菌床しいたけの栽培方法を教えてほしい

YUIME Japan編集部 / 2023.09.15

生産方法

#しいたけ #きのこ類

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山間地域で野菜や原木しいたけを栽培してきましたが、産直サイトで販売しているしいたけの売れ行きが良いので、菌床栽培もはじめてみようかと考えています。

菌床栽培であれば、季節を問わず栽培できるので、新しい販路も見つけられるのではないかと期待しています。

しかし、肝心の栽培方法について、あまり知識がありません。

菌床しいたけを栽培するには、さまざまな工程があると聞きましたが、具体的にどのような手順で栽培するのかを教えてください。

大賀祥治

九州大学名誉教授、中国吉林農業大学教授

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菌床しいたけは、仕込み、殺菌、接種、培養などのさまざまな工程を経て栽培します

菌床しいたけとは

菌床しいたけとは、おかくずや米や麦などを混ぜた菌床に種菌を接種して、人工的に栄養を与えてしいたけを栽培する方法です。

しいたけ栽培では、原木栽培という方法もありますが、菌床しいたけのほうが安定して収量を確保できる傾向にあります。

原木しいたけは、種駒を打ち混んだほだ木を屋外で管理しますが、菌床しいたけは、温度や湿度管理ができる屋内で栽培を行います。

原木栽培の方法はこちらをご覧ください
「しいたけを原木栽培で生産する方法を教えてください」

菌床しいたけの栽培方法

菌床しいたけの栽培は以下の手順で行われます。

1、材料の準備
2、仕込み
3、殺菌と放冷
4、しいたけ菌の接種
5、培養
6、発生と休養

材料の準備

はじめに、菌床になる材料の準備を行います。

菌床の材料は、おがくずと次のような栄養体が必要です。
・ふすま
・米ぬか
・トウモロコシぬか

農家によっては自身で材料を揃えるもいますが、多くはメーカーが販売している混合された材料を仕入れて使用するケースが多いです。

仕込み

材料を揃えたら、菌床を仕込む作業を行います。

仕入れたおがくずと栄養体を混ぜ合わせ、水を加えた後にミキサーで練りこみます。

練りこんだ後は、ビニール袋に詰め込んでいきましょう。

袋は耐熱性のポリプロピレンフィルムで、通気孔が設けられています。

仕込み終わったあとの菌床のイメージ

※写真はイメージです

菌床のブロックのサイズは、高さ約16cm、横幅約20cm、奥行約13cmを目安に適したサイズの袋に詰めておくことが重要です。

殺菌と放冷

袋に詰めた菌床は、専用の殺菌釜(100°高温の蒸気がでるもの)で常圧釜で4時間、高圧釜であれば1時間で殺菌します。

菌床から雑菌を排除するために重要な工程です。

また、この工程は、菌床を蒸しあげて菌糸が生育しやすくするのに大切な処理です。

殺菌が完了したら、清潔な部屋で一晩寝かせて温度を下げる放冷を行います。

放冷の際は菌床内が減圧になって外気を吸い込むので、清潔に注意しましょう。

しいたけ菌の接種

放冷が完了したら、しいたけ菌の接種を行います。

無菌状態のクリーンルームで、作成した菌床に菌を植えていきましょう。

接種は、もっとも雑菌の混入リスクが高まる作業です。

そのため、手作業ではなく専用の機械を用いて接種を行うのが一般的です。

培養

接種が完了したら、しいたけ菌を菌床に蔓延させる培養に移ります。

接種後の菌床を22度前後の温度にした施設へ移動しましょう。

しいたけが発生できる状態になるまで(約3～4カ月間)熟成させていきます。

発生

培養が完了したら、袋をはがし表面に光を当てていきます。

その際は、部屋の温度を15度以下まで下げて、湿度は80%を下回らないようにしておくことが重要です。

発芽から7～10日程度で収穫時期を迎えます。

収穫期の見分け方についてはこちらをご覧ください
「原木しいたけの上手な取り方とは？収穫までの流れも確認」

菌床しいたけ栽培時の注意点

菌床しいたけの栽培時には、以下のポイントに注意しましょう。

・雑菌の混入
・温度や湿度の管理

それぞれの工程で、適した室温や湿度があります。

接種から培養の適正温度や湿度は、それぞれ異なるので注意しなくてはいけません。

また、菌床に雑菌が混入すると、しいたけが育たない環境になってしまいます。

栽培の過程で混入するケースは多いので、無菌室の準備やその他の部屋も常に清潔に管理することが重要です。