号という在留資格も存在します。永続的な就労や家族の帯同も認められていますが、取得には難易度の高い技能試験に合格しなければなりません。
さらに現時点で特定技能2号を利用できる業務分野は建設業、造船・船用工業の2分野のみ限定となっています。農業・漁業分野への拡大が期待されます。
家族の滞在についてはこちらをご覧ください
「特定技能外国人の家族は日本に滞在できますか?」
継続雇用するには?
特定技能での在留期間は5年ですが、技能実習を良好に3年修了した外国人(技能実習を2年10ヶ月以上修了し、技能実習評価試験の実技試験に合格した者など)は特定技能1号へ無試験で就労ビザを移行することができます。
技能実習を実施できる期間は1年、3年または5年となっています。ただし5年間の実習ができるのは所定の要件を満たし、優良と認定された企業に限られます。
技能実習3年の修了後に特定技能に移行した場合は、さらに5年間雇用を継続できることになり、最長で8年間の雇用が可能となります。技能実習5年の修了後に特定技能に移行した場合は、最長10年の雇用が可能です。
ただし、特定技能制度では転職が認められているので、移行後に外国人が転職してしまう可能性もあります。
就労年数の数え方
特定技能1号で認められる就労期間は通算で5年間です。
働き方としては、5年間継続して働く。また、仕事の少ない閑散期は帰国し、繁忙期のみ通算で5年となるまで働くという就労形態も選択できます。
雇用契約のポイントや帰国についてはこちらをご覧ください
「特定技能制度の雇用契約と労働条件とは?」
「特定技能外国人の一時帰国費用は誰が負担する?」
このお悩みの監修者
堀口健治
早稲田大学名誉教授
専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。