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みかん栽培をやることになりましたが、土壌管理はどうすべき?

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みかん栽培をやることになりましたが、土壌管理はどうすべき?

造園業を営んでいますが、親戚のみかん農家が高齢で引退すると言いだしたので、替わりに譲り受けることになりました。

先日、初めて畑を見に行かせてもらったのですが、立派なみかんの木が生えていて、とくに問題はなさそうだなと感じています。

しかし、親戚からは「土壌の管理はしっかりやりなさい」と言われました。

基本的な知識はわかっているつもりですが、みかん畑となると、あまり自信がないです。

基本から具体的な管理方法までレクチャーしていただきたいです。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

みかん栽培では、排水性と保水性を兼ね備えた土壌が適しており、排水対策や肥料の施用で土壌を管理します

みかん栽培に適した土壌


みかん栽培では、排水性と保水性を兼ね備えた土壌が適しています。

また、年間平均気温は15度以上で、冬の最低気温はマイナス5度以下にならない環境が適しているため、年間を通して安定した気温の環境で栽培されている傾向です。

みかん栽培を行う前には、まずみかんが育ちやすい土壌環境にします。

根が生育しやすい環境を作るために、まずは以下のような対策を行っておきましょう。

・土壌の排水対策
・堆きゅう肥の施用

・肥料の施用

栽培期間や北限についてはこちらをご覧ください
みかんの栽培地の北限はどこ?
みかん栽培の適地って?どんな場所だと適しているの?



排水の対策


土壌の排水性が悪いと、通気性が悪くなってしまいます。

通気性が悪いと、根が吸収するための酸素の吸収が滞ってしまい、根腐れを起こしてしまう可能性があります。

そのため、以下のような方法で、土壌の排水対策を行う必要があります。

・(地下水位の高いような場所では)暗きょの設置
・作業道の溝切り(明きょの設置)

梅雨時期や集中豪雨の際にも、水がたまりにくい環境を作ることが重要です。

まずは、梅雨時期や集中豪雨の後に、みかんを栽培しようと考えている場所に行って、水が溜まっているか、排水されているか確認しましょう。


堆きゅう肥の施用


みかん栽培では、一般的に冬場に堆肥を施用します。堆肥を施用することで、以下のような効果が見込まれます。

・保水性・排水性が良好になる
・腐植が増加して保肥力が高まるなど

このように堆肥を施用することによって、みかんの生育が順調に進むような土壌環境を整えます。


肥料の施用


みかん栽培では、春、夏、秋の3回に分けて肥料を与えるのが一般的です。

肥料を使うことは、以下のようなさまざまな効果が見込めます。

・樹勢の安定や果樹の生育を促す
・安定した収量を確保し、品質の良い果実を生産する

安定的に高品質なみかんを生産するために肥料の施用を行いましょう。

肥料は、窒素(N):リン酸(P):カリウム(K)の配合肥料を使うと良いです。

みかん栽培に適した肥料についてはこちらをご覧ください
みかん栽培時に行う肥料の施用法を知りたい



みかんの適正pH


みかん栽培に適した土壌環境にするためには、適正pHを把握しておきましょう。

土壌pHは、土の酸性やアルカリ性の度合いを示す数値で、数値が低いほど酸性に傾いており、数値が高いほどアルカリ性に傾いています。

みかん栽培の土壌の適正なpHは、5.5前後の弱酸性土壌です。

あまり酸性に傾いている土壌では、生育に必要とされる成分の吸収率が低くなってしまい、順調に生育しない場合があります。

pHの調整方法


土壌のpHは、測定機を使えば土に直接機器を指すことで測定することができます。

・酸性土壌をアルカリ性にする(pH5.5~6.2以下の場合)→石灰資材(アルカリ性資材)を土に入れる

・アルカリ土壌を酸性にする (pH5.5~6.2以上の場合)→ピートモスのような土壌改良資材や、「硫安」「塩安」「硫加」などの酸性肥料を土に入れる


酸性をアルカリ性に戻すのは比較的容易ですが、逆にアルカリ性を酸性にするのは難しいため、酸性肥料の施用過多には注意しましょう。


みかん栽培時では定期的な土壌管理が必要


みかん栽培では、土壌を作って植え付けが完了したあとも、適切な土壌管理が重要です。

みかんのような果樹類は、植えつけから長い栽培期間を経るため、栽培中に土壌の状態が変化する可能性があります。

そのため、定期的な土壌診断を行うと良いでしょう。

土壌診断の結果から、適正pHかどうか、不足する分を確認します。

土壌の状態に応じて必要な土壌改良や施肥を行うことで、適した環境でのみかんの生育が見込めます。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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