特定技能の外国人人材の受入れを検討している農業法人の経営者です。
これまで人手不足に悩んでいて、技能実習生を受け入れていましたが、それでもうまくいかず、特定技能の外国人を受け入れようかと検討しはじめました。
しかし、今まで特定技能の外国人を受け入れたことがないため、制度のこともよく理解していない状況です。
とくに特定技能には「1号」と「2号」があるようですが、何が違うのかわかりません。
特定技能1号と2号の違いについて、具体的に何がどう違うのか、教えていただけないでしょうか。
特定技能の外国人人材の受入れを検討している農業法人の経営者です。
これまで人手不足に悩んでいて、技能実習生を受け入れていましたが、それでもうまくいかず、特定技能の外国人を受け入れようかと検討しはじめました。
しかし、今まで特定技能の外国人を受け入れたことがないため、制度のこともよく理解していない状況です。
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堀口健治
早稲田大学名誉教授
特定技能1号と2号では在留期間や求められる技能水準に違いがある
特定技能1号と2号の違い
特定技能1号と2号の違いは2022年12月現在の時点で下記の通りです。
特定技能1号
特定技能2号
在留期間
通算5年まで
更新の上限なし
技能水準
相当程度の知識又は経験を必要とする技能
熟練した技能
外国人支援計画
必須
不要
日本語能力水準試験
あり
なし
対象分野数
12分野14業種
2分野
家族の帯同
不可
可能(配偶者と子のみ)
在留資格取得の条件や試験についてはこちらをご覧ください
「特定技能1号とは?農業や漁業でも雇用できますか?」
「在留資格の一つである特定技能1号について詳しく教えて」
「特定技能1号の在留資格取得の条件と試験について教えてください」
在留期間
特定技能1号の在留期間は、通算で上限5年まで、更新は1年、6ヵ月または4ヵ月ごとです。
対して、特定技能2号の在留期間には上限がありません。更新は3年、1年または6ヵ月ごととなっており、特定技能1号と比べて更新のサイクルが長いのが特徴です。
特定技能制度の在留資格や条件についてはこちらをご覧ください
「人材確保で利用増加の特定技能制度。外国人が就労できる在留期間は?」
「特定技能1号の在留資格取得の条件と試験について教えてください」
技能水準
特定技能1号では、相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められています。技能実習生とは違い、現場で即戦力として働くことができる人材が当てはまります。
特定技能2号が求められる技能水準は、熟練した技能です。特定技能1号よりも優れた技術が必要とされ、職種にもよりますが現場で監督できるくらいの水準が必要とされています。
特定技能1号・2号ともに求められる技能水準に達しているかどうか、各分野に対応する省庁や団体が実施する技能試験で確認されます。
外国人支援計画
特定技能1号を受け入れる際には、外国人支援計画の作成が必要です。
外国人支援計画とは、特定技能取得者の職場や日常での生活を支援するために作成するものです。受入れ企業での作成が難しい場合には、登録支援機関へ委託して作成してもらいます。
しかし、特定技能2号では、外国人支援計画の作成は不要です。
登録支援機関についてはこちらをご覧ください
「特定技能の登録支援機関とはどういう組織ですか?」
1号特定技能外国人支援計画書の作成方法についてはこちらをご覧ください
「1号特定技能外国人支援計画書の作成ポイントは?」
対象分野数
特定技能1号のビザが対象となる分野は下記の12分野14業種です。
介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
そして、特定技能2号の対象となる分野は、建設と造船・舶用工業のみです。
今のところ特定技能の対象分野は2つにとどまっていますが、今後拡大していくことが検討されています。
特定技能1号の職種についてはこちらをご覧ください
「特定技能1号に該当する職種が知りたい。どの作業を任せていいの?」
特定技能1号や特定技能2号になる方法
特定技能1号のケース
特定技能1号になる方法は、下記の2通りです。
1、日本語能力試験と技能評価試験に合格する
2、技能実習2号を良好に修了する
しかし、現状では特定技能1号を取得している人は技能実習生からの移行が多数を占めます。
技能実習生としてまじめに働いていれば、ほとんどの場合で特定技能1号の要件を満たすことができます。
そのため、特定技能1号の試験に不安がある方は技能実習生からの移行がおすすめです。
雇用するのに必要な書類の詳細はこちらへ
「特定技能外国人を受け入れたい!雇用するのに必要な書類は?」
特定技能2号のケース
特定技能2号は、特定技能1号よりも高い技術水準が必要とされます。
したがって、特定技能1号で5年間の就労経験があるだけでは、特定技能2号になることはできません。
それぞれの分野で定められた、熟練した技能を確認する試験に合格した者だけが特定技能2号になることができます。
その際、特定技能1号とは違い、特定技能2号のための試験では日本語の試験は課せられていません。
特定技能2号になるメリット
特定技能2号になることのメリットとして、ビザ更新の上限がなく将来的に永住権を取得できる可能性があることが挙げられます。
日本で長く働きたい外国人にとっては、在留期間を気にせず働けて安定的に過ごせることは非常に大きなメリットです。
また、雇用する企業にとっても、技術ある人材を長く雇用できるので、人手不足の解決にもなります。さらに、雇用にあたっての外国人支援計画も不要なため、雇用にかかる手間も少なくなります。
現状では、特定技能2号の取得者は少ないですが、今後は対象分野の拡大とともに特定技能2号の広がりも期待できるでしょう。
特定技能1号と2号の違いを理解して受入れの不安をなくそう
特定技能1号と2号では、在留期間や求められる技能水準に違いがあります。
特定技能1号では通算で上限5年までの在留となりますが、特定技能2号では在留期間に上限はありません。
特定技能2号は、特定技能1号に比べて求められる技能水準が高いです。一方で、在留期間が長くなったり家族の帯同が認められたりするなど、規則が緩和される項目もでてきます。
また、特定技能2号になることで労働者にとっても雇用主にとってもメリットがあるため、日本で長く働きたい場合には、特定技能2号への移行をおすすめします。
特定技能1号と2号の違いについて学び、特定技能の受入れを検討してみてはいかがでしょうか。
このお悩みの監修者
堀口健治
早稲田大学名誉教授
専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。