レモン栽培を検討している農家です。国産レモンの人気の高まりから、周りでレモン栽培に関心がある農家が増えてきました。
レモンは料理からお菓子まで幅広く活用され、人気のある果樹だと聞きます。
レモン栽培に着手してみたいのですが、今まで栽培したことがないので、栽培方法について知識が乏しい状況です。
中でも、レモンの栽培には水の管理が重要だと耳にしました。
そこで、レモン栽培の水やりなど、水の管理について詳しく知りたいです。
レモン栽培を検討している農家です。国産レモンの人気の高まりから、周りでレモン栽培に関心がある農家が増えてきました。
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前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
レモン栽培では土が乾いてから水やりを行いましょう
レモン栽培での水管理の目安
土が乾燥してから水やりをする
レモンは、暖かくやや乾燥した環境を好む果樹です。そのため、常に土が湿っているような状態は避けましょう。
水やりの目安は、土を握ってみて乾燥しているようなら散水をします。
レモン定植後には、根が活着するまでは表土が乾いたら水をかけるようにします。特に定植後1年間はしっかり水管理をして下さい。その後、根が活着してからは徐々に水やり頻度を控えていきましょう。
鉢植えでは水切れに注意する
レモンの鉢植え栽培では根域が制限され土が乾きやすいので、水切れしないようにしましょう。
鉢植えでの水かけも表土が乾いてきた頃が水かけのタイミングです。水かけは、鉢の底から水がしみ出てくるくらいまで水をかけます。
また、鉢植え栽培で特に注意が必要な時期は夏です。夏場の高温時は葉の蒸散量も多いため、土壌が乾燥しやすくなります。そのため、水かけの頻度は1日に数回しなければならないこともあります。良く観察しましょう。
地植えでは水やりはほぼ不要
レモンの地植え栽培では、レモンの根が活着してしまえば水やりをあまり必要としません。
レモンはやや乾燥気味に育てたいので、自然の降雨だけで成長させることができます。
しかし、水が不要といっても夏場に1週間ほど晴れが続く時や、レモンの着果後から実の肥大期は水が必要となります。その場合には、土壌が乾燥したら土がしっかりと湿るくらいの水やりをしてあげましょう。
レモンの水やりで気をつけるべきポイント
水のやりすぎでの根腐れに注意する
レモン栽培の水管理で特に気をつけたいのは、水のかけすぎで過湿になってしまうことです。
土壌が湿った状態が続いてしまうとレモンの根が傷み、根腐れをおこしてしまう場合があります。根腐れがおきると葉や木が枯れてしまうことにもつながってしまいます。
水やりをするのは土が乾いてからという目安を守り、レモンの木や土壌の観察を欠かさないようにしましょう。
乾燥させすぎて水切れをおこさないようにする
水のかけ過ぎで根腐れを起こしてしまうことと同じくらい、過乾燥もレモンにはよくありません。
レモンの木は、水切れをおこすと葉がしおれたり、花が落ちたりすることがあります。そのようなサインが出てしまうとレモンの木に悪影響が出るだけでなく、収獲する実が上手く育たなかったりしてしまいます。
レモンが着果して肥大する夏場は水切れをおこさないようにして、レモンの木や実の順調な生育に努めましょう。
水やりの時間帯に気をつける
レモン栽培での水やりは、基本的に朝陽が出てからの午前中にやることがおすすめです。
そして、特に気をつけてほしい時期は夏と冬になります。
夏は昼間の暑い時間に水やりをしてしまうと、土壌中が暑く蒸れてしまい根痛みを起こす可能性があります。日中に木が枯れてしまいそうなほど乾燥している場合は例外ですが、基本的に炎天下の水やりは避けましょう。
冬は可能な限り日中に水やりをしましょう。朝の水やりは、水が冷たくレモンに悪影響を及ぼします。また、夕方以降の水やりも避ける方がよいです。特に厳冬期には夜温がかなり低くなるため、土壌の水分量が多いと凍結してしまい根痛みを起こす可能性があります。
レモンの木が小さいうちは根痛みが木に及ぼす影響も大きいため、より注意して水やりを行いましょう。
適切な水やりをしてレモンの順調な生育を目指そう
レモンの水やりは、土が乾いていることを目安に行います。
水やりの際には、鉢植え栽培なら底から水がしみ出るくらい、地植え栽培なら土がしっかりと湿るくらいに水をかけてあげましょう。
レモンにとって水は、順調な生育やレモンの実を美味しくするために欠かせないものです。特に開花時期から収穫時期までは、水を必要としますので過不足なく与えるようにしましょう。
レモン栽培の水管理を理解して、レモン栽培に新しく取り組んでみてはいかがでしょうか。
水管理以外の栽培方法についてはこちらをご覧ください
「レモンの栽培方法について教えてほしい」
このお悩みの監修者
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。