先輩農家さんのもとで修行をして、今年独立することになりました。
運良く水田と畑を借りることができたので、まずは畑で露地野菜を栽培することに決めたのですが、問題は水田で何を育てるか決まっていないことです。
最初は稲作をやってみようかと考えていたのですが、米価格の下落が話題になっていたので、ほかの作物の栽培を検討しています。
そこで、レンコンであれば高単価で売ることもできますし、道の駅でも人気になっているので、チャンスがあるのではないかと考えています。
しかし、肝心の栽培方法について、まったく知識がありません。
植え付けや収穫の時期など、栽培方法やそれぞれの時期について詳しく教えていただけないでしょうか。
野田勇人
特定非営利活動法人れんこん研究会 理事長
レンコンは露地栽培の場合、4月に植え付けをおこない12月が収穫のピークです
レンコンの栽培方法
レンコンは露地栽培だけでなく、トンネル栽培やハウス栽培といった作型での栽培が可能です。作型によって収穫時期が異なるため、レンコンは一年中市場に出回ることができます。
最近では、複数の作型を並行して収量を上げている農家も増えているようです。
最も収穫時期が早いハウス栽培では、6月頃から始まります。収穫ピークは12月頃で、この時期はレンコンの旬と言われています。
ハウス栽培の方法についてはこちらをご覧ください
「レンコンをハウス栽培したい!栽培方法を教えていただけますか?」
レンコン栽培に適した環境
レンコンは日当たりがよい場所でないと成長しません。生育適温は25〜30度で、冬季を除いて基本的には直接日に当たる場所であることを確認してください。
また粘土質で保水性が高い土壌が、レンコン栽培に適しています。
上手にレンコンを栽培するためには、最初の土壌作りが最も重要です。栽培前に土壌診断をおこなうなどして、丁寧に準備しましょう。
栽培に適した田んぼの条件や産地、農具についてはこちらをご覧ください
「レンコンの栽培に適した田んぼの条件は?」
「稲作用の水田はレンコンに転用可能?」
「レンコンを栽培するのに最低限必要な農具を教えてほしいです」
「レンコン栽培が盛んな産地はどこですか?地域ごとに特徴を教えてください」
レンコン栽培の流れ
次に、一般的なレンコン栽培(露地栽培の場合)の流れについて紹介します。
植え付け
レンコンは一般的に種レンコンを使って植え付けをおこないます。種から栽培も可能ですが、出荷できるようになるまで数年かかるため初めは種レンコンを使用すると良いでしょう。
植え付けは4月頃、水温が15度を超えるようになってから始めます。植え付けの準備は、一週間ほど前から行いましょう。
まず土壌に元肥をまき、代かきで土を柔らかくして均一にならします。こうすることで、種レンコンが植えやすくなり、水を均一に張ることができます。
植え付けは手作業でおこないます。
成長途中で種レンコンの茎が折れないよう、しっかりと泥の中に植え付けるのがポイントです。
深さは尻尾部分が土の上に少し出るくらいを目安にしてください。
土づくりや植え付けに関してはこちらをご覧ください
「レンコンの栽培にはどのような肥料を与えれば良いのでしょうか?」
「レンコンは種から栽培するのと種レンコンを植え付けるのでは、どちらがいい?」
水管理
植え付け後は水管理が重要です。水切れをおこすと生育が悪くなったり、雑草が生えやすくなったりします。
また、高水温は腐敗病を誘発しやすいので、夏場は水をかけ流したりして、できるだけ水温を下げるようにします。
除草
藻や雑草が生えてきたら、レンコンの新芽に絡んで成長を妨げたり害虫の発生につながる可能性があるため、手で取り除きます。
このときレンコンの芽や茎を傷つけないよう、注意してください。
病害対策にも注意しましょう!詳細はこちらをご覧ください
「レンコンの腐敗病と予防法が知りたい!」
「レンコン栽培で使用する農薬は、どんな病害虫に対して効果があるの?」
「レンコンがかかりやすい病害虫の種類と対策を教えて」
カラ刈り
収穫前にはカラ刈りという作業をおこないます。
茎葉を切ってレンコンに空気が入らないよう赤渋を取り除きます。これは、綺麗な白いレンコンにするために必要な作業です。
収穫
収穫時期は品種や栽培方法によって異なりますが、一般的な露地栽培の場合、早生種であれば8月頃から収穫が始まり、12月頃にピークを迎えます。
早生種の場合、貯蔵性が悪いので、出来る限り年内に収穫します。
秋冬がレンコンの旬と言われる時期です。レンコンの収穫は重労働であり熟練の技が必要です。
水を張ったままおこなう「水ぼり」と、水を抜いた状態で収穫する「鍬ぼり」のいずれかでおこないます。
水ぼりでは、水圧ホースを使ってレンコンを掘り出します。鍬ぼりに比べてレンコンの時間あたりの収穫量が多いというメリットがあります。
一方、鍬ぼりは水を抜いてから表層15〜30cm程度の土を専用の機械で取り除き、手作業で土を掘りながらレンコンを収穫します。
水ぼりに比べると作業時間がかかりますが、泥をつけたままの新鮮なレンコンが収穫できるのが特徴です。
収穫方法についてはこちらもご覧ください
「レンコン栽培では収穫が大変だと聞きましたが、どのような方法で収穫しているのですか?」
このお悩みの監修者
野田勇人
特定非営利活動法人れんこん研究会 理事長
私たちNPO法人は、レンコンづくりにあたって直面する様々な問題を解決するためのお手伝いと、レンコンについての幅広い知識を、生産者や一般の方たちに知っていただくことを目的とする団体です。