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萎凋病とは?原因や症状について詳しく知りたいです

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萎凋病とは?原因や症状について詳しく知りたいです

少量多品目で野菜を栽培している農家です。トマトやナス、ネギなどを育てていますが、最近、近所のトマト農家さんが萎凋病の被害にあってしまったそうです。

私はまだ就農して数年なので、病害で大きな被害を出したことはありませんが、明日は我が身だと思い、対策を考えています。

萎凋病の対策方法について知識がないのですが、どのような作物が被害にあうのかもわかっていません。

被害にあいやすい作物や、萎凋病の特徴、原因について具体的に教えていただけないでしょうか。

李 哲揆

データサイエンティスト

萎凋病はカビが原因の土壌伝染性の病気で、さまざまな農作物に被害をもたらします

萎凋病にかかる農作物の種類


萎凋病は、トマト、タマネギ、ネギ類など、さまざまな農作物に被害をもたらす病気です。

感染が拡大すると最終的に株が枯れてしまい、その後の収穫や栽培に影響が出るリスクも高まります。

そうなる前に、早急な対策を施すことが重要です。


萎凋病の症状と原因


萎凋病


萎凋病の病原菌はFusarium oxysporumというカビです。

病原菌は胞子の形で土壌中に残り、傷ついた作物の根から感染します。また病原菌が作物の種子に付着すると種子伝染します。

また温度が25〜28℃になると発病しやすくなるので、夏場や乾燥しやすい晩春、初秋に発症しやすくなります。

土壌pHは酸性土壌で発病しやすく、中性~アルカリ側で発病しにくい傾向があります。一般には砂質土や赤土の土壌で発病が高くなります。

萎凋病の症状としては導管や茎の部分が褐色になり腐敗してスカスカになります。根本がダメージを受けるため、水分や栄養が行き届かず葉部分が大きく折れ曲がる、黄色く変色するなどの症状が出ていたら要注意です。

萎凋病にかかると作物の成長が大幅に遅れ、着果不良も起こり得ます。

萎凋病に似た名前の病気として根腐萎凋病や半身萎凋病があります。しかし、これらは萎凋病の種類というわけではなく、全く別の病気になるので、区別が必要になります。

作物ごとの原因と対策についてはこちらをご覧ください
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半身萎凋病


半身萎凋病は、ナスやピーマン、トウガラシなどのナス科の植物に多く発症します。ナス科以外でも、オクラやハクサイ、ダイコンなど、様々な作物で発病します。

半身萎凋病はVerticillium dahliaeというカビが病原菌となります。

こちらも主に土壌中から感染します。また菌核は土壌中で3年近く生存するしぶとい菌です。

したがって、一度発症した圃場では長期に渡って被害が及ぶ可能性が高いです。病原菌の生育適温は25〜30℃であり、アルカリ土壌で発生が多い傾向があります。

発症しやすい時期は、初夏や梅雨時期、初秋といった比較的低温の時期であり、高温時には発病が減少します。

ナスの半身萎凋病の場合、発病初期は葉や株の片側だけに変色や萎れるなどの症状が現れることが多いです。

日中、葉のふちが軽くめくれ上がるといった症状が出ることもあります。萎れが進むと最終的に株が茶色く変化し、枯死してしまいます。

半身萎凋病対策についてはこちらをご覧ください
ナスが萎凋病になってしまった。どう対策すべきか教えて
ナスの半身萎凋病を予防したり対処する栽培方法を教えてください
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根腐萎凋病


根腐萎凋病はトマトやイチゴなどハウスで栽培する作物に発症します。

Fusarium oxysporumという萎凋病と同じカビが引き起こしますが、根腐萎凋病と萎凋病では細かく見れば種類が異なるため、その病徴も異なります。

発病しやすい地温は10〜20℃であるため、高温時に発症しやすい萎凋病とは対照的に、晩秋から春の比較的涼しい時期に発症します。また根が傷むと発病が助長されます。

根腐萎凋病にかかると、植物体が慢性的に萎凋症状を示し、最終的には枯死します。

また名前の通り、根の部分がひどく腐ってしまうことも大きな特徴です。細かい根が褐変腐敗したのち、最終的には根全体が腐って崩壊します。


萎凋病の疑いのある株は早めの除去を


萎凋病はカビ由来の伝染性の病気です。

土の中で気付かないうちに進行するため、病気にかかってしまった株は早めに除去し、他の健全な株に被害が拡がらないようにしましょう。

萎凋病を予防するには、連作を避ける、畑の水はけを良くするなど栽培に適した土壌を作ることが重要です。

萎凋病になった作物の対策方法についてはこちらをご覧ください
農作物が萎凋病になってしまった。どう対策すればいいですか?
萎凋病にかかってしまった農作物。有効な農薬の種類は?

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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