萎凋病にかかってしまった農作物。有効な農薬の種類は？

YUIME Japan編集部 / 2023.06.26

分析・管理

#トマト #ネギ #ピーマン #ほうれん草 #唐辛子 #大豆 #玉ねぎ #病害虫 #野菜作

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インターン制度で農家さんのもとで経験を積み、今年から新規で営農をはじめました。

ナスやトマトなどの夏野菜の栽培に挑戦中で、今のところ順調に成長しています。

しかし、これから梅雨時など病害の頻度が高くなってくる時期でもあり、対策を勉強中です。

特にトマトなどは萎凋病というものにかかりやすいと聞きましたが、この病原対策として農薬は効果的ですか？

効果があるとしたらその種類を教えてほしいです。

李哲揆

データサイエンティスト

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萎凋病に有効な農薬は栽培する野菜によって異なります

萎凋病とは

萎凋病は土壌伝染性の病害で、病原菌が作物の根にできた傷などから侵入して導管で増殖します。

この病原菌は長期間土壌中に生存することが可能なため、土壌中の被害残さが感染源となります。

発症すると一部の葉または株全体が枯れ始め、最終的には枯死してしまいます。日中は萎れ、夜間になると元に戻るのが特徴です。

地際部の茎を切断すると、維管束の褐変が見られます。

発病適温は20〜25度で、28度以上の高温時には発症しません。したがって初夏や秋に多く発生する傾向にあります。

萎凋病はトマト、ピーマン、ネギなど多くの作物に発症することが確認されています。

一方、ナスについては萎凋病ではなく、半身萎凋病が発生しやすいです。

ナスの半身萎凋病についてはこちらをご覧ください
「ナスが萎凋病になってしまった。どう対策すべきか教えて」

萎凋病に有効な農薬の種類

萎凋病に有効とされる代表的な農薬には以下のようなものがあります。農薬は種類によって適応する作物が異なるため、使用前には必ず確認が必要です。

農薬	対象作物（例）
トップジンＭ水和剤	ネギ
キルパー	アサツキ、サヤエンドウ、トマト、ミニトマト、ピーマン、ほうれん草
ドロクロール	ほうれん草、ピーマン、唐辛子類、トマト、ミニトマト
ベンレート水和剤	ネギ、ワケギ、トマト、ミニトマト、ほうれん草
バスアミド微粒剤	馬鈴薯、ゴボウ、にんじん、ネギ、トマト、ミニトマト、ピーマン、唐辛子類、キャベツ

農薬散布上の注意

ラベルを確認し、散布回数、時期、適応作物、希釈濃度などを守るようにしましょう。

農薬を適切に散布しないと、耐性菌を発生させ農薬が効かなくなったり、余分なコストがかかったりします

農薬以外の萎凋病の対策

萎凋病対策には農薬を使用しない方法もあり、圃場条件を適切に管理することが大事です。

これは「耕種的防除」と呼ばれ、病害虫が発生しやすい条件を排除し、病害虫の発生や被害を抑制する栽培技術の一環です。

具体的には、栽培方法や品種、ほ場の衛生管理などが含まれ、最近では抵抗性のある台木の利用なども広く活用されています。

土壌消毒

萎凋病の病原菌は土壌中の生存力が高いため、土壌消毒は有効的な方法です。

太陽熱土壌消毒、土壌還元消毒といった方法があり、いずれも熱と蒸気を利用して土壌中の細菌を死滅させます。

十分な地温を取れるかどうかがポイントになるので、栽培環境に適した方法を選択することが大切です。

土壌消毒の方法についてはこちらをご覧ください
「野菜が青枯病になってしまいました。土壌消毒をしたいので方法を教えてください！」

圃場管理

萎凋病は傷ついた根から感染します。

したがって、根が傷つきにくい圃場管理をするために、土壌の加湿、過乾燥がないように心がけることが大事です。

またセンチュウの食害により根が傷つくこともあるので、有機物施用や土壌消毒などを併用しながら、センチュウ害を防ぎましょう。

また萎凋病の耐病性台木を用いることで被害を軽減することもできます。

様々な方法がありますが、その地域や土壌によって有効な対策が異なるので、地域の普及員の農家さんなどとの情報共有が大事です。