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養殖マグロの生産量が多い産地を教えてください

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養殖マグロの生産量が多い産地を教えてください

これまで北海道でサケや貝類を中心にさまざまな養殖を行ってきましたが、実家がある九州に帰ることになりました。

地元に戻ってからも養殖業をやっていきたいと考えていますが、できるならマグロ養殖をやってみたいと考えています。

そこで、養殖マグロの生産量が多く、盛んな産地とその特徴を教えてください。

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

養殖マグロの生産量が多いのは長崎県、鹿児島県、高知県など比較的海水温が高い地域です

養殖マグロの主な産地と特徴


養殖マグロの主な産地は、長崎県、鹿児島県の九州地方や、高知県、愛媛県の四国地方、そして三重県、和歌山県の近畿地方です。

九州地方や四国地方、近畿地方が産地になっている理由は、マグロ養殖には水温10度以上と比較的高い海水温が必要になるためです。

また、水深30~50メートルくらいで、波の高さが5メートル以下と比較的穏やかな海域や、海中に含まれる酸素が豊富で、大きな河川からの流入がなく、塩分濃度が安定し、外洋に面した海域を必要とします。

こうした漁場環境に加えて、種苗となるマグロの稚魚(ヨコワ)が安定的に確保できることが必要となります。

なぜなら、現在行われているマグロ養殖のほとんどが、天然の種苗に依存しているからです。

また、マグロ養殖では、主にイワシやサバといった小魚を生エサとして使用しています。配合飼料を使う漁師もいますが、生エサを与えることが主流です。

マグロは成長が早く2~3年で30~50キロに体重が増える魚で、その他の魚の2倍から3倍ほどのエサを必要とします。およそ1キロ体重を増やすのに15キロ程度の生エサが必要になります。

そのため、マグロ養殖では、エサとなるイワシやサバといった小魚が豊富に獲れる場所であることも重要です。

マグロ養殖に適した漁場環境についてはこちらもご覧ください
マグロ養殖に適した環境を教えてください
マグロの養殖に適している場所とは?条件を教えてください



養殖マグロの生産量が多い地域


養殖マグロの生産量がもっとも多いのは、長崎県です。2014年から7年連続で日本一の生産量を誇ります。

農林水産省の「令和2年漁業・養殖業生産統計」によると、長崎県の令和2年度の生産量は5,556トンであり、2番目に多い鹿児島県の生産量(3,492トン)の約1.5倍となります。

長崎県の中でも、クロマグロの養殖が盛んに行われているのは、五島市と対馬市で、2018年の「海面漁業生産統計調査」によると、五島市で1,932トン、対馬市で1,826トンが生産されています。

五島市はヨコワの確保がしやすい海域で、曳き網で200から500グラム程度のヨコワを漁獲し、出荷できるサイズになるまで養殖を行っています。

元々、海域がマグロの通り道であるため、養殖に適した水温で、大きな河川も無く穏やかな入り江も多く環境的に高品質なマグロを養殖することが可能です。

対馬市では、美津島町で育てた養殖マグロを「トロの華」としてブランド化しています。対馬は潮の流れが速いため、マグロの肉質が鍛えられて身が締まり、赤身とトロの差がハッキリとわかるのが特徴です。

長崎県では、ほかにも壱岐市や佐世保市などでマグロ養殖が行われており、完全養殖ドローンの活用など、新しい試みも行われています。


養殖マグロの価格についてはこちらをご覧ください
養殖マグロ一匹が取り引きされる価格を教えてください

このお悩みの監修者

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

全国海水養魚協会の専務理事や一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会の理事を務める、魚類養殖業のプロフェッショナル。養殖水産物の輸出や赤潮などの環境保全対策活動にも携わっている。

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