アボカド栽培における収穫方法や収穫時期について知りたい

YUIME Japan編集部 / 2023.11.16

生産方法

#アボカド #収穫 #果樹作

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九州で農業をやっていますが、果樹園だった土地を借りることができたので、新たにアボカドの栽培をはじめようかと考えています。

しかし、アボカドについての知識が乏しく、周囲にもアボカドを育てている農家さんがいないため、どうしようかと悩んでいます。

とくに知りたいのが収穫期のことで、ほかの作物もあるので、収穫期が被ると人手が足らなくなってしまいます。

また、どのように収穫すればいいのかも見当をつけておきたいので、アドバイスをいただけないでしょうか。

橋本純子

株式会社アンファーム　栽培担当

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アボカド栽培では秋から冬にかけて果実の肥大が止まったタイミングで丁寧に収穫を行いましょう

アボカド収穫までの管理方法

アボカドの生長

アボカドの品種を大きく分類すると、メキシコ系、グアテマラ系、西インド諸島系の３系統とそれらの交雑種の4パターンに分かれます。耐寒性・耐暑性、果実の色や形などの特性、収穫時期などが品種により異なります。

水はけの良い土壌、冷気が滞らない場所（傾斜地など）、朝日ができるだけ早く当たる場所など栽培適地となる圃場選びには条件もいろいろあります。

またアボカドは水管理が少し難しい植物です。水を好みますが、根腐れを起こしやすいため、土の状態に合わせて水やりを行います。

また日焼けを防ぐため、春から秋は新しく出た葉を遮光シートで覆うなどの対策が必要な場合もあります。冬は冬囲いをするなどして霜や乾いた寒風で樹勢を弱らせないよう管理することが望ましいです。

アボカドの開花

春、前年に伸びた枝の先端や先端付近に、小さい花をたくさん咲かせます。

花芽分化は秋、11月頃には既に始まっています。年末ごろになると枝先に小さな丸い花芽が見えてくるようになります。

幼木は花を咲かせることで、体力を使ってしまい植物自体が弱ってしまうため、定植後2年くらいは花を摘むようおすすめします。

花を残すかどうか判断するポイントは、葉の数が多い、根がしっかり張っているなどがありますが、当園では樹高が150センチくらいで葉がしっかり茂っているかで判断します。

このくらいの樹高になれば、根元の直径は5センチ程度にはなっています。受粉が上手くいき、着果できたとしても、実と新梢の間で水や養分を奪い合うので、樹体の状態を常に元気にしておくには、しっかりと樹が成長してから花を咲かせるようにしています。

また、これらに当てはまる場合でも、開花中に木が弱ってきたら、花を摘み取るとよいでしょう。

アボカドを露地栽培する方法や収穫までの期間についてはこちらをご覧ください
「アボカドの露地栽培を始めたいので、特徴や注意点を教えてください」
「アボカドを露地栽培したい。栽培に適した土壌の条件や土づくりのポイントは？」
「アボカドの栽培にかかる期間はどれくらい？」

アボカドの収穫方法

アボカドの受粉方法

アボカドは一つの花のおしべとめしべの活動時間が違う「雌雄異熟型」という開花特性を持っています。そのため、1本では自家受粉しにくい植物です。

花はたくさん咲きますが、実がつくのはほんのわずかで、アボカド栽培にとって受粉は重要な過程です。

雌雄異熟花は、異なる開花タイプの品（Aタイプ・Bタイプ）を植えると実がつきやすくなります。

人工授粉という方法もありますが、現実的ではないと思います。なぜなら万単位の花が咲くので、人の手で全て受粉作業を行うのには無理があると思っています。

当園ではマンゴーもハウス内のアボカドもヒロズキンバエというハエに受粉してもらっています。

ハエの利点は低温でも曇天でも働いてくれることです。露路においては、自然の虫たちが受粉してくれています。

アブやハチなど様々な虫たちが活躍してくれています。もちろんハウスから逃げ出したハエも受粉してくれます。

アボカドは一万分の一の結果率と言われています。受粉率が低いだけではなく、着果しても収穫までに生理落下しやすい植物でもあります。
また、収穫が多い翌年には生産量が減少する隔年結果が起こりやすい性質を持っています。

生理落下や隔年結果を減らすためには、施肥や乾燥ストレスを与えないよう土の乾き具合を見ながら水やりをするなど、常に樹が元気でいるように気を配ってください。

肥料は年3回程度与えると良いかと思います。有機マルチ資材によって表面を覆い、土壌水分量の蒸発を防ぐことも効果的です。

アボカドの収穫方法

品種にもよりますが、接ぎ木であればだいたい3～4年で収穫できます。ただし、品種によってはもう少し時間のかかるものもあります。

果実は樹上で熟すと大きくなり、油分も増していきます。収穫の目安としては、肥大が止まったタイミングや、油分8%以上となれば収穫適期とされていますが、なかなか油分を測定するのは難しいと思います。

収穫までの期間に時々実を手に乗せて、軽く持ち上げてみてください。

収穫期が近づくにつれ、実がどんどん重たくなっていくのが分かると思います。

おそらく収穫期と言われる頃にはずっしりとした重たさを感じることが出来ると思います。

また花は樹の上の方から咲くので、収穫のタイミングも上に生えている実が早い場合が多いです。

着果の早いものと遅いもので品質にバラツキが生じないよう、一つ一つの最適な収穫時期を見極めて収穫する必要があります。

アボカド収穫の際には、果実に押しや痛みが出ないように丁寧に収穫を行います。

果実どうしがぶつからないよう、また種皮を傷つけないように、実をつないでいる枝の部分を収穫用ハサミでやさしく切ります。

収穫用ハサミに袋をつけて収穫することもあります。

アボカド栽培の収穫時期

品種別の収穫時期

アボカドは世界中で1,000以上の品種があり、それぞれ収穫時期は異なります。国内で露地栽培向きの代表的な品種は以下のとおりです。

ハス（Hass）

収穫時期は4月。グアテマラ系の交雑種で、開花はAタイプ。耐寒性は-2℃ほど。種皮は分厚く、完熟した果実は紫黒色。国内のスーパーなどでみられるアボカドはほぼハスになります。

ピンカートン（Pinkerton）

収穫時期は12〜1月。グアテマラ系の交雑種で、開花はAタイプ。耐寒性は-2℃程度。果実は細長く、果重が300〜500gと大ぶり。

メキシコーラ（Mexicola）

収穫時期は10月。メキシコ系で、開花はAタイプ。耐寒性は-6℃と強い。種皮は非常に薄く、光沢のある黒色。果重が100g前後と小さめ。

フェルテ（Fuerte）

収穫時期は12〜3月。メキシコ系×グアテマラ系で、開花はBタイプ。耐寒性は-4℃と強め。種皮は薄く、完熟果は緑色。果重は300g〜400g、樹形が開張型なので低樹高栽培向き。

ベーコン（Bacon）

収穫時期は11月。メキシコ系×グアテマラ系で、開花はBタイプ。耐寒性は-4℃と強め。完熟果は緑色で、大ぶりで丸い形。国産アボカドの代表品種。

ズタノ（Zutano）

収穫時期は10〜11月。メキシコ系×グアテマラ系で、開花はBタイプ。耐寒性は-4℃と強め。果重が300g前後で、西洋梨型。

エッティンガー（Ettinger)

収穫時期は11〜12月。メキシコ系×グアテマラ系の交雑種。開花はBタイプ。耐寒性は-4°Cと強め。果重は300〜400g。

アボカドの収穫後の管理

収穫後は追熟のために室内で貯蔵させます。

果実の成熟度によって異なりますが、20°C前後の室温で1〜2週間程度が目安となります。

ナスくらいの柔らかさになったら食べごろです。

アボカドの基本的な栽培方法はこちらをご覧ください
「アボカドはどのように栽培すればいい？注意点などアドバイスをいただきたいです」

アボカドの収穫方法を知ってアボカドの栽培を始めよう

アボカドは前年に伸びた枝に小さい花を咲かせます。定植後数年間は花を摘み、樹の成長を優先させ、樹が弱らないようにします。

開花は雌雄異熟型で受粉がしにくいため、異なるタイプの品種を混植するのがよいでしょう。

沖縄以外の国内で露地栽培できる品種の収穫時期は、大体秋から冬になります。

接ぎ木苗を育てた場合は3〜4年で収穫できます。大きさや油分をチェックしながら、一つ一つの果実の収穫適期を見極めて丁寧に行います。

アボカド栽培については、調べて知識を得るより育てることが一番の学びになると思います。

当園でも同じようにお世話をしていても、上手く育つ子と育たない子が居たり、毎年何かしら思いもかけない事態が起こります。

なかなか「知行合一」とならないのがアボカド栽培の醍醐味だと思います。

まずは最初の一歩、実際に植えて育てて、アボカド栽培の楽しさを味わってみませんか？

着果の年数を短縮する方法についてはこちらをご覧ください
「アボカドを栽培する際、苗木から植え付けると何年で収穫できる？」