今までは本業があった為、時間がある時だけ親戚のマンゴー農家を手伝ってきました。
しかし、この春から腰を据えてマンゴー栽培に携わりたいと、親戚にお願いしました。
快く受け入れてくれ、これから本格的に手伝うことになっています。
とても楽しみですが、今まで簡単な手伝いしかしてこなかったため、知識が浅い部分があります。
「おいしいマンゴーには肥料は欠かせない」とは聞いていたのですが、肥料が必要な時期や種類、気をつける点などがあれば教えてください。
今までは本業があった為、時間がある時だけ親戚のマンゴー農家を手伝ってきました。
しかし、この春から腰を据えてマンゴー栽培に携わりたいと、親戚にお願いしました。
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橋本純子
株式会社アンファーム 栽培担当
マンゴーには緩効性肥料や有機肥料がおすすめ!年3回は施肥を
マンゴーにとって肥料は不可欠
甘くて大きなマンゴーの果実をたくさん収穫するために、肥料は欠かせません。
まずはマンゴーの肥料の基礎知識を確認しておきましょう。
施肥は1年に3~4回が基本
マンゴーに肥料を与えるタイミングは「1年に3〜4回」が基本です。
栽培1年目と2年目以降や、各生育段階によって与える目的は異なります。しかし回数は共通です。
またバランスよく成分配合されている肥料が1つあれば、その都度使い分ける必要はありません。
肥料を与えないとどうなる?
肥料を与えずに栄養分が不足してしまうと、葉の色が薄くなったり、生長が遅くなったりすることがあります。
花芽も出ないこともあります。
マンゴーの花を咲かせる、果実を大きく育てるためには肥料は不可欠だと思います。
おすすめの肥料の種類と特長
続いてマンゴー栽培におすすめの肥料についてご説明します。
緩効性化成肥料
マンゴー栽培では一般的に「緩効性(かんこうせい)化成肥料」がよく使われます。
緩効性肥料の最大の特長は、じっくり土壌の中に溶け込み、効果がゆっくり現れ長期間にわたって持続する点です。
化成肥料とは、鉱物などの無機物を原料に化学的に作られた肥料のことです。
マンゴーの肥料には、NPK(窒素・リン酸・カリウム)の比率がそれぞれ均等、もしくはリン酸がやや多めの「5-7-5」の複合肥料がおすすめです。
緩効性化成肥料は肥料成分のバランスが良く、かつゆっくり効果が現れるので効率的に栽培管理できるというメリットがあります。
有機肥料
「有機肥料」もマンゴーによく使われる肥料の1つです。
化成肥料が化学的原料から作られるのに対し、有機肥料は自然由来の原料から作られます。
有機肥料には、鶏ふんや牛ふんなどの「動物性肥料」、油かすや米ぬかなどを発酵させた「ぼかし肥料」などの種類があります。
近年は環境にも優しいとして、有機肥料を使うマンゴーは市場でも人気が高まっています。
マンゴーに肥料を与えるタイミング
それではマンゴーに実際に肥料を与える時期はいつなのでしょうか。
当園のハウス栽培でのケースをご説明したいと思います。
1、若木には2か月間隔で4回を目安に
マンゴーの苗木を植えて1~2年目は、植え付け以降「2か月ごとに4回」追肥を与えてください。
ただし、冬は不要です。
例えば、4月・6月・8月・10月を目安にします。
当園では若木には緩効性化成肥料8-8-8を使用しています。
2、花芽分化と開花の時期
3年目以降のマンゴーの追肥タイミングは、その生育サイクルに密接に関連しています。
ハウス内の温度を15℃程度に加温し始めるとマンゴーが花芽分化(はなめぶんか、かかぶんか=気温や日長などの条件が重なり、新芽が花や果実に変化していくこと)の時期に入ります。
当園では加温の1ヶ月前くらいに最初の「花肥え」として施肥します。
3、果実肥大と摘果の時期
マンゴーの果実が大きくなり始め、摘果(てきか=栄養や果実のサイズ調整のため果実を間引くこと)の作業を行う時期に「実肥え」として施肥します。
この時期に追肥で栄養を補給すれば、マンゴーの収穫量と品質の両方を最大化することができます。
4、収穫後の「お礼肥」
マンゴーは収穫して冬が来る前に剪定をします。
冬が来る前に二芽、枝を生長させるのが理想的と言われています。
収穫後の植物は生長サイクルの中でも栄養を大量に消費しています。
また、次のシーズンに備えて樹を生長させなければならないので、剪定の後にお礼肥えをします。
当園では2回に分けて、施肥しています。
お礼肥えは花肥え、実肥えより量を多めに上げるようにしています。
ですが一度にたくさんの量をあげると、根が肥料成分で傷む可能性もあります。
なので、1回目と2回目の間隔を1ヶ月程度開けて施肥するようにしています。
マンゴーの「置き肥」のやり方
マンゴーへの肥料の与え方は「置き肥(おきひ・おきごえ)」です。
手順は文字通り、マンゴーの土の上に、肥料をできるだけ均等に置くだけで完了です。
このとき、土に混ぜ込んではいけません。
また、幹や根には肥料が直接触れないようにし、置き場所には適度な間隔を設けてください。
マンゴー栽培での肥料の注意点
最後にマンゴーの肥料の注意点をまとめました。
元肥は不要
マンゴー栽培では植え付け時の元肥を使いません。
栽培する土壌に腐葉土(ふようど=葉が微生物やバクテリアによって発酵・分解されたもの)と堆肥(たいひ=有機物を微生物の力で分解した農業資材)などを混ぜ込むことで、苗に必要な栄養が供給できます。
施用頻度や量を守る
量や頻度を増やさないように注意してください。
特に窒素が過多になると、樹勢が強くなりすぎて花付きや果実の品質に悪影響を与えることもあると言われています。
根が肥料焼けを起こさないよう、化成肥料は根元から離してまいてあげてください。
あと肥料ではないのですが、開花終期にホウ砂の散布は絶対に必要です(これ本当に大事です!)。
ホウ砂を散布することで奇形や割れを防ぐことが出来るので、施肥と同様に栽培スケジュールに組み込むことを忘れないようにしてくださいね。
マンゴー専用の肥料もありますが、ご自分が手に入りやすいものでマンゴー栽培に向くものを探されると良いと思います。
美味しいマンゴーが収穫できますようお祈りしています!
このお悩みの監修者
橋本純子
株式会社アンファーム 栽培担当
前職で仕事に役立てるためにAICに通ったことがきっかけで就農を志す。研修先の香 川県三豊市でアンファーム社長、安藤数義氏と出会い2016年株式会社「アンファー ム」に入社。アボカド産地化に日々奮闘中。アボカドの栽培を通じて地域と農業の魅力発信を行っている。