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レモン栽培に適した気候について知りたいです

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レモン栽培に適した気候について知りたいです

果樹農家です。温暖化により新しく柑橘類を育てる農家が周りに増えてきました。

私も消費者に人気のレモンを栽培しようかと考えていますが、周囲にレモンを育てている農家がいないので、うちの地域で育てることができるのか不安です。

レモンの栽培に適した気候には、どんな条件があるのでしょうか?

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

レモン栽培は温暖で風が穏やかな気候が最適です

レモン栽培に適した気候


レモンは、カンキツ属シトロン区に分類される作物です。熱帯から亜熱帯気候での栽培に適しており、柑橘類の中では寒さに弱いです。

レモンの原産


レモンの原産は、インドのヒマラヤ東部山麓からアッサムにかけた地域です。とても暑い熱帯地域が原産なので、日本では冬でも温暖な地域が栽培に適しています。

栽培に適した温度や日当たりについてはこちらをご覧ください
レモン栽培に適した温度はどれくらい?
レモンの施設栽培における日当たりはどう管理すべき?



日本で栽培可能な地域


レモン栽培では冬の寒さが大敵です。適地を選ぶ目安として、最低気温が5度以上、平均気温は15度以上の霜が降りない地域がおすすめです。

最低でも冬期の最低気温がマイナス3-4度以下にならない地域が条件になります。

また、レモンは強い風雨で、かいよう病などの被害を受けやすいため、雨が少なく風が穏やかな地域での栽培に適しています。

日本では、瀬戸内海沿岸や九州、四国、本州の太平洋沿岸で栽培が可能ですが、近年、温暖化の影響でレモンの栽培ができる地域は広がりつつあります。

「リスボン」や「マイヤーレモン」は、耐寒性が強く、近年温暖化の影響で関東地方の平野部でも栽培可能ではないでしょうか?

なお、主産県は広島県で、全国の栽培面積の6割を占めています。

栽培に適している土地についてはこちらもご覧ください
レモン栽培に向いた土地や土壌づくりの知識が浅くて困っています
レモンが栽培できる地域はどこまでなのか(北限)が知りたい



レモン栽培の寒さ対策


レモンは寒さに弱く、マイナス3度を下回る気温に長時間晒されると枯れて死んでしまいます。

また、マイナス3度以上の地域でも、寒さで葉が落ちてしまうとレモンの木全体が弱り、春までに枯れてしまうこともあります。

そのため、寒さで枯れさせないことはもちろん、葉を落とさせず越冬することが重要です。

レモンの寒さ対策は、地上に出ている「木と葉」、そして土の下の「根」の2つの部位に分けて考える必要があります。


木と葉の寒さ対策


①直接被覆法

ホームセンターなどで販売されている「寒冷紗」や「不織布」を、一本ごとに直接かぶせ、根元で縛ります。
可能であれば、根元だけではなく、樹の周囲も縛った方が風等でめくれる心配がな
くなるかと思います。


②間接被覆法

園地全体にレモンの木より高い位置に棚を作り、その上面に寒冷紗などの被覆資材を張ります。

この方法は、木が覆われていないため冬でも剪定や薬剤散布などの管理作業を行えるというメリットがあります。

しかし、棚を設ける際に投資を必要とすることがデメリットです。


根の寒さ対策


根の寒さ対策は、特に寒冷な地域で行います。温暖な地域であれば、木と葉の寒さ対策のみで十分です。

根の寒さ対策は、木の根元周辺に「敷きわら」や「敷き草」を敷き詰めます。

敷きわらは防霜対策として効果があります。

ただし、根の周り全面に敷き詰めると、地表面からの熱放射がさえぎられ、かえって寒さが助長される場合もあります。

敷きわらは株元から、数十センチ離した場所から敷き詰めるとよいでしょう。

栽培する時期や寒冷地で栽培する方法についてはこちらもご覧ください
レモンの栽培時期について知りたい
レモン栽培を寒冷地で行うことは可能ですか?



レモン栽培の風対策


レモンは果実や葉が傷付けられると、かいよう病の発生が増えてしまいます。

かいよう病は、一度感染が拡大すると抑え込むのが難しいため、レモン栽培において防風対策は重要です。


防風ネットを使用する


ホームセンターなどで販売されている防風ネットを設置します。必要な場所にすぐ設置出来ることがメリットです。

また、十数年間は手入れ不要で使うことも可能で、さらに防鳥ネットとしても活躍します。

ただし、ネットを設置する支柱やワイヤー等の設備が必要となり、コストは高くなります。


防風林を整備する


農地に対し、風がふいてくる方角に防風林を整備します。

防風林は、風向きに対し直角で、密閉度が60~80%程度のものが最も風に対する効果が高く、保護領域も広くなります。

また、樹高が高いものを数少なく植えるより、低めのものを数多く植えるほうが防風効果は高いです。

また、防風林により日光が遮られないよう定期的に手入れすることも重要です。防風林の高さがレモン園地に日陰を作るほどに高い場合や密閉度が80%以上になった場合には、剪定を行うと良いでしょう。

防風林の樹木は、根が深く、風に強いものが適しています。黒松、イヌマキ、杉、ヒノキ、カシ、シイなどが一般的です。

レモン栽培は温暖な気候の地域で行い、木が枯れてしまわないよう、冬は防寒対策をしっかり行うことが重要です。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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