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レモン栽培に向いた土地や土壌づくりの知識が浅くて困っています

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レモン栽培に向いた土地や土壌づくりの知識が浅くて困っています

観光農園を経営していますが、土地に空きができたので、新しくレモン栽培を考えています。

現在はみかんをメインに育てていますが、同じ土壌で栽培しても問題ないのでしょうか?

土壌の作り方や適した土壌について、基本的なことをアドバイスしていただけると助かります。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

レモン栽培には水持ちと肥料持ちがよい土が必要

レモン栽培に適した土壌


レモンは柑橘類であり、基本的にはミカンなどと同じような土壌が栽培に適しています。

レモンに適した土壌とは、どのようなものなのでしょうか。


水が蓄えられ通気性も高い土壌


レモンはやや乾燥気味で栽培する方が良いですが、適度に水持ちのよい土壌が望ましいです。
一方で、根に空気をたくさん必要とすることから、適度に水分を保ちながらも通気性の良さも必要です。

レモン栽培には「適度な水持ち」と「水はけ」を両立させた土壌が求められます。


肥沃で肥料持ちがよい土壌


一般的に柑橘類は他の果樹に比べると、必要な肥料の量は多くなります。

柑橘類の中でも、レモンは特に肥料が必要な果樹と言われています。

その理由は、一年に何度も花を咲かせ結実させることから、たくさんのエネルギーが必要となり、そのために多くの肥料が必要となります。

また、レモンの栽培に適している地域は、温暖な気象条件が向いており、傾斜地も多いことから、肥料が雨で流出しやすい傾向にあります。

そのため、肥料持ちがよい土壌が必要となるのです。


土層が深い土壌


レモンの木は樹勢が強いため、大木になります。

活発に成長するため、植える間隔も品種によりますが5メートルは離す必要があります。
その上、たくさんの肥料が必要になることから、しっかりと養分を吸収できるよう大きな根が張れるような環境が必要となります。

また、大木を支えられるよう土層が深い土壌が栽培に適しています。


レモン栽培における土壌づくり


レモン栽培においては、「水はけ」「適度な水持ち」「肥料持ち」がよい土壌が求められます。


堆肥で土壌をふかふかに改良


レモン栽培に適した土壌にするには、腐葉土や牛ふんなどの堆肥を混ぜ込むとよいでしょう。

堆肥を混ぜ込むことで、「水はけ」「水持ち」「肥料持ち」がよいふかふかとした土壌になります。

また、堆肥を施用することによって
1、水や養分を吸収する「細根」が出やすくなる
2、レモンの樹が肥料を吸収しやすくなるように、肥料の成分を分解する微生物が増える。
3、土層に厚みが出る

という効果があります。

これにより、木がしっかりと成長できます。


苦土石灰(くどせっかい)を混ぜ込む


堆肥以外に苦土石灰も土に混ぜ込みましょう。

苦土石灰とは、苦土(マグネシウム)と石灰(カルシウム)のことで、「ドロマイト」と呼ばれる岩石を粉状や粒状にした肥料です。

植物の多くは中性から弱酸性の土を好みますが、日本の土は酸性雨の影響により酸性に傾いています。

苦土石灰は土を中性に傾ける効果があるため、土に混ぜることで、植物が育ちやすくなります。

また、マグネシウムは葉の葉緑素を形成するミネラルであり、これが欠けると葉が黄色くなり枯れやすくなります。

したがって、苗木を植える前には、植穴に堆肥と苦土石灰を混ぜ込んでみましょう。

土づくりに関してはこちらもご覧ください
レモンを栽培する時の土作りについて知りたい
レモンを栽培する際の肥料や施肥のタイミングについて詳しく教えて



レモン植え付け後の土壌管理


レモンの植え付けは3~4月に行うことが一般的です。植え付け後は、水や肥料を与え、適切に土壌管理を行いましょう。

乾燥を防ぐ(水やり)


植えつけから1〜2年の間は、根がしっかりと張るまで水を切らさないようにしましょう。水を与えず、株がしおれてしまうと木にダメージが残ってしまいます。特に、夏場の乾燥には注意しましょう。

基本的には、自然の雨に任せて問題ありませんが、雨が降らずに乾燥した日が続いたときは水やりをします。

なお藁やビニールなどで根回りをマルチングをすると、土の乾燥を防ぐ効果がありおすすめです。


追肥を行う


植え付け後は、まず木を大きく育てることを目的に肥料をあげましょう。レモンは3年目から実をつけ始めますが、それまでに体力のある木を育てる必要があります。

1〜2年目の若い苗木には、木、枝、葉を作る養分を優先した肥料を与えます。化成肥料では、窒素、リン酸、カリウムの割合が10:10:10の肥料がおすすめです。

それぞれの栄養素は植物の成長を部分的にサポートし、窒素は葉と茎、リン酸は花芽、カリウムは果実の成長を促します。

またカリウムは、茎や根も丈夫にしますので、そのため病気や害虫に抵抗する力を強める効果もあります。

化成肥料以外には、油かすや鶏ふんなどの有機肥料も与え、しっかりとレモンの木づくりをしてあげましょう。

3年目以降に実がなり始めたら、多くのエネルギーが必要になるので、年4~5回程度追肥し、肥料切れが起きないようにします。

追肥や施肥スケジュールについてはこちらをご覧ください
レモン栽培における追肥のやり方を知りたい



レモン栽培に向いた土を作り、水と肥料を絶やさないようにしよう


レモン栽培には「水はけ」「適度な水持ち」「肥料持ち」がよい土が適しています。

堆肥や苦土石灰を混ぜ込み、しっかりとした木が育つような土づくりを目指しましょう。

植え付けた後、実がなり始めるまでは、水と肥料を切らさないよう注意しなければなりません。

レモンの木が実をつけ始めたら、さらにたくさんの肥料が必要となります。肥料切れを起こさないよう年に4〜5回は追肥を行いましょう。

レモンの栽培方法についてはこちらをご覧ください
レモンの栽培方法について教えてほしい

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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