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特定技能制度と技能実習制度の違いを教えてください

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特定技能制度と技能実習制度の違いを教えてください

人手不足に悩んでおり外国人の方の手を借りようかと考えていますが、技能実習と特定技能の違いがいまいちよく分かりません。

近所の農家では、技能実習と特定技能の両方の制度を使って受け入れている場合もあり、自分にはどちらの制度が合っているのかわかりません。

それぞれのメリット・デメリットや違いを教えていただきたいです。

堀口健治

早稲田大学名誉教授

特定技能は人手不足を補うため、技能実習は国際貢献を目的に作られた制度です

農業・漁業分野における「特定技能」と「技能実習」の違い


特定技能と技能実習はしばしば混同されますが、まったく内容の違う制度です。

まずは、その違いについて見ていきましょう。


設立の目的

「特定技能」…日本企業の人手不足を補うことを目的として2019年4月に新設された在留資格

「技能実習」…開発途上国出身の方に日本の高い技術やノウハウを現場で習得してもらい、母国でそれらを広めたり役立ててもらうという国際貢献を目的として設立された制度


特定技能1号の制度については、こちらの記事をご覧ください
(関連記事:「特定技能1号とは?農業や漁業でも雇用できますか?」)



就業できる業種・職種

2つの制度は就業できる業種・職種が異なります。

さらに技能実習においては、職種の中でもさらに細かく作業が指定されているので注意が必要です。

特定技能

1号は14業種、2号は2業種において就労可能です。
「1号」…介護、ビルクリーニング、建設、自動車整備、宿泊、農業、漁業ほか
「2号」…熟練した技能を必要とする業務、建設と造船・舶用工業のみ


特定技能1号と2号の違いについてはこちらをご覧ください
特定技能1号と2号の違いについて教えてください
在留資格の一つである特定技能1号について詳しく教えて



技能実習

令和3年1月8日時点で、83職種151作業が登録されています。
耕種農業、畜産農業、漁船漁業、養殖業、農産物漬物製造業、機械加工、塗装など

特定技能1号の職種については、こちらの記事をご覧ください
(関連記事:「特定技能1号に該当する職種が知りたい。どの作業を任せていいの?」)



受け入れ人数


特定技能には原則制限はありませんが、技能実習には制限があります。

技能実習生の雇用枠、すなわち受け入れ可能人数は企業の規模により異なるので、注意が必要です。


転職について


特定技能は就労資格であるため、同一職種であれば転職が可能です。

一方で、技能実習制度はあくまで実習という位置付けであり、イレギュラーな場合(所属先が倒産した等)を除いて転職という概念はありません。

なお、要件を満たせば技能実習生から特定技能への切り替えが可能となっています。

特定技能1号の転職や副業についてはこちらをご覧ください
特定技能1号の外国人は転職可能なのでしょうか?
特定技能外国人の副業は問題ない? 受け入れ機関が注意すべき点は?



「登録支援機関」と「監理団体」


2つの制度は支援団体・組織についてもまったく異なる仕組みです。

特定技能においては外国人の支援業務を委託できる「登録支援機関」という組織があり、技能実習においては実習生を受け入れる企業を監理する「監理団体」があります。

前者は企業を支援するためのものですが、後者は監理をする団体です。

特定技能の受け入れ機関についてはこちらをご覧ください
特定技能人材の受け入れには外国人支援が義務になっていますが、注意点はありますか?
技能実習生の受入機関とはどのようなサポートをしてくれる?



農業・漁業分野における「特定技能」と「技能実習」のメリット


特定技能のメリット

企業にとって、特定技能の外国人は即戦力になります。

また申請の手間が少なく、受入れまでのコストや時間を少なく抑えられます。

登録支援団体を利用したとしても、委託費用の相場は月2万円〜3万5千円程と、割安です。

また、農業・漁業分野においては、受け入れ人数の制限がない点もメリットになります。


技能実習のメリット

技能実習は3年あるいは5年というまとまった期間で就労します。

そのため、「すぐに辞められるかもしれない」という不安がなく、作業を依頼することが可能です。


農業・漁業分野における「特定技能」と「技能実習」のデメリット


特定技能のデメリット

特定技能1号を取得するには、「日本で働く上での日本語能力」と「該当分野での技能」を証明するための公的試験を受験し、合格しなければなりません(ただし技能実習2号を良好に修了していれば試験を免除され、申請できます)。

そのため、候補者を集めにくいのがデメリットです。

また、特定技能の場合、転職できるので、受け入れ先の環境が整っていなかったり合わなかったりすれば、他の企業へ移ってしまう可能性があります。

技能実習のデメリット

技能実習は受け入れ人数の制限があり、なおかつ受け入れの申請作業が多いので、手間や時間がかかります。

また、管理団体に登録すると定期的に実習の指導をしてくれますが、その費用は月約3〜5万円が相場となっており、管理負担が大きいと言えます。

「技能実習」から「特定技能」に切り替えるには


技能実習生から特定技能に切り替えるには、要件を満たすことで移行することができます。
移行が認められているのは、特定技能1号の14業種です。

切り替えの条件

・技能実習2号を良好に修了(技能実習計画に従って2年10ヶ月以上を修了している)
・技能実習での職種・作業内容と、特定技能1号の職種が一致
(なお、上記の通り試験を免除され、特定技能を申請する方法もあります)

1つ目の「技能実習2号を良好に修了」を満たしていれば、本来特定技能取得に必須な日本語試験が免除されます。

さらに、従事する業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合は、技能試験も免除される場合もあります。

以前と比べて、外国人労働者にまつわる環境は随分と整備され、働き方の選択肢が広がってきました。

雇用者と雇用主、双方にとって働きやすい環境を心掛けながら、制度を利用しましょう。


このお悩みの監修者

堀口健治

早稲田大学名誉教授

専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。

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