長野県で専業農家をしている30代男です。
もともと親が営んでいた農業を長男である私がそのまま引き継ぎ、親から指導を受けながら日々野菜作りに励んでいます。
この辺りは自然が豊かで、近隣は綺麗な道の駅があり、ちょっとした観光地として賑わう地域です。
新鮮な地元野菜も豊富で、同業者(農業者)がたくさんいます。
そこで、農業収入のアップと他者との差別化を図るため、しいたけ栽培を始めようと考えています。
農業をメインでやっているので、しいたけ栽培は副業的な位置付けで、家族4人で取り組む予定です。
原木栽培が理想ですが、調べてみると栽培までに時間がかかるので、菌床栽培の方が始めやすいとありました。
特にこだわっている品種がある訳ではないので、初心者でも始めやすい品種があれば、ぜひ教えていただきたいです。
収穫できれば、まずは近隣の直売所や道の駅に卸そうと考えています。
栽培から収入につながるまで大体どれくらいの時間を要するか、大まかな目安が分かるとありがたいです。
(長野県・竹内久秀さん/仮名・30代)
森産業 営業企画部
森産業
しいたけ栽培は条件によって適正な方法が異なります。まずはプロへ相談を!
しいたけ栽培は立地条件や栽培規模など条件によってさまざまな方法があり、原木栽培と菌床栽培のどちらが簡便であるとは、一概には言えません。
今回は、それぞれの栽培方法や期間について簡単にご紹介しますので、質問者様の条件に合う方法を見つけていただければと思います。
まずは原木栽培について。原木の購入で最も簡単な方法は、地域の森林組合に相談することです。価格は1本当たり250~400円程度ですが、年々伐採量が減ってきていることから価格が上昇し続けております。自ら原木を伐採入手する生産者も多く見られます。原木栽培は秋口から原木の準備を行い、しいたけ菌を接種する時期は冬から春先となっています。 収穫までの期間は栽培様式で大きく異なります。
「浸水栽培」の場合は約10カ月。早ければ接種年内には収穫可能です。「自然栽培」の場合は約20カ月かかり、接種翌年の秋から収穫可能となります。 原木しいたけ栽培を行うためには各種設備が必要で、原木へ接種するための穿孔機(数万~100万円)や出荷に関わる包装機(数十万円)や保冷庫(数十万円)などが必要です。山中で作業する場合には発電機を使用することもあります。
次に、菌床栽培について。原材料の入手方法には、菌床を自ら製造する「自家仕込み」と製造された菌床を購入する「菌床購入」があります。
「自家仕込み」にはたくさんの工程があり、建造物を除いた初期投資が数百~数千万円となることもありますので、まずは「菌床購入」でのスタートをおすすめします。
「菌床購入」は、全国にある当社の協力工場からも購入が可能です。1菌床当たり200~400円程度です。 こちらも収穫までの期間は栽培様式で異なります。
「自然栽培」の場合は、約6カ月です。主に春先に菌床を製造し、その年の秋から翌年春までキノコを収穫することができます。 「空調栽培」は完全閉鎖型のハウスで冷暖房を用いて栽培する方法で、収穫まで最短3カ月とかなり短く、さらに通年での発生、出荷が可能となります。 ちなみに現在国内で流通しているしいたけの大半は、この「空調栽培」で生産されていますよ。
このように、しいたけ栽培には多様な方法があります。また、収穫を安定させるためにはある程度の設備が必要です。 弊社では全国でしいたけ栽培指導を行っておりますので、まずはどんな条件下で栽培を始められるのか、ぜひご相談ください。
作物の栽培は、地域や環境に応じて適した栽培手法が微妙に異なるため、本来は現場を十分に把握したうえでの細やかな栽培指導が必要となります。
あくまで一般論としての回答に基づき、農家の方が栽培を試みた結果、思わぬトラブルが生じる可能性が少なからずございますのでご留意ください。