しいたけの原木栽培での本伏せとはどのような作業かを知りたい

本伏せとは、しいたけの菌を原木全体に蔓延させる作業のことを指します

しいたけの本伏せとは

本伏せとは、原木しいたけのほだ木を並べる作業です。

しいたけ菌糸を、原木内に蔓延させる目的で行われます。

本伏せを行う際は、しいたけ菌糸の成長を促進、また菌害の侵入を最小限にする環境条件を意識しながら、適切な方法を選択しなくてはいけません。

本伏せ以外の栽培方法についてはこちら
「しいたけの原木栽培について育て方を教えてください」

本伏せの種類

本伏せには、代表的な以下3つの方法があり、目的や環境によって使い分けられています。

鳥居伏せ	単位面積当たり伏せ込み本数が少なく、 広い面積が必要。通風、管理の面でもっとも適した方法
よろい伏せ	鳥居の中にほだ木を2本程度入れる方法。鳥居伏せに比べて、面積あたりの伏せ込み本数が多くなる。乾燥気味の場所に適した方法
井げた伏せ	ほだ木を互いに井桁状に積み重ねる方法。通風性が悪いため、通風や排水の悪い場所では避けられる傾向。面積あたりの本数が多く、場所を取らないことが大きな利点

しいたけ菌糸の成長を促進するためには、通気性の良い条件で本伏せをする必要があります。

もっとも通風の良い方法は鳥居伏せですが、面積あたりの本数は少ないので広大な土地が必要です。

よって多くの農家は、広い面積を必要としない井げた伏せを採用しています。

本伏せの時期

本伏せは、植菌、仮伏せが完了した後に行われます。

1～3月までの間に植菌を行い、4月中旬ごろまで仮伏せをしましょう。

4月中旬以降は、菌糸が成長しやすい期間となるので、そのタイミングで本伏せを始めます。

その後、ほだ木にしいたけ菌が充分蔓延して、しいたけの発生が確認できたら本伏せを終了し、ほだ起こしや収穫の作業に移る流れです。

同じほだ木で収穫ができる回数についてはこちらをご覧ください
「しいたけの原木栽培では1本のほだ木で何回収穫できますか？」

本伏せを行う際の注意点

本伏せを行う際は、以下のポイントに注意しましょう。

・しいたけを栽培する環境に適した伏せ方を選ぶ
・適切な伏せ込み場所で行う

しいたけを栽培する環境に適した伏せ方を選ぶ

本伏せは、しいたけ栽培をする環境に適した方法を選ぶ必要があります。

最も場所を取らない井桁伏せは、通気性の悪さがデメリット。

通風や排水の悪い地域での伏せ込み方としてはふさわしくありません。

鳥居伏せは、通気性の面でもっとも適した伏せ方ですが、多くの土地が必要となるので、農家によっては適さない場合もあります。

適切な伏せ込み場所で行う

本伏せを行う場所も、注意すべきポイントです。

本伏せは、次のような場所を避けて行う必要があります。

・雨があたらない湿気のない場所
・谷部や排水の悪い場所

多くの農家は、伐採後の原木を移動させた林内や、人工で作ったほだ場などで本伏せを行う傾向にあります。

「6乾4湿」の乾燥が若干強い場所が適切です。

原木の置き場については以下をご覧ください
「しいたけが良く育つ原木の置き場所を教えてください」

仮伏せと本伏せの違い

仮伏せと本伏せには、以下のような違いがあります。

	目的	時期
仮伏せ	種駒の乾燥を防ぐための保温、保湿	植菌の後
本伏せ	しいたけ菌糸を原木内に蔓延させる	仮伏せの後

しいたけの原木栽培において、両方とも欠かせない作業です。

風が当たらない場所で管理をする仮伏せは、植菌後にしいたけの種駒を保温、保湿する目的で行われます。

それに対して本伏せは、風通しの良い場所で菌糸の成長を促進する目的で行われます。