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紅はるかやヒタチレッドなどを中心にサツマイモを育てている新米農家です。
栽培は順調にすすんでいますが、問題は販路です。
周りの農家でも同じ品種を育てているので、道の駅に出荷してもあまり売れず、直販でも一般的な品種では差別化が難しいです。
そこで、サツマイモの新しい品種を育てて、ほかの農家と差別化をしたいと考えています。
しかし、どんな品種が注目されていて、どんな特徴があるのかわからないので、おすすめの新しい品種を教えてください。
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山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
多収や病害虫に耐性を持つサツマイモの新品種が誕生しています
サツマイモの新品種
専門店が日本各地に開店し、第4次ブームといわれるほど消費者からの人気が高まっているサツマイモ。
その影響もあり、サツマイモの品種改良が行われ、毎年新しい品種が誕生しています。
新しい品種を栽培したい農家さんにおすすめの最新品種をご紹介します。
※一部、出願中の品種が含まれます。苗の供給開始時期については、最新の情報を確認してください
あかねみのり（2020年出願）
外観が良い「べにはるか」を母、カロテンを含有し多収性の「作系22」を父とした交配組合せから選抜した品種です。
オレンジ色を帯びた肉色で、チップスや蒸切干（干しいも）など加工用にてきしています。サツマイモネコブセンチュウやツル割れには強いが立ち枯れ病には弱いです。
ほしあかね（2020年出願）
カロテンとアントシアニンを含有する「関東136号」を母、でん粉糊化開始温度がやや低く蒸切干品質が優れる「ほしキラリ」を父とする交配組合せから選抜した品種です。
肉色は「あかねみのり」よりやや薄いオレンジ色で、蒸切干（干しいも）の加工に適しています。しかし、立ち枯れ病にはやや弱いので注意が必要です。
あまはづき（2021年出願）
多収の「からゆたか」を母、早掘り栽培でも多収の「谷05100‐172」を父とする交配組合せから選抜した品種で、肉色は濃い黄肉色です。
貯蔵しなくても、収穫直後の早い段階から糖度が高く、8月からおいしい焼き芋を作ることができます。貯蔵性は弱いので注意が必要です。
サツマイモネコブセンチュウへの抵抗性が強く、また、つる割病や黒斑病への抵抗性も比較的強いです。
ゆきこまち（2021年出願）
ゆきこまちは従来の品種に比べ、冷涼な地域でも収量が確保できるのが特徴です。
病害虫抵抗性に優れている「ひめあやか」を母、「関東134号」を父とする交配組合せから誕生しました。
貯蔵性にも優れ、ツル割れ病や黒斑病には比較的、抵抗性はありますが、サツマイモネコブセンチュウや立枯病に対しては中程度です。
低温での伸張性に優れますが、ツルの伸びすぎには注意が必要です。
ふくむらさき（2018年出願）
食味が優れる「九系255」を母、「パープルスイートロード」を父として交配し、誕生した品種です。
パープルスイートロードより濃い紫肉色が特徴で、しっとりとした甘さや食感が優れています。
ツルの成長が遅く、イモが小さめで標準の品種より収量が少ないので、早掘りを避け、株を十分に生育させる必要があります。
新品種の確認方法
最新の品種情報は農研機構などに掲載されているため、小まめに確認しましょう。
また、種苗の販売ついては、民間の種苗会社などを通じて供給が開始される場合が多いため、種苗会社が発表するニュースなども定期的に確認すると良いでしょう。
一般的な品種の収穫時期や品種の選び方、おすすめの品種についてはこちらをご覧ください
「サツマイモの品種別に収穫時期を見極める方法を教えてください」
「サツマイモの新しい品種を栽培したいが、選び方を教えて欲しい」
「サツマイモを栽培しようと考えています。おすすめの品種を教えてください」
このお悩みの監修者
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場では、サツマイモやイチゴの新品種を多数育成。1996年日本育種学会賞。1998年農林水産大臣賞。山川アグリコンサルツ代表として、食品関連企業の顧問や地域の活性化アドバイザーとして活躍。千葉大学園芸学部非常勤講師。『サツマイモの世界 世界のサツマイモ: 新たな食文化のはじまり』など著書多数。