これまで稲作を中心に営農していましたが、米の価格変動や米離れの影響もあり、新たにレンコンの栽培を始めたいと考えるようになりました。
そもそもお米と同様、レンコンも栽培地を「田んぼ」と呼びますが、これまで稲作をしていた田んぼでの栽培は可能なのでしょうか?
また簡単に転用できるのか、土壌はそのままでいいのか教えてください。
これまで稲作を中心に営農していましたが、米の価格変動や米離れの影響もあり、新たにレンコンの栽培を始めたいと考えるようになりました。
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野田勇人
特定非営利活動法人れんこん研究会 理事長
稲作をしていた田んぼでもレンコン栽培に転用可能
レンコン用と稲作用の水田の違い
レンコンと稲作、いずれも田んぼで栽培する際に必要な条件は広い土地と豊かな水です。しかし栽培期間中その水位を維持する必要があるレンコンに対し、稲作をおこなう田んぼでは中干しなど、排水ができる必要があります。
つまり、2つの栽培において大まかな必要条件は同じと言えますが、水管理の部分で大きく異なる特徴があります。
また、土壌環境においてもそれぞれに適した条件は異なります。
稲作用の水田では作業性確保のため、乾田化できることが求められる一方、レンコン用の水田ではその必要はありません。
また、土壤粒子の大きさがレンコンの品質に影響することから、土壌粒子が細粒であるほど、高品質なレンコンが生産できるとされています。
稲作用水田の転用方法
稲作用の水田をレンコン用に転用できるかという質問に対して、答えは「環境を整えることができれば可能」です。
実際に、多くの米農家がレンコン栽培に転換した実績があります。
特に稲作用の水田が深すぎた場合に、レンコン栽培に切り替えることで成功する例がよく知られています。
前述の通り、レンコン栽培に必要なのは豊かな水とそれを維持できる環境です。深い水田はレンコン栽培に適していると言えます。
では実際にどのように転用するのか。
どの新規栽培でも同じことが言えますが、まずは土壌診断からおこないます。
レンコンは特に土壌環境が収量に大きく影響する野菜です。
土壌診断ではリン酸や石灰、苦土などの含有量を確認し、レンコンに適した環境かどうかを判断します。
不足する栄養分がある場合はそれを補うために肥料を投入して、レンコンに適した土壌に改良できれば、レンコン栽培が始まります。
レンコンの栽培方法
レンコンは露地栽培やトンネル栽培、ハウス栽培などさまざまな栽培方法があります。
昔は旬の時期しか出回らなかったレンコンですが、今では収穫時期をずらすことで一年を通して出荷できるよう改善されています。
一般的なレンコン栽培(露地栽培の場合)は4月に植え付けを始めるため、農家はその少し前から準備を始めます。
レンコンは種からも栽培できますが、種レンコンを使って植え付けをおこなうのが一般的です。
植え付けが終わると、収穫までは水管理と追肥などの作業をおこないます。他の野菜と同じように病害虫や獣害(レンコンの場合は鳥害)対策も必要です。
収穫は早ければ7月頃から始まり、12月頃にピークを迎えます。
レンコンの収穫方法は水を張ったままおこなう「水ぼり」と、水を抜いた状態で収穫する「鍬ぼり」の2つがあり、どちらで収穫するかは農家によってそれぞれです。
レンコンの栽培方法や繁殖、作型などについてはこちらをご覧ください
「レンコンの栽培方法が知りたい。植え付けや収穫の時期はいつ?」
このお悩みの監修者
野田勇人
特定非営利活動法人れんこん研究会 理事長
私たちNPO法人は、レンコンづくりにあたって直面する様々な問題を解決するためのお手伝いと、レンコンについての幅広い知識を、生産者や一般の方たちに知っていただくことを目的とする団体です。