みかん栽培時に行う肥料の施用法を知りたい

みかん栽培では、植えつけ後、収穫後などのタイミングで生育ステージに適した肥料を与えます

みかん栽培で肥料を与えるタイミング

みかん栽培では、春、夏、秋の3回に分けて肥料を与えるのが一般的です。

・春肥
・夏肥
・秋肥

それぞれ、肥料を与える目的も異なる仕組みです。具体的なタイミングと肥料を与える目的について見ていきます。

春肥

春に肥料を与えるのは、今年の果実生産に向けた準備のためです。

地温が12℃以上になる3月下旬〜4月上旬ごろに行います。

翌年の母枝となる新梢を作るだけではなく、開花や幼果の肥大化を促進する目的で行われます。
（みかんは今年発生した新梢が来年の母枝となります。）

夏肥

夏肥は、主に5月〜7月下旬にかけて施用します。

ただし、品種によって若干の前後はあるので注意してください。

また、収穫時期の早い極早生温州などは、夏肥を行わず、春肥と秋肥の2回だけの施用の場合もあります。

夏肥を行うことで、果実の肥大や発根の促進だけではなく、翌年の着果量安定にもつながります。

秋肥

秋肥は、収穫直後から11月頃にかけて行うケースが多いです。

収穫後の樹勢回復や、冬を迎える前の耐寒性の向上を目的として行います。

みかん栽培に適した肥料

みかんの栽培時には、以下の成分が入った配合肥料を与えます。

窒素(N)	光合成によって作られるデンプンからタンパク質を合成するための元素。 窒素の供給量に応じて吸収量が増える
リン酸(P)	植物の生命維持に重要な元素。 みかん栽培では、樹体よりも果実へ移行する割合が多い
カリウム(K)	葉からの水分蒸散の調節に関与する元素。 根張りを良くして植物を丈夫にし、寒さや病害虫からの抵抗を高める

それぞれの成分は果実の生育や樹勢の安定に欠かせません。

生育ステージや時期ごとに与える肥料の量

みかん栽培では、生育のステージや季節ごとに与える肥料の量が異なります。

成木の場合は1本あたり、窒素(N)：リン酸(P)：カリウム(K)= 8：8：8の配合肥料を年間3～4キロほど与えます（4m×4m植えで10a当たり約60本植えと考えた場合）。

・春肥：2キロ
・夏肥：1キロ
・秋肥：1キロ

※成木1本あたり

また、幼木の場合は、成木よりも少ない肥料を与えます。

1～2年生	成木の3割程度
3～4年生	成木の5割程度
5～8年生	成木の7割程
10年目	全量

幼木の間に成木と同じ量の肥料を施用すると、生育不良を招く可能性もあるので注意しましょう。

肥料を与える際の注意点

みかん栽培時には、肥料を過剰に施用しすぎないように注意しなければいけません。

窒素(N)	窒素の供給量に応じて吸収量が増えるため、過剰に施用すると品質低下のおそれがある
リン酸(P)	過剰に施用すると、微量要素の吸収が阻害されるため、亜鉛や鉄の不足が誘発される
カリウム(K)	過剰に施用すると、マグネシウムの吸収量が減り、タンパク質の合成に支障をきたす

また、施用しすぎだけではなく、不足している状態でも生育不良や着果数の減少・果実の食味低下の原因につながります。

いずれも、樹や土壌の状態を見ながら調整を行い、肥料の過不足にならないよう注意しましょう。

栽培に適した土壌やPhについてはこちらをご覧ください
「みかん栽培をやることになりましたが、土壌管理はどうすべき？」