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来年から新しくナスの栽培を始めたいと思っています。これまで葉野菜を中心に育ててきましたが、近くの農家さんからナスの売れ行きが良いと聞いたので、うちでもやってみようかと思います。
これまでナスを栽培した経験はないものの、春に種を播いて夏～秋にかけて収穫するイメージです。
まずは試験的にはじめてみようと思うのですが、どの時期にどんな作業をすればいいのか、教えてください。
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前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
ナスは春から種まき、育苗をはじめ、夏に剪定作業をして秋にかけて収穫作業をします
ナス栽培の一般的な栽培スケジュール
温暖地の一般的な圃場であれば、ナスを栽培する季節は「春から秋」です。
種をまいて苗を育てる場合は、「冬の終わりから秋まで」となり、苗を購入して栽培する場合は「春から秋まで」になります。
ナスは実を付け始めてからの成長力が著しく、剪定し、水分・肥料を与えることで、秋まで収穫が続きます。
季節ごとに必要な作業
それでは、季節ごとにどのような作業を行うのか、具体的に紹介します。
冬〜春「種まき・育苗」
最初の種まきを開始する時期の目安は、「冬の終わり頃」です。気温が高くなり、暖かさを感じる日が来る前にまき終わるのがポイントです。
ただし、ナスは暖かい環境を好みますので、この時期であるとビニールハウスなどで加温や保温資材が必要となります
ポット等にまいた種から発芽させて栽培（自根栽培）をする場合は、発芽して圃場に植え付けたい日から70日程度を逆算して決めると良いでしょう。
病害虫や連作障害に強い接ぎ木苗を購入して育てる場合は、植え付けする日から40～45日程度を逆算して購入しましょう。
ただし、連作障害に強い接ぎ木苗を用いても、ナスは連作しないようにしましょう。
育てた苗を畑に植え付ける（定植）目安は、晩霜の心配がなくなる気温10度以上、地温15度以上になる頃です。一般的に中間地・暖地の露地栽培では、この条件が揃うのが5月上中旬にあたります。
株が伸びてきたら、支柱を立てて、苗が風で揺れないように固定したり、紐やテープ、クリップ等を使って、支柱に沿って枝が成長するように誘引します。
病害虫の対策や連作についてはこちらをご覧ください
「ナスによく発生する虫の種類や防除方法は？」
「ナスを青枯病から守るためにはどのような方法があるのかを知りたい」
「ナスが萎凋病になってしまった。どう対策すべきか教えて」
「ナスを連作しても大丈夫？気をつけるポイントは？」
夏「収穫・剪定の時期」
定植後は気温が上昇するにつれ、ナスはどんどん茎を伸ばし葉の枚数を増やしていきます。
夏に必要な作業は、実の収穫、生長した葉や茎の剪定、肥料や水を与えることです。収穫や出荷作業をしながら、剪定や水と施肥の管理も行わなければなりません。
さらに、7〜8月は、秋ナスを実らせるために不要な枝を切り詰める「更新剪定」を行います。
次のシーズンのために種取りをする場合は、着果した実が成熟し、果皮の紫色が変色してきた頃に収穫した実を10〜14日間追熟させて、種を採取すると良いでしょう。
剪定作業や肥料についてはこちらをご覧ください
「ナス栽培の剪定作業はどのように行えばいいのでしょうか？」
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「ナス栽培におすすめの液肥は？与え方や注意点も教えて」
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秋「収穫」
夏に更新剪定を行い、水やりや追肥をすれば、約1カ月でナスは再び実を付けます。
収穫後は、支柱や誘引に使用した資材を取り払い、圃場に残った枝や葉などの残渣（ざんさ）を処分します。
収穫後の冬にやっておくべきこと
収穫を終えた冬の時期には、土壌や資材の消毒、次の栽培に向けた土作りなどを行いましょう。
道具や機械のメンテナンスも、この時期にやっておくと良いでしょう。
ナス栽培の土づくりや土壌管理についてはこちらをご覧ください
「ナスを栽培する時に、畑に畝を立てる手順やポイントは？」
このお悩みの監修者
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。