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しいたけの原木栽培で注意すべき害虫と対策を教えていただけないでしょうか?

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しいたけの原木栽培で注意すべき害虫と対策を教えていただけないでしょうか?

普段は露地栽培で野菜を育てていますが、新たにしいたけの原木栽培をはじめました。

以前、育てていた野菜が害虫の被害にあったので、しいたけでも虫が侵入しないか気になっています。

しいたけ栽培に農薬を使用するなんてありえないことだと思いますが、何かいい防除方法はあるのでしょうか?

どんな害虫に注意すべきで、どう対応したらいいのか教えていただけると助かります。

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

気を付けるべき害虫は3種類。繁殖源を除去し、ほだ場を清潔に保ちましょう

主なしいたけ害虫は3種


虫害への対策については、農薬を使わずに防除をすることが絶対条件となります。

しいたけ原木栽培における代表的な害虫は、
新しいほだ木を加害する「ハラアカコブカミキリ」
完熟ほだ木を加害する「シイタケオオヒロズコガ」
乾しいたけを食害する害虫として「コクガ」

がいます。

ほだ木に害を及ぼす「ハラアカコブカミキリ」は、キノコ菌糸の活着やまん延を阻害して菌糸を死滅させます。また、害菌の侵入につながる一因にもなります。

完熟ほだ木を加害する「シイタケオオヒロズコガ」は、菌糸や腐食部に食害を加え、材内部に空洞を空けます。

樹皮剥がれや腐食を進めるので、ほだ木の寿命を縮めることにつながります。

「コクガ」は、乾燥不足の乾しいたけを食害します。完全に乾燥して密封状態であれば、発生することはありません。


虫害の特徴と対処法


ハラアカコブカミキリ


ハラアカコブカミキリの成虫は、秋口に羽化します。

乾燥した石や落葉、切り株の下で越冬し、春先から夏まで食害や産卵をします。

幼虫はほだ木内樹皮部分を食べますが、食害された部分には空洞ができるため、キノコが発生しません。

成虫は伏せ込み用に上部を覆った笠木や小径木を好んで食べます。

ハラアカコブカミキリの対策としては、防虫ネットで覆うことでほだ木への産卵を防ぎます。


シイタケオオヒロズコガ


シイタケオオヒロズコガの成虫発生のピークは6月と9月の2回で、主に地面に産卵します。

幼虫は種駒を食害し、発生したキノコに侵入します。樹皮上に糸で筒を作り、糞を排出するので食害発見の目安になります。

対策としては、ほだ場の風通しを良くするとともに、ほだ木の密を避け湿潤環境にしないように注意します。

生息数を抑制するために、ほだ木を浸水させることも有効です。


コクガ


コクガの成虫は、およそ40もの卵をしいたけの表面に産卵します。

孵化した幼虫は内部に侵入し、穴から粉や糞を排出します。

コクガの対策は、しいたけの乾燥を十分に行うことと、保管環境に最善の注意を払うことです。


虫を寄せ付けないためのほだ木の管理


キノコの害虫は、廃ほだ木、朽ち木、落葉、堆肥などで繁殖します。こうした繁殖源を可能な限り除去し、ほだ場を清潔に保つことが重要です。

さらに、風の通りを良くすることで被害は軽減できるはずです。

注意すべきカビや病害については、こちらの記事をご覧ください
しいたけの原木栽培で気をつけるべきカビや病害は?

このお悩みの監修者

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

農学博士。専門は、きのこ学、森林資源学。とくに食用・薬用キノコの生理特性や生産技術、森林の木材腐朽菌および菌根菌を研究し、九州大学発ベンチャー企業「株式会社マッシュピア」「ヒマラヤンバイオ・ジャパン株式会社」の各々会長、代表も務めている。

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