いろいろな野菜を栽培していますが、圃場が空いたので、新しくサツマイモの栽培をはじめようかと検討しています。
どんな品種を育てるべきか、いろいろと調べていますが、サツマイモは登録されているだけでも60種類ほどあるようです。
地域によって育てやすい品種や、売れやすい人気の品種など、さまざまな種類があると思うので、おすすめのサツマイモの品種を教えてください。
いろいろな野菜を栽培していますが、圃場が空いたので、新しくサツマイモの栽培をはじめようかと検討しています。
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山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
各品種の特徴を知り、自分の環境にあった品種を栽培しましょう
用途や地域によって栽培する品種に違いがある
サツマイモはスーパーなどで販売される以外にも、干しイモやカリントウなどの加工用や焼酎原料用、でん粉原料用などといった用途があります。
さらに、最近ではスイーツの材料としての用途も高まってきています。
全国のサツマイモの生産量の約8割は茨城、千葉、宮崎、鹿児島の4県で生産されており、関東2県はほとんど青果用、宮崎は6割が焼酎用、そして鹿児島では焼酎用・てん粉用が中心に栽培されています。
このように、サツマイモは用途や地域性があり、多くの農家さんでは年間を通じて数種類を育てているケースが多い傾向があります。
栽培におすすめのサツマイモ6品種
定番の人気品種から、イモが綺麗、美味しいなどといった青果用として適した品種を6つ紹介します。
ベニアズマ(紅あずま)
茨城県や千葉県などを中心に栽培されており、青果用サツマイモとして、これまでは国内の生産高第1位を誇る定番品種です。
正式名称はベニアズマですが、「紅あずま」などと表記されることもあります。
皮は濃い赤褐色で、肉色は黄色、粉質で甘みがやや強く、形状は長紡錘形。
黒斑病に弱く、貯蔵性はやや難しいとされています。
紅あずまの収穫時期についてはこちらをご覧ください
「サツマイモの紅あずまの収穫時期が知りたい!貯蔵期間は?」
鳴門金時
高系(こうけい)14号という、1945年に登録された品種から派生した鳴門金時は、西日本を中心に栽培されています。
肉色は淡黄白で変色しにくく、上品な甘さが特徴です。
病害虫については立ち枯れ病とサツマイモネコブセンチュウに弱いですが、収量や品質は安定しており、貯蔵性も優れています。
なると金時の栽培時の注意点についてはこちらをご覧ください
「「なると金時」はどういう特徴がある?サツマイモの栽培方法の違いは?」
安納芋
安納芋は皮色が赤系の「安納紅」と黄系の「安納コガネ」の2種類あるので注意が必要です。肉色は黄色ですが、若干のカロテンを含みます。
ネットリ系で甘いのが特徴です。スイーツのような食感は、さつまいもの常識を変えたといわれています。
基腐病の危険度が高く注意が必要な品種でもあります。
人気が高まることで生産量は増えていますが、味や甘さのばらつきが大きいという指摘もあります。
安納芋の栽培に適した環境についてはこちらをご覧ください
「サツマイモの品種「安納芋」をうまく栽培するにはどうすればいい?」
べにはるか(紅はるか)
2007年の品種登録直後から人気が高いネットリ系の代表品種です。最近全国の生産高がベニアズマに代わり第一位なっていると思います。
皮色は赤紫、大きさは中程度。紡錘形で、形状や大きさが良く揃い、商品化率が優れています。
病害虫は「サツマイモネコブセンチュウ」や「つる割れ病」にやや強く、2カ月以上貯蔵することで熟成が進み、甘みが非常に強くなります。焼き芋だけでなく干し芋の原料としてもすぐれています。
べにかるかの栽培方法や注意点についてはこちらをご覧ください
「サツマイモの品種「べにはるか」の栽培方法や、育てる上での注意点を教えて」
シルクスイート
皮色は濃い紅色、中身は鮮やかなイエロー色のネットリ系の品種。
つる割れ病にやや弱いので定植時に苗消毒が必要ですが、耐寒性はあるので、北海道でも作られています。
安納芋やべにはるかと比べて水分量と繊維量が多いとも言われていますが、しっとりとしたなめらかな味わいがします。
関東中心の栽培から徐々に全国に広がってきています。
ひめあやか
イモの大きさは140グラム程度で、ベニアズマの6割程度の大きさにしかならない小ぶりサイズのイモが沢山とれることが特徴です。
最近の消費者はレンジでイモを調理すること、あるいは蒸し時間が少なくて済むことから、小さめのイモを好む傾向があります。
いままでなら規格外として扱われる100以下の小さいサイズでも販売可能です。
病害虫にも強い品種で、「立ち枯れ病」や「つる割れ病」「黒斑病」の抵抗性が強い特徴を持っています。
肉色の黄色みが濃く変色が少ないので大変きれいですが、収量が低いことが欠点です。
品種ごとの収穫時期や新品種についてはこちらをご覧ください
「サツマイモの品種別に収穫時期を見極める方法を教えてください」
「サツマイモの新品種について特徴が知りたい」
このお悩みの監修者
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場では、サツマイモやイチゴの新品種を多数育成。1996年日本育種学会賞。1998年農林水産大臣賞。山川アグリコンサルツ代表として、食品関連企業の顧問や地域の活性化アドバイザーとして活躍。千葉大学園芸学部非常勤講師。『サツマイモの世界 世界のサツマイモ: 新たな食文化のはじまり』など著書多数。