代々続く農家で、これまで人が足らない時には、地域の人たちに手伝ってもらっていました。
しかし、うちの農村も高齢化が進み、なかなか人が集まらなくなってきています。
隣町では技能実習生を積極的に受け入れて、対策をしていると聞きました。さらに、農家だけでなく、水産加工場などでも働いているようです。
そこで、うちの地域でも技能実習生を受け入れようかと検討しています。技能実習生を受け入れるのにはどうすればいいのでしょうか?
また、受け入れの際の注意点や知っておくべきポイントがあったら教えて下さい。
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代々続く農家で、これまで人が足らない時には、地域の人たちに手伝ってもらっていました。
しかし、うちの農村も高齢化が進み、なかなか人が集まらなくなってきています。
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堀口健治
早稲田大学名誉教授
技能実習は開発途上国の外国人に日本の技術を習得してもらい母国で役立ててもらう制度
技能実習とは
技能実習とは、開発途上国出身の方に日本の高い技術やノウハウを現場で習得してもらい、母国でそれらを広めたり役立ててもらうという国際貢献を目的として設立された制度です。
対象となる職種は、耕種農業、畜産農業、漁船漁業、養殖業、農産物漬物製造業、機械加工、塗装など、83職種151作業があります(※令和3年1月8日時点)。
特定技能と技能実習の違い
技能実習と別に「特定技能」という制度があります。
どちらも同じ外国人を受け入れる制度のため混同されがちですが、制度内容や目的などは全く異なるので注意しましょう。
特定技能と技能実習の違いについては、こちらの記事もご覧ください
「特定技能と技能実習の違いを教えてください」
職種
特定技能は1号が14業種、2号が2業種において就労可能です。一方で技能実習は、83職種151作業に従事することが可能です(※令和3年1月8日時点)。
技能実習生の受け入れ可能な職種については、こちらの記事もご覧ください
「技能実習生の受け入れ可能な職種は?農業や漁業ではどんな作業を依頼できる?」
受け入れ人数
特定技能は原則、制限はありません。
しかし、技能実習の受け入れ人数には上限があります。受け入れ可能人数は企業の規模により異なるので、注意しましょう。
転職
特定技能は、同一職種であれば、国内で転職が可能です。
技能実習制度は、あくまで実習という位置付けであり、イレギュラーな場合(所属先が倒産した等)を除いて転職という概念はありません。
ただし、要件を満たせば技能実習生から特定技能への切り替えが可能です。
技能実習生の受け入れ手続きについて
技能実習生を受け入れる際の手続きについては、「企業単独型」と「団体監理型」の2パターンがあります。
技能実習制度においては「監理団体」が存在し、諸外国との契約や各種申請、そして実習の監理を行っています。
受け入れ側は費用を支払ってこの監理団体を利用するか、企業単独で受け入れを行うかを選択できますが、監理団体を通じて実習生を受け入れるのが一般的です。
技能実習生が入国するまでの期間についてはこちらをご覧ください
「技能実習生を受け入れ申請してから入国までかかる期間は?」
「技能実習生の受入機関とはどのようなサポートをしてくれる?」
技能実習生の受け入れ時の注意点・ポイント
農業分野における注意点
農業では、原則労働時間や休日について労働基準法は適用除外となっていますが、技能実習においては労働基準法に準拠する必要があります。
受け入れ側は労働時間や休憩、休日について、法律を再確認しておきましょう。
また、基本となる作業のほか、農業関連作業として農畜産物を加工した商品の製造およびパッキング等が可能となっています(直接販売する販売作業はできません)。
漁業分野における注意点
漁業分野においては実際に技能実習生を指導する団体のほか、受け入れを監理する団体や権限を持つ団体が複雑に構成されています。
監理団体以外への許可申請など受け入れ側で準備を行うものがあります。
給与体系や有給の有無などについてはこちらをご覧ください
「技能実習生に支払う給与の決め方や注意点について知りたい」
技能実習責任者と指導員についてはこちらをご覧ください
「技能実習実施者の受け入れ要件にある、指導員について教えて」
「「技能実習責任者」の役割とは?農業・漁業分野でおさえておきたいポイント」
「技能実習責任者講習は誰でも受けられる?」
技能実習の移行可能職種について
技能実習では入国1年目を第1号、2〜3年目を第2号、4〜5年目を第3号と区分しており、要件を満たせば、1号から2号、3号への移行が可能となっています。
技能実習生が2年目以降も日本での滞在を希望する場合、受け入れ側のサポートが必要になります。
移行可能職種かどうかを確認しましょう。
滞在期間や移行対象職種についてはこちらをご覧ください
「技能実習生の受け入れ可能期間は?10年間受け入れることは可能ですか?」
「技能実習制度の移行対象職種・作業の審査基準とは?」
「技能実習3号とはどのような区分ですか?条件やメリットは?」
このお悩みの監修者
堀口健治
早稲田大学名誉教授
専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。