空いているハウスで花卉の栽培を始めました。
まずは自分が好きな花であるシクラメンの栽培をやってみましたが、順調に育っていた矢先にトラブルが…。
シクラメンの葉が黄色く枯れたようになってしまいました。
以前、トマトを栽培していたときに、同じような症状がでて、調べてみたところ萎凋病だったので、今回も同じではないかと不安です。
シクラメンも萎凋病に罹ることは知っていましたが、まさかこのタイミングで病気にかかるとは思いもしませんでした。
花卉だと果菜類とは対処法が異なることもあると思うので、対策法などを教えてほしいです。
李 哲揆
データサイエンティスト
シクラメンの葉が黄色くなるのは日照不足、高温、萎凋病などがあります。病気かどうかは症状を見て判断しましょう
シクラメンが萎凋病にかかる原因と症状
シクラメンの葉が黄色く変色した場合、萎凋病の可能性があります。
ただし萎凋病のほかにも他の病気や単なる生育不良の可能性があるため、診断には注意が必要です。
シクラメン萎凋病の主な症状
シクラメンの萎凋病は、病原菌であるFusarium oxsporumというカビがシクラメンの根にできた傷から侵入することで発症します。
初期に葉が葉脈に沿って黄色く変色し、後に葉全体がしおれたり黄色くなります。
次第に隣の葉にも症状が見られ、最終的には株全体に被害が広がり、株が枯れてしまいます。
病株の根や茎を切断した際に維管束が褐変していることが確認できれば萎凋病です。
シクラメンの場合、初夏〜開花期にかけて気温が高くなる時期に萎凋病が発症しやすいですが、高温期には発生しません。
萎凋病の症状についてはこちらもご覧ください
「萎凋病とは?原因や症状について詳しく知りたいです」
シクラメンが萎凋病にかかった時の対策
萎凋病にかかったシクラメンは、残念ですが回復することはありません。
速やかに処分してください。
発症株を放置していると、ほかの健全な株にも感染してしまう可能性があるため、適切な管理が求められます。
また萎凋病の病原菌は、何年も土壌中に生息できる厄介な存在です。
再発防止のために、感染した土壌は必ず消毒を行いましょう。
萎凋病になった作物の対策方法についてはこちらもご覧ください
「農作物が萎凋病になってしまった。どう対策すればいいですか?」
シクラメンが萎凋病にかからないための防除法
萎凋病は土壌伝染性のため、まずは菌が潜む土壌にシクラメンを植え付けないことが重要です。
植え付け時は、消毒済みで無菌の土を使用するようにしましょう。
さらに病原菌根の傷から侵入するため、肥料過多などで根を傷めないよう配慮することも必要です。
また植え替え後は、土壌に「ベンレート水和剤(ベノミル水和剤)」を散布しておくことも有効です。
その後、予防として1ヶ月に1回散布を行います。
萎凋病以外でシクラメンの葉が黄化する原因
シクラメンの葉が黄化する原因には日照、肥料の過不足、水切れ、高温などがあります。
特に日照や高温はコントロールしにくく、葉が黄化する大きな原因となります。
シクラメンは栽培期間が長いので、様々な要因に注意しながら栽培しましょう。
このお悩みの監修者
李 哲揆
データサイエンティスト
名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。