しいたけの原木栽培では刺激を与えると発生が活性化するって本当？

しいたけの菌は、刺激を受けると活性化する性質があると言われています

しいたけ栽培時に刺激を与える理由

しいたけを原木栽培する時には、さまざまな刺激を与えて、発生を促している場合があります。

刺激を与えることで、次のような効果が得られます。

・しいたけの収量が増加する
・しいたけの発生促進につながる

しいたけは、低温刺激と物理的な刺激を与えると、発生が活性化します。そのため、しいたけに刺激を与えることで、収量をあげることが可能になります。

雷や長雨などを利用し、自然に任せてしいたけに刺激を与えることも可能ですが、最近では、人工的に刺激を与えている農家さんも多くいます。

メカニズムは明確に立証されていませんが、電子顕微鏡の観察では、菌糸に微細なヒビができて、発生が促進するようです。

しいたけに刺激を与える方法

しいたけに刺激を与える方法は、次のような方法があります。

・原木に物理的な刺激を与える
・電気で刺激を与える

原木に物理的な刺激を与える

もっとも一般的な方法は、しいたけの原木をハンマーでたたくという手法です。

しいたけが発生する約2週間前を目安に、ハンマーで約10回たたく、または原木の表と裏を5回ずつたたきます。

また、原木を地面に叩きつけたり、倒したりするという方法もあります。

冷たい雨の日にほだ木の木口を叩く「しけ打ち」や、樹皮面を叩く「ほだ叩き」などもあり、農家さんによってさまざまな方法が用いられています。

実際にしいたけの原木をハンマーでたたいている動画です。散水した後に合計10回ハンマーで叩いて、刺激を与えています。

電気で刺激を与える

「雷の後にしいたけが増える」という言い伝えから、しいたけに電気で刺激を与えている農家もいます。

九州大学でいち早く研究が開始されており、多くの実証試験や研究論文が蓄積されています。

ほだ木の両端に電極を付け、5万～12万5千ボルトの電流を一瞬（百万分の1秒）流したところ、何も刺激を与えていないほだ木に比べて、平均で2倍の収量になりました。この結果は国内外で高く評価されています。

電気刺激を与えることで、菌糸体に細かいひび割れができて、そこから子実体が形成されることが明らかにされています。

ほかの食用きのこでも発生量の増加が認められています。栄養分や呈味成分が増えます。冬虫夏草でも多く発生して、含まれる有効成分が増加しました。

岩手大学の研究でもほぼ同じような結果が得られています。

さらに、最近では雷の光による影響が試験され始めています。

電気による刺激の効果は、科学的な根拠は立証されていないものの、ほかにも短波長の青色LED照射や磁場の影響で収穫量が上がったという報告もあります。

また、満月や新月のあとは地磁気の影響で発生量が多くなりがちです。

一般の農家が電気で刺激を与えるには、家畜用の電気ムチや防犯器具などを使い、通電する方法が一般的なので、興味がある方は試してみると良いでしょう。

刺激を与える際の注意点

原木しいたけの場合は、ハンマーで刺激を与えても問題ありませんが、原木に比べて柔らかい菌床を使う栽培では、ハンマーで刺激を与えると、菌床そのものにダメージを与えてしまう恐れがあります。

菌床栽培で刺激を与える際は、軽く手でたたくだけにしましょう。

また、原木栽培の場合でも、原木を傷つけてしまうほど強くたたいてはいけません。

電気での刺激を与える場合も同じで、あまりにも強い刺激はしいたけそのものに悪い影響を与えてしまう可能性があります。

栽培方法ごとに適切な刺激の与え方を試しましょう。

収穫期の見分け方についてはこちらをご覧ください
「原木しいたけの上手な取り方とは？収穫までの流れも確認」