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ほうれん草の間引きはどのタイミング?注意点も教えて

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ほうれん草の間引きはどのタイミング?注意点も教えて

栽培品目にほうれん草を加えたいと考えている農家です。

できるだけ収量をアップしたいのですが、ほうれん草も間引かないといけないのでしょうか?

葉野菜の栽培は初めてなので、間引きはどのようなタイミングや間隔で行ったら良いのかアドバイスいただけますか?

渡會那央

わたらい農場 代表

上手に間引いてほうれん草の品質・収量アップを目指しましょう

ほうれん草栽培ではなぜ間引きが重要なのか


ほうれん草は種を畑に直まきして収穫まで育てる作物です。どの季節でも、別の容器で苗を育てて植え替える作業はありません。

栽培期間の短い葉物野菜は、間引きを正しく行うことが品質に直結します。まずはその理由を2つ説明しましょう。

間引きが重要な理由1 一斉発芽が栽培成功のコツ


ほうれん草は種まき後1~2カ月で収穫する野菜で、栽培期間は非常に短いです。発芽してから1株ずつ様子を見て個別に手を加える栽培管理は、現実的ではありません。

元気でおいしいほうれん草をたくさん収穫するためのポイントは「できるだけ早く、一斉に発芽させること」。

発芽するタイミングでバラつきが生じると、そのまま生育レベルが揃わず、収穫時期にもちぐはぐな品質のものが混在することにつながります。

畑の土壌や水分量を可能な限り均質に保ち、発芽や生育にバラつきが生じないように気を配りましょう。


間引きが重要な理由2 株間がほうれん草の大きさを決める


収穫時のほうれん草のサイズは株間によって決まります。そして栽培期間中に株間を決める唯一の工程が「間引き」です。

株間が狭すぎると、1株あたりの生育範囲が狭まり、葉の数が減ります。葉よりも葉柄(ようへい=葉の一部で、茎から葉の本体の間にある細長い部分)がひょろひょろと伸びやすくなるでしょう。

逆に株間が広すぎると1株あたりの葉の数は増えますが、それと引き換えに畑全体の収量は減少します。

また、葉の開きが大きくなり、収穫しにくい形になってしまうのもデメリットの1つです。

ほうれん草の生育は株間を狭めにすると速まり、広めにすると緩やかになる性質があります。


ほうれん草の間引きをしないとどうなる?


間引きをしないと株間が極めて狭くなり、ほうれん草の生育だけでなく、畑の管理にもトラブルを引き起こすことがあります。

限られた栄養や水分を近くの株どうしで奪い合うことになり、1株あたりの必要量が足りずに全般的に生育が鈍るでしょう。密植状態では葉が広がらず、光合成量も不足します。

さらに問題なのは、病害虫の発生リスクが高まることです。畑の湿度が高い状態は、ほうれん草の最重要病害「べと病」を引き起こします。

ただし播種機(はしゅき=種まき機)を使う場合は、種まきのタイミングで間隔をコントロールできるため間引きは不要です。

播種(種まき)の手順についてはこちらをご覧ください
ほうれん草の種まき時期はいつ頃?播種(種まき)の方法やコツも教えてほしい



間引きのタイミングと間隔のめやす


それでは間引きのタイミングや作業の進め方を解説しましょう。ほうれん草の間引きを行うタイミングは2回あります。

1回目は「子葉が展開した頃」


1回目は「子葉(しよう=発芽後最初に開く細長い形の葉)が展開した頃」です。

秋まき品種の場合、種まき後、おおよそ5~7日後に発芽します。子葉が開き始めるのは種まきから1週間ほどのタイミングを目安としてください。

最初の間引きで目指す株間は「2~3センチメートル」です。当初1~2センチ間隔で種まきしているので、2~3本に1本は抜いてしまうと考えれば良いでしょう。


2回目は「本葉が3〜4枚の頃」


2回目は「本葉(ほんよう=子葉の次に現れる丸い葉)が3~4枚になった頃」です。種まきを起点にして約2週間から半月後のタイミングが目安になります。

このとき目指す標準的な株間は「5〜7センチ」です。おおむね2本に1本程度を間引きましょう。

なお生育が速い春・夏まきの品種は、これよりも少し余裕を持たせた「7〜8センチ」の株間を確保するのがベターです。株間を広げると、生育スピードを緩やかにする効果も期待できます。


間引きのやり方


芽は小さくやわらかいので、根元を優しく指でつまんで引き抜きましょう。ほうれん草は直根性(ちょっこんせい=根が垂直に伸びる性質)なので、真上の方向へつまみ上げればきれいに抜けます。

晴れた日の午前中など、土が乾いている時間が良いでしょう。雨上がりの日などは避けてください。


ほうれん草の間引き後の管理


ほうれん草を間引きした場所は根が抜けて土が柔らかくなるので、付近の土を寄せて軽く押さえ、鎮圧しておきましょう。

秋まきの場合は間引き後に追肥してもよい


秋まきで冬場に収穫する場合、低温期でゆっくり育つため、2回目の間引きの後に追肥を入れて生育をうながす農家もあります。

ただし、過剰な追肥は害虫(青虫)を寄せ付けてしまう(窒素の臭いに反応して寄ってくる)為、窒素成分量として10aあたり5kg~8kg程度にしましょう。


追肥の選び方と手順


追肥には効果がすぐに現れる「即効性(そっこうせい)」タイプの肥料を選びましょう。

化成肥料(鉱物などの無機物を元に、化学的に作られた肥料)を株の近くにまいたら、その後、土の表面を軽く耕してなじませてください。

春まきには追肥は不要


ただし、ほうれん草栽培では追肥の工程は必須ではありません。特に春と夏はそのままでも生育が速いので、それ以上の栄養は不要です。

ただし雨が降って元肥(もとごえ=畑へ種をまいたり、苗を植え付けたりする前に、あらかじめ土壌に与えておく肥料)の栄養分が土壌から流出してしまったときや、明らかに生育が芳しくなく、葉の色が薄く見えるときなどは例外です。

このようなケースでは、春まきでも追肥を検討してください。

このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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