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サトウキビ栽培に適した畑の条件を教えてください

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サトウキビ栽培に適した畑の条件を教えてください

農家になり、沖縄で新規営農をする予定です。

販路も考えて、まずはサトウキビの栽培を考えているのですが、圃場の土地選びについて悩んでいます。

これまで、とうもろこしの栽培は経験したことがあるのですが、サトウキビを栽培するのははじめてです。

どんな畑がサトウキビの栽培に適しているか、圃場の条件を教えていただけないでしょうか。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

サトウキビ栽培には高温・多日光な場所が適しています。ただし、生長過程によって適温は異なります

サトウキビ栽培に適した4つの条件


サトウキビの健康的な育成と収量の増加のためには、栽培環境の条件を揃え、植え付けから収穫までしっかりと管理することが大切です。

サトウキビ栽培に欠かせない4つの条件、「気温(日光)」「降水量(水やり)」「地形(土壌)」「風(乾燥)」についてご紹介します。

気温(日光)


サトウキビは、沖縄やブラジル、東南アジアで生産されていることから分かるように、強い日光を好む作物です。

サトウキビの生長過程は、「萌芽期」「成長期」「成熟期」に分かれていますが、生長過程により最適な温度が異なる点に注意が必要です。

まず、萌芽期の最適な気温は26〜33度で、気温が20℃以下になると萌芽の生長は進まなくなります。

グングンと葉が伸びる成長期の最適な気温は30〜34℃で、16度以下または38度以上になると生長しなくなってしまいます。

また、日中に強い日光をたくさん浴びれば浴びるほど、糖の含有量は増加します。


降水量(水やり)


日光を好むサトウキビですが、吸水量があまりにも少ないと株に悪影響を及ぼします。

サトウキビに適した降水量は、年平均1,200〜1,500mmといわれています。

日本の年間平均降水量は約1,700mm。

極端に雨が多い、もしくは少ない地域でなければ、自然の雨量でまかなえるはずです。

サトウキビは、成長期により多くの水を与えることで株を大きく生長させることができます。

雨量が増える梅雨の時期を上手く利用しましょう。

サトウキビの水やりについてはこちらをご覧ください
サトウキビ栽培の適切な水やりの量とタイミングが知りたい



風(乾燥)


サトウキビは乾燥状態を好みます。たくさん水分が必要な成長期以外では、乾燥していても問題ありません。

しかし、干ばつはサトウキビの成長に大きく影響するため、土壌の状態をしっかり管理する必要があります。

降水量の少ない地域では、スプリンクラーなどのかんがい設備で対応しましょう。

サトウキビは丈夫な作物だと言われていますが、強風に当たると葉がこすれて痛む原因になってしまいます。

風が強すぎる場合は、風除けを作りましょう。


地形(土壌)


サトウキビ栽培では機械化が進んでいることから、平坦もしくは緩傾斜の地形が適しています。

また、サトウキビは根から水分や栄養をとる深根作物で、土壌の品質が根の発達に大きく影響します。

良質な土壌を作るには、表土の厚さを25〜30cm以上にし、有機物を混和させ、耕うんしやすい状態にしておきましょう。

サトウキビの栽培方法や北限についてはこちらをご覧ください
サトウキビの栽培方法を教えてください!
サトウキビ栽培が可能な日本の北限はどこ?



地域に適した品種


サトウキビは、厳しい自然条件の中で安定した収穫をおこなうために、多くの品種改良がおこなわれてきました。

例えば、台風が多い地域では強風に強い品種を、害虫被害が大きい地域では病害耐性の強い品種を、というように、年々改良されています。

その地域の環境条件に適した品種が存在するため、適切な品種選びが重要です。その地域にどの品種が適しているのかは、近隣農家さんに聞いたり、農畜産業振興機構から公表されている推奨品種を確認すると良いでしょう。

サトウキビの品種の選び方についてはこちらもご覧ください
サトウキビの品種とそれぞれの特徴を教えて欲しいです



環境条件を整え、最適な品種選びをおこなうことが大切


サトウキビ栽培に適した条件とは、日光量の多い乾燥気味の気候で、雨季があり、有機物含有の良質で耕うんしやすい土壌がある場所です。

その上で、地域の特徴を考慮した品種を選び、栽培をおこないましょう。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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