父親の農園を手伝っている20代の農家です。
うちの農園ではこれまでパートさんを雇ってきましたが、高齢化してきたので、特定技能の外国人材を受け入れようかと検討しています。
先日、父親が役所の人に相談に行ってきたのですが「手続きが複雑でよくわからない」と、帰ってきてしまいました。
いまの時代であれば、オンライン上で簡単に申請できるのではないかなと思うのですが、私が役所に行って聞いてくる時間がありません。
特定技能の受け入れ申請はオンラインでも手続きできるのでしょうか?
できるのであれば、手続きの方法を詳しく教えてください。
堀口健治
早稲田大学名誉教授
特定技能制度では、在留資格をオンラインで申請可能です
農業・漁業における特定技能外国人の受け入れの流れ
特定技能1号は原則、週5日30時間以上の勤務が可能なフルタイムもしくは正社員雇用のみと定められていますが、繁忙期と閑散期がある農業・漁業分野では例外として派遣での雇用が認められています。
それぞれ要件は異なりますが、基本的な受け入れの流れは同じです。
特定技能外国人を受け入れるには外国人は技能試験と日本語試験の2つの試験に合格する必要があります。
受け入れ機関は外国人が試験に合格したことを確認後に雇用契約を締結し、事前ガイダンスや健康診断などを行います。
また派遣形態の場合は派遣先との労働者派遣契約の締結も必要です。漁業分野の場合は協議会への加入を忘れずに行いましょう。
上記と並行して支援計画書の提出や在留資格の申請を行い、それぞれの許可がおりれば雇用を開始できます。
外国人が海外にいる場合は、受け入れ機関が入国手続きや入国時のサポートを行う義務があります。
特定技能の制度についてはこちらをご覧ください
「特定技能1号とは?農業や漁業でも雇用できますか?」
「在留資格の一つである特定技能1号について詳しく教えて」
「特定技能制度の雇用契約と労働条件とは?」
「特定技能1号の受け入れは派遣でも可能ですか?」
「特定技能1号の指定書とは?雇用時にチェックすべきポイント」
「特定技能1号の外国人は転職可能なのでしょうか?」
「特定技能1号と2号の違いについて教えてください」
特定技能外国人受け入れは電子申請が可能?
特定技能の受け入れにおいては、出入国在留管理庁への申請が電子対応可能となっています。
具体的には、以下の申請が対象です。
・在留資格認定証明書交付申請
・在留資格変更許可申請
・在留期間更新許可申請
電子申請の手続きと流れ
電子申請を利用するためには利用前に「出入国在留管理庁電子届出システム」の利用申請をしなくてはなりません。
1、管轄の地方出入国在留管理官署で「利用申出」を行う
2、必要な書類を準備する
3、「在留申請オンラインシステム」を使って申請を行う
電子申請時の注意点
特定技能の電子申請は原則、受け入れ機関と当機関から依頼を受けた行政書士、弁護士が行いますが、2022年3月からマイナンバーカードを活用して本人確認を行うことにより、外国人本人でもオンラインによる在留申請手続きが可能となりました。
特定技能外国人の受け入れに関する手続き方法に関しては、時勢の変化に応じて適宜改正されているため、最新の情報を把握しておくことが大切です。
また、「利用申出書」の審査には1週間〜2週間ほどかかります。スケジュールには余裕を持って進めましょう。
特定技能の申請は便利な電子申請を利用して
電子申請には、出入国在留管理庁の窓口に行く手間や時間が省略できる、24時間いつでも申請可能、といったメリットがあります。
特定技能制度においては今後もこのようなIT化が進むことが予想されますので、便利なシステムは積極的に活用していきましょう。
電子機器が苦手という担当者の方は、行政書士や弁護士に依頼して進めることをおすすめします。
このお悩みの監修者
堀口健治
早稲田大学名誉教授
専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。