沖縄でサトウキビの栽培を検討している新規営農者です。
しかし、サトウキビの栽培をした経験はなく、栽培開始から収穫までにどれくらいの期間がかかるかわかりません。
いま栽培している作物もあり、スケジュールを立てたいので、おおまかな目安を教えてください。
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前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
サトウキビの栽培期間は約9〜18カ月で作型により異なります
サトウキビの栽培期間
植え付けから収穫まで9〜18カ月の生育期間を要するサトウキビ(九州以北での栽培は、降霜の前に収穫するのでより短期間になります)。
世界各地の熱帯、亜熱帯地域が産地のさとうきびは、栽培地域や品種、植え付け方法により栽培時期や期間が異なります。
サトウキビは乾燥期や低温期に収穫が行われますが、日本では12〜4月に該当します。特に有名な産地である沖縄では、1〜3月が収穫期のピークです。
また、高知などの四国地方でも、和三盆の原料となる竹糖(たけとう)や竹蔗(ちくしゃ)と呼ばれる茎が細いサトウキビ(中国サトウキビ)が栽培されています。四国地方の収穫期は、11〜12月です。
サトウキビの作型ごとの栽培期間
サトウキビの作型は、主に3種類。
春(1~3月頃)に植えて翌年に収穫する「春植え」と、夏(8〜9月頃)に植えて翌々年に収穫する「夏植え」は、苗から発芽させる「新植栽培」に分類されます。
一方、収穫後の切り株から直接芽を出させる栽培方法は「株出し栽培」と言います。
春植え
「春植え」は1~3月に植え付けを行い、翌年の1〜4月に収穫します。約1年と、比較的短い期間で収穫できるメリットがありますが、育成期間が短いため収量は多くありません。
夏植え
「夏植え」は7〜9月に植え付け、翌々年の1〜2月に収穫します。翌年の収入が得られないデメリットはありますが、育成期間が約1年半と長いため、収量も多くなります。
株出し
株出し栽培は、春植えや夏植えの収穫後に残した根株(親株)からそのまま発芽させ、翌年の1〜3月に収穫する栽培方法です。植え付け作業がはぶけるメリットに加え、発芽伸長が速く生育も促進される点が最大のポイントです。
育成期間は1年と短いですが、春植えよりも多収が見込めます。株出し栽培は、通常2〜3年間続けられると言われています。
サトウキビの栽培方法についてはこちらをご覧ください
「サトウキビの栽培方法を教えてください!」
自分に合った作型を選びましょう
サトウキビは、作型や植え付け時期によって栽培期間も異なります。
春植えは、収量は少ないですが、早く収穫したい人にはおすすめです。
一方で、夏植えは収穫まで時間を要しますが、収量を一番に考える方にはおすすめです。
株出し栽培は、苗の植え付けが省略できるので、できるだけ労力をかけたくない方におすすめの作型です。
それぞれメリットやデメリットがあるので、自分にあった栽培方法を選択しましょう。
このお悩みの監修者
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。