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1号特定技能外国人支援計画書の作成ポイントは?

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1号特定技能外国人支援計画書の作成ポイントは?

兼ねてから人不足に困っており、農作業を助けてくれる人材を確保するためにも特定技能外国人の受け入れを行う予定です。

現在、必要書類の情報を収集しています。

申請は多岐に渡るので、登録支援機関にお願いすべきかも含めて検討していますが、できれば自分でやりたいと考えています。

その中で、「1号特定技能外国人支援計画書」を作成しなければならないという事項がありましたが、どう作成すればいいのか悩んでいます。

自分で作成できないようであれば、支援機関にお願いしようと思いますが、どのように作ればいいのか参考にしたいので、教えてもらえると助かります。

堀口健治

早稲田大学名誉教授

1号特定技能外国人支援計画書では10の支援すべき項目がある

1号特定技能外国人支援計画書とは


1号特定技能外国人を受け入れる際、受け入れ機関は当該外国人に対する様々な支援が義務付けられています。

その内容を表記したものが「1号特定技能外国人支援計画書」(以下、支援計画書)です。

支援計画は基本的に特定技能所属機関(受け入れ機関)が行うものですが、登録支援機関に委託することもできます。

1号特定技能外国人支援計画書には、支援対象者の氏名や国籍などから、特定技能所属機関・登録支援機関の概要、そして具体的な支援内容を記載します。


特定技能外国人に支援が必要な理由


支援計画は1号特定技能外国人が日本の生活に適応し、在留資格に基づく活動を円滑に行うことを目的として実施が義務付けられています。

多くの1号特定技能外国人は日本に来ることが初めてで、日本の文化や生活様式に不慣れな環境です。

当該外国人が円滑に業務に取り組むためには、日常生活における不安を取り除くことも重要なサポートの一つと言えます。

支援計画書の作成義務は1号のみで、2号の場合は必要ありません。

なお受け入れ機関が行う支援は「義務的支援」「任意的支援」の2種類があり、義務的支援は必ず実施しなければならないため注意しましょう。


作成が義務付けられている項目


1号特定技能外国人支援計画書では、以下10項目の作成が義務付けられています。

1、事前ガイダンス


事前ガイダンスでは、雇用契約や具体的な活動内容、日常生活における注意点、入国や在留資格に関する説明や確認などを行います。

基本的には対面での実施ですが、コロナ禍以降は本人確認ができる場合に限りオンラインでの実施も認められています。

事前ガイダンスの目安は3時間程度とされていますが、1号特定技能外国人が理解するまで行う必要があります。


2、出入国時の送迎


1号特定技能外国人が帰省などで出入国を希望した場合、受け入れ機関は出入国の手続きを行う港、あるいは飛行場間の送迎が義務付けられています。

また、出国時の送迎では港あるいは飛行場へ送るだけでなく、保安検査場の前まで同行して入場を見届ける必要があります。

送迎の方法に指定はありませんが、事故や道路交通法違反のリスクを考慮して公共交通機関の利用が推奨されています。

また、出入国の費用は原則1号特定技能外国人の負担となりますが、日頃の活動の労いとして受け入れ機関が負担するケースもあります。

費用負担に関しては、事前ガイダンスの際に相談して決めておくことが望ましいでしょう。


3、住居確保、生活に必要な契約支援


住居を確保していない1号特定技能外国人に対しては、受け入れ機関は住居確保までの支援が求められます。

具体的には、不動産仲介事業者や賃貸物件に関する情報提供、内覧の同行などが挙げられます。

なお、受け入れ後に当該外国人が転居する場合にも同様の支援が必要です。


4、生活オリエンテーション


生活オリエンテーションとは、1号特定技能外国人が日本での日常生活や職業生活、社会生活を安定的かつ円滑に行うための情報提供のことです。

1号特定技能外国人が入国した後もしくは在留許可後に行います。

出入国在留管理庁のホームページ内に「外国人生活支援ポータルサイト」や「生活・仕事ガイドブック」がありますので、それらを基に実施します。


5、外国人がすべき官公署に対する届け出などの同行


1号特定技能外国人が公的手続きを行う際、受け入れ機関は必要に応じて窓口までの同行が義務付けられています。

特に国民健康保険や国民年金に関しては保険料が未納だと在留資格の申請に影響する可能性もあり、受け入れ機関が同行するほうがよいでしょう。


6、日本語学習の機会の提供


受け入れ機関に求められる日本語学習の機会の提供とは、あくまで学習機会を提供することです。

具体的には、日本語教室の入学案内や日本語学習教材などの情報提供と利用手続きのサポートなどを行います。

ただし、日本語学習は1度で取得できるものではないため、当該外国人の状況に応じた継続的な支援が必要です。


7、相談・苦情への対応


1号特定技能外国人から職業・日常生活において苦情や相談があった場合、受け入れ機関は速やかに対応し、当該外国人への助言・指導が義務付けられています。

苦情・相談への対応は当該外国人が十分に理解できる言語で実施しなければなりません。

任意的支援として、あらかじめ事業所に相談窓口を設置しておくこともおすすめです。


8、日本人との交流促進


慣れない外国で職場と自宅を行き来するだけの生活では、1号特定技能外国人が孤独・孤立を感じてしまうことがあります。

そのため、受け入れ機関は当該外国人と日本人との交流促進を行うことが求められています。

具体的には、地域の自治会や地域住民との交流の場に関する情報を提供する、イベントなどへの参加手続きをサポートするなどです。


9、転職支援


受け入れ側の都合により雇用契約を解除する場合、受け入れ機関は転職先を探すサポートや推薦状の作成などに加え、求職活動のための有給休暇の付与や必要な行政手続きの情報提供を行う義務があります。

人員整理や倒産などが原因で転職のための支援が難しい場合は、手続きを代行してくれる登録支援機関をあらかじめ確保しておかなければなりません。


10、定期的な面談や行政機関への通報


支援責任者あるいは支援担当者は1号特定技能外国人とその上司の両方と3か月に1回以上面談を行い、労働基準法違反などがあった場合は通報が義務付けられています。

面談は当該外国人が十分に理解できる言語で実施し、当該外国人の生活や雇用条件が適切に守られているかを確認しましょう。

特定技能1号の人材を雇用するための条件や書類についてはこちらをご覧ください
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このお悩みの監修者

堀口健治

早稲田大学名誉教授

専門は経済学(農業経済学・農業政策)。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長を務め、2015年から2022年まで日本農業経営大学校校長。山形県高畠町の屋代村塾および同県寒河江市の葉山村塾の塾長も務めた。

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