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ほうれん草で気をつけるべき害虫は?被害はどうやって見つける?

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ほうれん草で気をつけるべき害虫は?被害はどうやって見つける?

以前アブラナ科の葉野菜で害虫に悩まされたことがあります。

ほうれん草はアブラナ科よりも病害虫の被害が少ないイメージがあるのですが、実際はどうなのでしょうか?

現在、ほうれん草の栽培を新しくはじめようか検討しており、情報収集しています。

ほうれん草の栽培で注意すべき害虫や、被害の見つけ方について教えてください。

渡會那央

わたらい農場 代表

ほうれん草はヨトウムシやメイガなどに要注意、薬剤等で対策を

ほうれん草を加害するおもな7種類の虫


アブラナ科などと比べるとほうれん草は害虫の被害を受けにくい葉野菜ですが、とはいえ対策が不要というわけではありません。

ほうれん草を加害する以下の7種類の虫と、その防除方法について説明します。

1.ハスモンヨトウ
2.シロオビノメイガ
3.ホウレンソウケナガコナダニ
4.ハダニ類
5.アザミウマ類
6.モモアカアブラムシなどアブラムシ類
7.ネキリムシ


1.ハスモンヨトウ

ハスモンヨトウ

・体長 30~40mm
・体色 黄系、緑系、黒褐色系などさまざま
・特徴 老齢幼虫は頭部後ろ側の背面に黒い斑紋がある
・発生時期 9~11月

ハスモンヨトウの幼虫は、集団で葉の裏からほうれん草を食害します。

被害箇所の葉が薄く見えることで発見されるケースが多いです。「夜盗(よとう)」という字で表される通り夜行性で、作業時間には気づけないまま被害が広がることがあります。

成虫は5月頃に現れる体長15〜20mmほどの褐色の蛾です。

ハスモンヨトウに効果のある農薬についてはこちらをご覧ください
ヨトウやナガジロシタバなどの害虫発生に気づかなかった場合、どの農薬を使うべきですか?




2.シロオビノメイガ

シロオビノメイガ

・体長 15~20mm
・体色 透き通るような緑色
・発生時期 春から秋、特に9~10月

シロオビノメイガも蛾の仲間です。幼虫は葉を食べ、穴を開けることもあります。糸を吐いて葉をつづった中に生息するものもいます。

成虫の羽に白い帯状の模様があることから、この名が付けられています。


3.ホウレンソウケナガコナダニ


・体長 0.3~0.7mm
・体色 光沢のある乳白色
・発生時期 春と秋
・特徴 対処が遅れると広範囲に渡り、被害が出る

ホウレンソウケナガコナダニはコナダニの1種です。

土壌の浅いところで増殖し、本葉が2~4枚の時期に新芽の部分に侵入して食害します。葉は変形し、正常に生育しません。

有機物を好むため、油かすや米ぬかなどの資材を未熟(十分に発酵・分解されない)なまま土に混ぜ込むと、発生しやすくなります。

湿度の高い環境を好むため、雨よけ栽培やハウス栽培では特に注意してください。


4.ハダニ類(カンザワハダニ、ナミハダニ)

ハダニの被害にあった植物

・体長 0.5mm
・体色 白、橙、黄緑など成長段階や雌雄によりさまざま

ハダニ類、中でもカンザワハダニ、ナミハダニは、ほうれん草の葉の裏に隠れ、口の針を刺して汁を吸います。

被害部分から次第に弱っていき、白や褐色に変色していきます。

ダニ類の対策についてはこちらもご覧ください
ほうれん草や小松菜も危険?ハクサイダニの生態と防除方法を教えて欲しい




5.アザミウマ類

アザミウマの被害にあった植物

・体長 1.4~1.7mm
・体色 黄色、褐色など
・特徴 細長い
・発生時期 春~秋

アザミウマ類、特にキイロアザミウマとネギアザミウマもほうれん草に付く害虫です。

葉の表面もしくは裏面から針を刺して汁を吸います。変形や萎縮を引き起こして商品価値を損ねたり、生育を阻害したりします。

気温の高い時期に周囲の雑草から飛来する為、圃場周りの草の対策をこまめにしましょう。

春まきや夏まき品種で特に気をつけましょう。


6.モモアカアブラムシなどアブラムシ類

アブラムシ

・体長 0.5~2mm
・体色 緑系、赤褐色などさまざま
・特徴 対処が遅れると集団で加害する
・発生時期 春から秋が中心

他の多くの作物にも被害をもたらすモモアカアブラムシやワタアブラムシにも要注意です。

大量発生して汁を吸い、株を弱らせます。

葉を縮れさせるなど商品価値を損なうだけでなく、ウイルス病を媒介する存在です。

アブラムシの対策についてはこちらをご覧ください
ほうれん草栽培ではアブラムシをどう防ぐべき?必要な対策を教えて



7.ネキリムシ類ネキリムシ


・体長 4mm
・体色 暗褐色
・特徴 土から出すと丸くなる
・発生時期 春から秋

ネキリムシ類は蛾の仲間です。

昼間は土の中におり、夜になると出てくる幼虫が、若い株の地面に近い部分の茎を食害します。

前日まで元気に育っていたほうれん草の葉が、ある日突然地面に落ちていたら、土の中にネキリムシ類が潜んでいないかチェックしてみてください。


害虫を発生させないポイント


次は害虫を発生させないために取るべき4つの方法を説明します。

密植や多湿にならないようにする


害虫は密植状態で湿度の高い状態になった畑を好みます。

正しい間隔で種まきや間引きを行い、適切な株間を保ちましょう。

発芽以降は、やや乾燥気味に育てるようにしてください。


周囲の雑草は処分を徹底する


外部から飛来してきた害虫は、雑草や残さ(作物の収穫後に残った葉や茎など)に生息します。

栽培前に雑草はしっかり刈り取り、周囲に害虫の棲みかになるようなところがないか、念入りに確認してください。

見つけたら単に遠ざけて置くのではなく、地域のルールにしたがった方法での処分を徹底しましょう。


防虫ネット利用などで物理的に寄せ付けない


物理的に害虫を寄せ付けないために、防虫ネットなどを利用した栽培を検討してください。

トンネル栽培やベタ掛けの資材に防虫ネットを使うのも良いでしょう。

防寒や遮光の機能も兼ねられます。


防除用薬剤を使用する


害虫の防除には薬剤をまくのが最も効果的です。

虫の種類ごとに使える薬剤を備えておきましょう。

このお悩みの監修者

渡會那央

わたらい農場 代表

長野県八ヶ岳のふもと標高1100mの高冷地 小海町で農業に携わり11年。3月〜11月まで、主にほうれん草を栽培・出荷し、そのかたわら花豆の栽培・出荷も行っています。 『人づくり、土づくり、ものづくり 耕福農業』を理念に、人が育つ環境づくり、野菜が育つ環境づくり=土づくり・堆肥づくりに注力し、エコファーマーの認証も取得し、安全安心でまごころ込めた野菜づくりを行っています。

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