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しいたけを原木栽培で生産する方法を教えてください

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しいたけを原木栽培で生産する方法を教えてください

山間地域で農家を営んでいます。何か新しい作物を育てたいと考えていたところ、近所の道の駅は原木栽培のしいたけが人気だと聞き、私もやってみようかと考えています。

ちょうど圃場に空いているスペースがあるので、少しづつやっていければと考えているのですが、近所にしいたけを栽培している農家がいないので、栽培方法がわかりません。

どのように栽培すればいいのでしょうか?


大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

しいたけ栽培の仕組みを理解し、栽培時は水やりに注意しましょう

しいたけの原木栽培の方法


しいたけの栽培には「原木栽培」と「菌床栽培」の2つの方法があります。

原木栽培では原木にしいたけ菌をまん延させ、自然環境を生かして栽培します。

原木からしいたけが発生するまでに2年ほどかかります。その後、小径木で2〜3年、大径木では4〜5年で発生が見込めます。

原木栽培で育ったしいたけは、天然ものに近く品質が優れ、形状・香り・風味・歯ごたえに優れるという特徴があります。

収穫までに時間を要し、栽培効率が低いというデメリットはありますが、はじめやすく、特別な設備がいらないというメリットもあります。


しいたけ原木栽培のしくみ


しいたけの原木栽培にかかる期間は、およそ2年です。

まず、初年度の秋・冬に原木を伐採します。

伐採した原木は「葉枯らし」という原木を乾燥させる作業を行い、次に玉切り(一定の長さに切りそろえることで通常は1〜1.2メートル)をします。

伐採や冬季栽培については、こちらもご覧ください
しいたけの原木栽培に使う木を伐採する時期とポイントは?
しいたけの原木栽培で、冬に低中温菌を発生させる方法は?

同じほだ木で収穫ができる回数についてはこちらをご覧ください
しいたけの原木栽培では1本のほだ木で何回収穫できますか?


そして、春にかけてしいたけ菌糸を植菌(しょっきん。植え付けること)します。

植菌は、市販されている種駒(たねごま、木片にしいたけ菌糸を純粋培養したもの)にドリルで穿孔(せんこう)し、穴に打ち込みます。

次に菌糸の活着を促すため、梅雨前までに仮伏せを行います。

その後、本伏せに移行し、菌糸をまん延させるために管理します。

仮伏せ・本伏せについては、こちらの記事をご覧ください
しいたけが良く育つ原木の置き場所を教えてください
しいたけの原木栽培での本伏せとはどのような作業かを知りたい



種菌を植え付けた原木からしいたけを発生させるまでは、適切な温度・湿度で管理することが重要です。

しいたけは湿度を好むため、発生するまでには十分な水分が必要です。

そして、二夏が過ぎたら、収穫に備え原木を立てる「ほだ起こし」をします。

しいたけが発生するように散水を行い、秋に収穫できるというのが、しいたけの原木栽培の基本的な流れになります。

水やりや収穫時期の見分け方については、こちらの記事もご覧ください
しいたけの原木栽培での水やりはどうすればいいですか?
原木しいたけの上手な取り方とは?収穫までの流れも確認
しいたけの収穫時期はいつ?風味や特徴は変わる?



しいたけの原木栽培のポイント


原木栽培では、原木にする木が大切になります。

自分で伐採し使用する場合は、原木栽培に適した木を選びましょう。

しいたけの原木栽培であれば、クヌギ、コナラ、ミズナラがおすすめです。

原木栽培に適した木の種類については、こちらの記事をご覧ください
しいたけの原木栽培にはどんな種類の木が適しているの?
しいたけの原木栽培で必要な原木の太さは?
原木しいたけ栽培で必要な原木の長さはどれくらい?



次に、ほだ木をしいたけ菌糸が十分にまん延した状態にさせることが重要です。

しいたけ菌糸が十分に活着してまん延した原木を「完熟ほだ木」と呼びます。

完熟ほだ木を作るには、原木の置き場所・組み方に注意しましょう。
原木の組み方の図

原木の組み方についての詳細は、こちらの記事をご覧ください
しいたけの原木栽培のほだ木を作りたい。組み方を教えて



置き場所のポイントは通風と排水、環境に合わせて組み方を工夫することが重要です。

そして、しいたけの原木栽培においても、害虫や病気にならないよう、事前に対策を行います。

病気や害虫ごとに対策を行う必要はありますが、ほだ木の衛生環境に気を配り、温度や湿度を管理することが大切です。

害虫・病害については、こちらの記事をご覧ください
しいたけの原木栽培で注意すべき害虫と対策を教えていただけないでしょうか?
しいたけの原木栽培で気をつけるべきカビや病害は?


このお悩みの監修者

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

農学博士。専門は、きのこ学、森林資源学。とくに食用・薬用キノコの生理特性や生産技術、森林の木材腐朽菌および菌根菌を研究し、九州大学発ベンチャー企業「株式会社マッシュピア」「ヒマラヤンバイオ・ジャパン株式会社」の各々会長、代表も務めている。

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