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少量多品目で野菜を栽培していますが、いずれアボカド栽培にも挑戦したいと考えています。
色々と本やインターネットで調べていますが、栽培をはじめるときに、苗から育てるべきか、苗木からはじめるべきかで悩んでいます。
苗木のほうが楽だと思いますが、コストを考えると、種のほうが安いのではないかと思い、どちらにすべきか悩んでいます。
営農目的で栽培するアボカドは、種から育てるのか、苗木を購入して育てるのか、どちらにすべきでしょうか？
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前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
アボカド栽培では苗木から育てるのが一般的です
アボカドを種から育てる場合
アボカドを実生（種）から栽培することはできますが、芽が出てから実が着くまでに8～10年もかかります。
また、実がついたとしても、実生（種）から育てた場合には親と違う形質になるため、着果しても実が小玉になったり、果肉部分（食べる部分）も少なくなったりする傾向があります。
種から栽培する方法についてはこちらをご覧ください
「アボカドの種が割れました。栽培に影響しますか？」
アボカドは苗木から育てるのが一般的
農家がアボカドを育てる場合、苗木から育てるのが一般的です。苗木であっても着果まで数年かかります。
しかし、国内で販売されているアボカドの苗は家庭用に販売されているものが多く、価格も高いため、自ら接木して苗木を作りましょう。
ポイントは台木と穂木との形成層（黄緑色の部分）を合わせること、充実した穂木の選定です。
以下の写真のように穂木を削ります。
（表） （裏）
※写真はアボカドの枝ではありません。
そして、以下の写真のように台木を削ります。
※写真はアボカドの台木ではありません。
そして、このように台木と穂木の形成層同士をくっつけます。
※上記写真は、アボカドの接ぎ木ではありません。
さらに、このように台木と穂木の形成層どおしをくっつけた後、テープを巻きます。
※上記写真は、アボカドの接ぎ木ではありません。
切り口および穂木の水分蒸発を防ぐとともに、雨など外部からの水分を遮断します。
接ぎ木した苗木に茶封筒をかぶせるか、直射日光の当たらない日陰に置きましょう。
接ぎ木後は、数日、水やりを控えましょう。台木の株元が乾いてきたら、徐々に水やりしましょう。
接ぎ木苗にすると、穂木（親）と同じ形質を受け継ぐことができるので、大玉系の品種を接ぎ木したら、果実が小玉になっていくような問題は起こりません。
その場合、台木となる苗は実生（種）から育てることになります。
アボカドの基本的な栽培方法はこちらをご覧ください
「アボカドはどのように栽培すればいい？注意点などアドバイスをいただきたいです」
苗の台木を種から育てる方法
台木を育てるための種は国産のアボカドの品種（ベーコンやズタノやフェルテ）を通販や業者から購入します（スーパーなどで販売されているアボカドは、ハスと言って耐寒性に劣ります。したがって、ハスを鹿児島以北で台木とすることは控えましょう）。
果実から種子を採取したら、水洗いをして陰干しします。
アボカドは移植を嫌うため、育苗にはポットに1個ずつ播種しましょう。
育苗用の培土としては、パーライトとピートモス、砂質土壌を1:1:1の割合で混合したものか、山土、パーライト、バーク堆肥を2:1:1で混合したものを使用します。
播種（種を播く）時には、胚（発芽前の植物体）を傷をつけないように注意しながら、種の頂部を5ミリ、底部を2ミリほど切り取り、傷口をしっかり乾燥した上で播種すると発芽が揃います。
播種は10〜11月が適期になりますが、ビニールトンネルなどで保温するとよいでしょう。
発芽を促すために、電熱線を敷いてその上にポットを入れたコンテナを置くと2週間ほどで発芽します。
株元が鉛筆ほどの太さになると、接木ができます。
ただし、この太さ（鉛筆大）であれば、接ぎ木の際、接ぎ木ナイフより安全カミソリの方が接ぎ木しやすいかもしれません。
あまり、細くて接ぎ木しづらい方は、もう少し台木が太くなるのを待ってから接ぎ木されてはいかがでしょうか。
栽培に適した圃場の条件や収穫までの期間についてはこちらをご覧ください
「アボカドの露地栽培を始めたいので、特徴や注意点を教えてください」
「アボカドを露地栽培したい。栽培に適した土壌の条件や土づくりのポイントは？」
「アボカドの栽培にかかる期間はどれくらい？」
このお悩みの監修者
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。