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マンゴー栽培には専用用土が必要?最適な土や準備方法は?

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マンゴー栽培には専用用土が必要?最適な土や準備方法は?

本州でマンゴーを育ててみたいと考えている農家です。

施設燃料費がかかるので、それ以外でできるだけ予算をかけずに始めたく、どこでコストダウンできるか勉強中です。

土は専用のものを用意したほうが良いのでしょうか?

橋本純子

株式会社アンファーム 栽培担当

マンゴーは排水性の良い弱酸性の土を好みます。簡単な自家配合でもOK

マンゴーの栽培用土についての基礎知識


まず初めにマンゴー栽培で使う土について、4つのポイントをお伝えします。

1、地植えも可能だが鉢植えが土壌管理しやすい


マンゴーは地植えでも鉢植えでも栽培できます。

地植えだと自然な環境で育てられますが、土壌を管理できる範囲には限界があります。

一方で鉢植えは、土の配合や水はけ、肥料などを細かく調整できます。

鉢植えは「根域制限栽培」とも言われています。

近年のマンゴー栽培はほぼこの「根域制限栽培」が主流になっています。


2、マンゴーは弱酸性の土を好む


マンゴーの栽培に最適なのは、ph(土壌が酸性かアルカリ性かを表す数値基準)値が「5.5~6.5」の範囲の弱酸性の土壌です。

同様の酸性度を好む作物にブルーベリーがあり、ブルーベリー用の土をマンゴーに活用するのも一案です。

当園では花崗土(真砂土)に腐葉土、パーライト、ピートモスなどを配合し、弱酸性の排水性の良い用土を作っています。

地植えの場合は栽培前に土壌phを測定し、結果に応じて農業資材を加えてベストな酸性度になるよう調整しましょう。

マンゴー栽培での肥料の与え方についてはこちらをご覧ください
マンゴーの肥料はどう選ぶべき?適切な施肥方法も知りたい



3、排水性が高い土壌が向く


マンゴーは水を好む果樹ですが、一方で過剰な水やりや過湿は根腐れの原因となります。

水をたっぷりあげても根腐れを起こさない排水性の良い土に植えてあげてください。

また熱や薬剤で消毒した土や市販の土を配合して使用すると、病害虫の発生リスクを低減できます。


4、マンゴー栽培専用の土もある


ホームセンターや園芸店、インターネット通販などでは、マンゴー栽培専用の土も販売されています。

専用の栽培用土は、あらかじめマンゴーに最適なphに調整されているうえ、適度な粒度(りゅうど=粒の大きさ)で構成されており、理想的な水はけ、通気性を備えています。

さらに必要な栄養素をバランス良く含んでいるため、初心者でも安心して使用できます。


マンゴー栽培の土の作り方


当園は有難いこと土壌が花崗土なので、腐葉土などを混ぜるだけで用土を作ることが出来るのですが、なかなかそういう場所はないかと思います。

なので花崗土が無い場合のマンゴー用土の作り方についてお話したいと思います。

赤玉土と腐葉土の配合


ホームセンターで購入できる小粒の「赤玉土(あかだまつち)」、「腐葉土(ふようど)」「パーライト」を用意してください。混合比率は「6:3:1」です。

赤玉土は「関東ローム層」から採れた赤土を砕いたもので、排水性・通気性に優れ、栄養分を蓄えてくれる効果があります。

一方腐葉土は、葉が微生物やバクテリアによって発酵・分解されたもので、マンゴーに必要な栄養を根にしっかりと供給します。

パーライトは火成岩から作る土壌改良材です。赤玉土と一緒に使用することで排水性をアップさせてくれます。

赤玉土、腐葉土、パーライトをバランスよく配合するのが、おいしいマンゴーをたくさん収穫するポイントの1つになります。


酸性度を高めるならピートモスを追加


弱酸性に近づけるために「ピートモス」を追加するのも効果的です。

ピートモスは沼地や湿地でコケや水生植物が泥状の炭になったものです。

本来は酸性度が高い性質を持ちますが、販売されているものにはpHを中性に調整したものもあります。

購入されるときに未調整の酸性のものを選んでくださいね。

ピートモスも腐葉土やパーライトと同様に土全体に均等に混ぜてくださいね。


堆肥の与え方


マンゴーは赤玉土と腐葉土のみでも栽培できますが、さらにこれに堆肥(たいひ=有機物を微生物の力で分解した農業資材)を加えることで、マンゴーにとってより栄養豊富な環境を作り出せます。

堆肥は「完熟堆肥」(有機物が十分に発酵・分解されたもの)を、腐葉土の一部を置き換える形で混ぜ込んでください。

マンゴー農家では牛ふん堆肥などがよく使われます。

なお肥料は、追肥(ついひ=植え付けた後で与える肥料)として与えます。

マンゴーには元肥(もとごえ=栽培前にあらかじめ土壌に与えておく肥料)は必要ありません。


植え付け時と植え付け後の注意点


最後に、苗を植え付けるときとその後の注意点を、以下にまとめました。

鉢植えの場合


苗を植えるときには10号鉢(直径が30㎝)に植えると良いでしょう。

樹が大きく育ってきたら徐々に大きなサイズに植え替えてあげてください。

根が鉢いっぱいになって根詰まりすると樹勢が弱まったり、生長が止まったりします。

樹の生長に合わせて徐々に鉢のサイズを大きくされるのが良いと思います。

ちなみに当園の場合は10号→45~60ℓポット→100ℓポットと3段階に鉢を大きくしています。

それぞれの樹が十分な日光や風を受けられるよう鉢の間隔も空けて配置してください、当園では3~4m程度の間隔を取っています。

果実の収穫や薬剤散布、他諸々の栽培管理もしやすくなります。

また、風通りを良くすることで病害虫の被害や感染拡大を抑えられます。


苗が根付くまではしっかり水やりを


マンゴーの苗を植え付けた後、根がしっかりと土に根付く(=活着・かっちゃく)までの間は、特に水やりに注意が必要です。

土が乾かないよう水を与えてください。

とはいえ過剰な水分は根腐れを起こす可能性もあるので、「土の表面が乾き気味になったらたっぷりと水を与える」イメージであげてくださいね。

このお悩みの監修者

橋本純子

株式会社アンファーム 栽培担当

前職で仕事に役立てるためにAICに通ったことがきっかけで就農を志す。研修先の香 川県三豊市でアンファーム社長、安藤数義氏と出会い2016年株式会社「アンファー ム」に入社。アボカド産地化に日々奮闘中。アボカドの栽培を通じて地域と農業の魅力発信を行っている。

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