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青枯病の原因を教えてください

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青枯病の原因を教えてください

野菜を育てている農家です。最近、育てている野菜が青枯病になってしまいました。

病害にならないよう対策してきたつもりだったのに、何が不十分だったのでしょうか。

青枯病になってしまう原因を教えてもらえないでしょうか。

李 哲揆

データサイエンティスト

青枯病は細菌性の土壌病害で、作物の根の傷口から侵入します

青枯病の症状と原因


青枯病は「青枯病菌」という細菌が原因で、その名の通り「青いまま枯れて」しまう土壌病害です。

これまでにトマトやなす、ジャガイモ、ピーマンなど、100種以上の作物への感染が確認されており、多くの農家が悩まされている病害です。

青枯病菌は、前作の残渣がすき込まれた土の中で数年間生存します。土壌中の青枯病菌は作物の根の傷口から侵入し、導管中で増殖すると作物が水分を吸い上げられなくなり、最終的に枯死します。

発症すると日中に葉の一部がしおれ、夜間には回復するという症状を繰り返します。その後、株全体が青い状態のまま急激なスピードでしおれます。

作物中の水分を介して感染拡大するため、水はけの悪い土壌環境や25〜37度の高温多湿の条件下で発症しやすいと言われています。

反対に、青枯病菌は乾燥に弱い性質があり、乾燥した土壌表面では長期間生存できません。

青枯病の判断方法


青枯病のように作物がしおれる作物の病気には、根腐萎凋病や立ち枯れ病などがあります。

青枯病を見分けるには、発病した株の茎を切って水の中に入れてみます。

切り口からモヤモヤし、白濁した液が出てくれば、青枯病を発症しています。

より正確に調べる場合は、市販されている青枯病検査用のイムノストリップなどを使いましょう。

青枯病の対策


現時点では、青枯病に効く農薬はありません。また、青枯病菌は土壌中での生存力が強く、根絶が難しいと言われています。

一度発症した土壌では再発の可能性も高いため、できる限り発生しないための予防対策が必要です。

青枯病対策に有効とされているのは、土壌消毒や輪作、土壌の排水性の見直しなどです。

青枯病菌は根の傷口から侵入するため、輪作などでセンチュウによる食害を抑えることも重要です。

こうした土壌改良に加えて、青枯病に抵抗性のある品種を選ぶなど、いくつかの対策を並行して行うと、より効果が期待できます。また抵抗性台木や高接ぎ木も有効です。

また、青枯病菌は剪定ハサミなどの作業具を介して伝染する恐れもあるため、発症株に触れた道具や手指の消毒は忘れず行いましょう。

剪定用ハサミの消毒方法についてはこちらをご覧ください
青枯病対策に剪定用ハサミの消毒方法を教えてください


青枯病は細菌が原因で高温多湿の環境に注意を


青枯病菌は一度発症すると防除が難しい厄介な土壌病害です。

日中はしおれていたのに夜には回復していたという場合は、青枯病を疑いましょう。

青枯病は高温多湿の環境で活発になり、水の移動によって菌が広がります。

土壌消毒や排水性の見直しなどが、予防対策として重要です。

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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