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ナス栽培におすすめの液肥は?与え方や注意点も教えて

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ナス栽培におすすめの液肥は?与え方や注意点も教えて

地域のインターンシップ制度を利用し、晴れて今年から農家になることができた新規就農者です。

ずっとナスの栽培に興味があったので、まずはナスの生産からはじめようと考えています。

ナスは暑い夏の時期に実り、肥料をよく吸収する作物ですが、私はあまり力がないので、液肥を使いたいと考えています。

そこで、ナス栽培におすすめの液肥を教えていただけないでしょうか。また、施肥の方法や注意点も教えてもらえると助かります。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

肥料を好むナスの追肥には、即効性の高い液肥を使うのもおすすめです

ナスの肥料の種類


ナスを収穫するまでに必要な肥料の種類について説明しましょう。

元肥と追肥を与える時期


元肥(もとごえ)は、ナスの苗を畑へ植え替える前に土壌に施用する肥料のことです。

追肥(おいごえ・ついひ)は、ナスの株が生育するのに必要な栄養を補う肥料のことです。苗を植え付けて茎が伸び葉を広げていく過程で、追加して与える肥料のことです。

追肥を与え始める時期は、ナスの定植から3週間後が目安です。ちょうど実を付け始める時期に当たります。

以降、2週間に1回のタイミングを目安に定期的な追肥が必要です。

ナスは肥料を好む作物です。生育が芳しくない場合は、肥料不足の可能性も疑いましょう。

夏から秋まで継続的に実を収穫するためには、特に追肥を忘れず与えることが重要です。

ナスに与える追肥とタイミングについてはこちらをご覧ください
ナスを栽培していますが、あまり元気がありません。追肥の手順や注意点を教えてください



液体肥料と固形肥料の違い


ナス栽培に使う肥料には、「液体肥料」と「固形肥料」の2種類があります。

液体肥料は文字通り液体状の肥料で、希釈し(薄め)て植物体に散布するタイプや、植物体の株元の土壌に水やりをするイメージで施用するタイプなどがあります。

固形肥料には、粉末タイプや錠剤の大きさのもの、粒状のものなどがあります。

また、肥料は効果が現れるまでのスピードや持続する長さにより、以下の3つのパターンに分類されます。

・「速効性肥料」与えるとすぐに効果が現れる肥料で、主に追肥に使われる
・「緩効性肥料」施用した後に効果が現れ、ゆっくり長く効果が持続する肥料
・「遅効性肥料」施用した後は、なかなか効果が現れないが、後々効果が現れてきて長く持続する肥料で、主に元肥に使われる


液体肥料は、土壌や植物に浸透しやすい「速効性肥料」である場合が多いです。ナスの場合も、液肥は速効性肥料を用いて、主に追肥に使われています。

肥料にどういう成分が含まれていてどのような効果があるのかは、使う前にパッケージの表記をよく確認してください。


ナスへの液肥の与え方


次からは具体的な液肥の与え方について説明します。

必要あれば希釈し(薄めて)、追肥として与える


一般的に、元肥で液肥を使うことはありません。追肥として2週間に1回の頻度で忘れずに与えましょう。

液体肥料は、パッケージ等に表示されているとおりに水で薄めてから使います。散布する際は、液肥の原液と水を、タンク等にパッケージ等に表示されているとおりの濃度で混ぜておきます。

散布に際し、機械類を特に使わない場合は、ジョウロなどで株の根元に散布します。

より即効性が高い方法として、土壌ではなく、葉に散布する方法もあります(葉面散布)。葉の裏面には気孔がありますので、裏面にもしっかり散布しましょう。

液肥の作業をより効率化したい場合、「液肥混入器」を水源につなげて液肥を一定の濃度で入れて管理す方法や、ホース連結や電動式で広範囲に散布する「噴霧器」を導入するのもよいでしょう。


ナスに液肥を与える際の注意点


希釈タイプの液肥を濃いめにすればより強い効果が現れるわけではありません。

肥料が過剰だと、「肥料焼け」という症状を起こすことがあります。

これは肥料の成分で根が傷み、水分や栄養が地上の葉や茎にまで行き渡らなくなるために起こります。結果として、作物の葉が焼け枯れたような状態になります。

したがって、液肥を散布する場合は、濃いめより薄めに調整して回数を多く散布する方が良いでしょう。

また、肥料の成分でもある窒素が土壌中に多く残留してしまうと、葉が必要以上に生い茂ってしまい、病害虫の発生や収量低下の原因になりますので、肥料の与えすぎにも注意が必要です。


ナス栽培におすすめの液肥


最後に、ナス栽培におすすめの液肥を紹介します。

液肥を選ぶポイント


まずは最低限、「窒素」「リン酸」「カリウム」という基本の3要素が含まれているものを使って栽培経験を積むのが安心です。ラベルのデザインや商品説明になすが入っているものを選べば確実でしょう。

栽培方針や生育の様子によって、微量要素や有機原料を配合した液肥を導入するのもおすすめです。

それでは、参考までに下記液肥を紹介します。


ハイポネックス原液


成長に必要な栄養素を15種類、バランスよく配合。ナス以外の野菜や花にも効果を発揮する使い勝手の良い液肥です。

製品ラベルや説明書きをよく読み、不安な点があれば仕入れ先等へ相談して、正しく使用しましょう。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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