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しいたけの原木栽培で、冬に低中温菌を発生させる方法は?

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しいたけの原木栽培で、冬に低中温菌を発生させる方法は?

寒冷地で農業を営んでおります。

最近都市部で働いていた息子が農業を継ぎたいと、家族と共に地元へ戻ってくることになりました。

人手も増えるので、ずっと挑戦してみたかったしいたけの原木栽培を検討しています。

原木栽培では低中温菌を発生させて春に収穫するしいたけがあると聞きました。

冬栽培のしいたけは味もよく人気だと聞き、ブランドしいたけとして数年後に売り出せたらと思っています。

そこで、低中温菌を発生させる手順や環境について、詳しく教えてほしいです。

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

しいたけの原木での冬栽培の際、低中温菌を発生させるには、温度5~20℃で風通しの良い環境が必要です

原木しいたけの冬季栽培とは


原木しいたけの冬栽培とは、冬の寒い時期にしいたけを発生させる栽培方法です。

原木しいたけは春と秋の2シーズンで発生が見込めますが、その中で春に収穫するしいたけを春子と呼びます。

冬栽培の原木しいたけは、市場に出回る原木しいたけの約8割を占めており、身がしまっているのが特徴です。


冬の伐採が適した原木もある


通常、原木しいたけの栽培ではクヌギやコナラといった木を原木として使用します。

原木として伐採するのは、材内へしいたけ菌の成長に必要な貯蔵された養分が豊富になる秋頃(10月中旬から11月中旬)が最適です。

しかし、シイ・カシ類の木を使う場合は、厳冬期1月~2月上旬に伐採をします。

シイ・カシ類がクヌギやコナラに比べて樹皮が乾燥しやすいため、厳冬期は樹皮がはがれにくくなることから、冬場の伐採が推奨されているのです。

しいたけの原木栽培に使用する材木についてはこちらをご覧ください
しいたけの原木栽培にはどんな種類の木が適しているの?
しいたけの原木栽培に使う木を伐採する時期とポイントは?
しいたけの原木栽培のほだ木を作りたい。組み方を教えて
しいたけの原木栽培で必要な原木の太さは?



低中温菌の浸水ハウス発生操作


原木しいたけで低中温菌を発生させる際は、以下の手順で作業を行います。

1、浸水
原木を水につけて12~24時間ほど放置。

2、水切り
浸水後に水から出して屋外で5~7日間放置して水を切る。日中の温度と夜間の温度差でより自然な芽出しが可能。

3、生長・休養
日中の温度が20度以下のハウス内環境でしいたけの発生を促す。採取後は約20~30日間の休養を設けて、しいたけが発生するのを待つ。

具体的な栽培方法についてはこちらをご覧ください
しいたけを原木栽培で生産する方法を教えてください
しいたけの原木栽培とはどんな育て方ですか?


冬栽培では、約10℃以下の温度が続く霜が降りる頃から発生が始まります。

気温が安定しないとしいたけの発生が見込めないケースも多く、水切り後はハウス内で発生操作を行います。


低中温菌発生の注意点


原木しいたけで低中温菌を発生させるには、浸水のタイミングが重要です。

浸水は最低温度5度を下回ったタイミングで行うようにしましょう。

生長や休養の期間は最高20度を超えることがないようにするなど、適した温度の環境で作業することも、低中温菌を発生させるうえで大事になってきます。

また、寒い環境は必要ですが、凍結してしまうと発生が見込めないので、休養期間中の降雨や積雪前にはブルーシートをかけるなどして、凍結対策を行っておきましょう。

浸水させるために必要な設備や方法についてはこちらをご覧ください
しいたけ栽培で原木を浸水させる方法が知りたい

このお悩みの監修者

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

農学博士。専門は、きのこ学、森林資源学。とくに食用・薬用キノコの生理特性や生産技術、森林の木材腐朽菌および菌根菌を研究し、九州大学発ベンチャー企業「株式会社マッシュピア」「ヒマラヤンバイオ・ジャパン株式会社」の各々会長、代表も務めている。

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