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いちごの栽培をはじめて４年目の農家です。最近、トラブルが起きて困っています。
今年栽培していたいちごが枯れてしまいました。
害虫のチェックは行っていたので、虫が原因で枯れた可能性は低いと考えています。
近くの農家さんに相談したところ「萎凋病じゃないか？」と言われたのですが、原因は何なのでしょうか？
次も同じ事態になることは防ぎたいので、対策や予防策を教えていただきたいです。
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李 哲揆
データサイエンティスト
いちごに障害が起こった原因を突き止め、原因にあった対策を心がけましょう
いちごが枯れる原因
いちごが枯れる理由は病害だけではなく、水や肥料の不足や過多、ハダニのような害虫の可能性もあります。
また水耕栽培の場合は酸素不足も考えられます。
したがって、近隣の農家さんがなぜ萎凋病と判断したか、そこを突き止め原因に応じた対策を講じることが寛容です。
そのため、いちごが萎凋病に感染したと仮定して、その症状や対策をお答えします。
いちご萎凋病の原因と症状
いちご萎凋病は土壌伝染性の病害です。
Verticillium dahliaeという土壌伝染性のカビが原因で、このカビは土壌中で3年以上生き残ることができます。
発症適温は20〜25度で比較的冷涼な気候を好み、作物の根にできた傷などから侵入して導管で増殖します。
いちごが萎凋病を発症すると、下葉に褐色の線模様が現れ小葉の一部や全体の葉が縁からしおれていきます。
継承な株は全体的に生育不良が見られ、着果する頃には急激に株全体が萎れます。
判別法としては外葉の葉柄を切ると維管束の褐変が見られる、クラウンの導管も淡い褐色になりますが、萎黄病や炭疸病に比べて褐色の度合いが薄い、低温期に発生しやすいなどがあります。
また、いちごの萎凋病は土壌感染以外にもランナーを通じて苗伝染することがわかっており、病原菌を持つ可能性のある苗の移動によって感染が拡大することに注意が必要です。
萎凋病の症状と原因についてはこちらをご覧ください
「萎凋病とは？原因や症状について詳しく知りたいです」
いちごが萎凋病にかかってしまった時の対策法
いちごの萎凋病は一度発症すると有効な防除法はありません。
発病株はそのままにしておくと作物内での病原菌の密度が高まるため、発見したら直ちに除去することが重要です。
発症株はほ場の外に持ち出して、焼却処分します。発症した土壌は次の作付けまでに消毒を行う必要があります。
萎凋病になった作物の対策方法についてはこちらをご覧ください
「農作物が萎凋病になってしまった。どう対策すればいいですか？」
いちごが萎凋病にかからないための予防法
土壌消毒
土壌消毒は土壌中にいる様々な病原菌を死滅させ、土壌環境を整える方法です。
クロルピクリンのような土壌消毒剤を用いる方法や、高温期に圃場を湛水しハウスを締め切った太陽熱消毒が一般的です。
定植前や発症後の土壌では必ず行いましょう。萎凋病以外の病害対策にも有効です。
無病地で採苗、育苗を行う
前述のとおり、萎凋病は土壌伝染および苗伝染するので、病気にかかっていない健全な親株を選び、土壌消毒を行うなどした無病地で栽培することが大前提となります。
ナスやトマトとの輪作を避ける
イチゴは連作障害が起きやすいので、輪作が推奨されます。
しかし、イチゴ萎凋病の病原菌はナスやトマトの半身萎凋病を引き起こす菌としても知られています。
したがって、これらの作物と輪作をしても防除効果は低いです。メロンやスイカ、ほうれん草などが良いでしょう。
このお悩みの監修者
李 哲揆
データサイエンティスト
名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士（農学）を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。