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野菜を栽培していたハウスが空いたので、ほかの作物を栽培しようかと考えていたところ、しいたけ栽培をすすめられました。
きのこ類は栽培したことがないのですが、ハウスでも育てられると聞いて、興味がわいています。
しいたけの栽培はいくつか方法があると聞いたのですが、ハウスを使う場合は「原木栽培」になると聞きました。
原木栽培とはどんな育て方なのか、教えていただけないでしょうか。
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大賀祥治
九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授
ほだ木に種駒を打ち込み、育てる栽培方法です
しいたけの栽培方法
しいたけなどのキノコ栽培には、「原木栽培」と「菌床栽培」の2つの方法があります。
菌床栽培では、人工的に作った培地を利用し、原木栽培では天然の木を使うのが、大きな違いです。
菌床栽培ではおが粉（おがこ）、米ぬか、ふすまを混ぜ合わせたものを利用し、原木栽培ではクヌギやコナラなどの木を使います。
しいたけの原木栽培では、原木にドリルなどで穴を開け、しいたけのもととなる種菌を植え付けます。
通常は、市販されている種駒を、木口面の径の2〜3倍ほど穴に直接打ち込み、千鳥状に縦に粗く、横に密の形状にします。
これは、原木の繊維は縦方向にあり、縦に伸びやすく、横に伸びにくいためです。
このように、栽培のために使用する原木を「ほだ木」といいます。
ほだ木は、丸太を購入して用意する人もいれば、木を育てるところから自分でやる人まで、農家により入手方法が異なります。
原木栽培に適している木の種類については、こちらの記事をご覧ください
「しいたけの原木栽培にはどんな種類の木が適しているの？」
「しいたけの原木栽培で必要な原木の太さは？」
「原木しいたけ栽培で必要な原木の長さはどれくらい？」
原木栽培のメリット
菌床栽培の技術が上がり、最近ではハウスなどの施設内で温度や湿度などをコントロールしながら行う菌床栽培が主流となっています。
原木栽培では、林や森の中での作業が中心となり負担が大きいため、全国的に高齢化や担い手不足が深刻です。
しかし、原木栽培のしいたけでも、消費者からの安定的な需要が見込めます。
また、基本的に大がかりな施設は不要です。
原木しいたけでは、種菌を植え付けてから発生開始、収穫まで2年ほどかかります。
栽培を始めたその年から収穫があるわけではないので、コスト面に注意しましょう。
しいたけ栽培の収入についてはこちらをご覧ください
「しいたけの菌床栽培を始めたい！収入につながるまでどれくらいの期間がかかりますか？」
同じほだ木で収穫ができる回数についてはこちらをご覧ください
「しいたけの原木栽培では1本のほだ木で何回収穫できますか？」
しいたけ原木栽培は日本全国で可能
しいたけの原木栽培は、日本全国のどこでも可能です。
しいたけは林や森の中で倒れたり、立ち枯れたりした木に自然発生することもあります。
日本で栽培が盛んなのは、しいたけ栽培発祥の地とされる大分県（乾しいたけ）や群馬県（生しいたけ）などです。
春と秋の2期に発生するのがしいたけ本来の姿ですが、温度と湿度を調整すれば、希望のタイミングで栽培・収穫できます。
しかし、こうした周年栽培をはじめるには、ハウスのほか浸水槽などの施設が必要です。
具体的な原木栽培の方法や冬季栽培についてはこちらをご覧ください
「しいたけの原木栽培について育て方を教えてください」
「しいたけの原木栽培で、冬に低中温菌を発生させる方法は？」
「しいたけの収穫時期はいつ？風味や特徴は変わる？」
このお悩みの監修者
大賀祥治
九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授
農学博士。専門は、きのこ学、森林資源学。とくに食用・薬用キノコの生理特性や生産技術、森林の木材腐朽菌および菌根菌を研究し、九州大学発ベンチャー企業「株式会社マッシュピア」「ヒマラヤンバイオ・ジャパン株式会社」の各々会長、代表も務めている。