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みかん栽培で苗木を増やすには「挿し木」より「接ぎ木」が主流?コツや具体的な方法を知りたい

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みかん栽培で苗木を増やすには「挿し木」より「接ぎ木」が主流?コツや具体的な方法を知りたい

これまで果菜類を育ててきましたが、隣の圃場を借りられたので、新しくみかん栽培を始めてみようと思っている新米農家です。

いまはまだ、栽培方法に関する情報収集をしている段階です。

まず、みかんは苗木を購入して栽培しようと思っているのですが、そこからどうやって苗木を増やしていくのか、わかりません。

挿し木、接ぎ木と色々と専門用語が出てくるのですが、いまいち文章だけでは方法がわからず、うまくできる自信がないです。

もう少し地域に馴染んだら近所のみかん農家さんに聞きに行こうと思っているのですが、その前に自分なりに理解しておきたいので、苗木の増やし方の一般的な方法を教えてください。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

みかんの苗木を増やす方法は「挿し木」ではなく「接ぎ木」がおすすめ

みかん栽培における接ぎ木の役割とは


みかん栽培における挿し木とは、みかんの枝を用土に挿す作業ですが、苗木を増やす方法は「接ぎ木」が一般的です。

挿し木は、一般的に草本性の植物(例えば、パッションフルーツなど)であれば成功しやすいですが、みかんのような木本性の植物は枝を挿しても発根しづらいと思われます。

そのため、苗木を増やしたり、新しい品種を導入する方法として接ぎ木が一般的に行われています。

接ぎ木は、みかんの樹の中に切れ込みを入れて、切り口に枝を繋げる方法です。

その後、幹に差し込んだ枝をテープで固定し育てていきます。

カットした枝を用土に入れて育てるのではなく、既にある樹の力を利用して大きく育てることを目的とします。

しかし「接ぎ木」自体の難易度は高く、新規就農される方にとってハードルが高いとも言える方法です。

接ぎ木の種類


接ぎ木をするためには、「台木」と言って接ぎ木をするための元の台(樹)が必要となります。

次に皆さんが育てたいと思っているみかんの品種(種類)の枝(穂木)を持って来て、この「台木」に繋げます。

このように、みかんは「台木」と「穂木」の結合体となります。各々の形成層(黄緑色の部分)同士を繋げます。

接ぎ木の説明

接ぎ木には大きく分けて枝接ぎと芽接ぎがあります。

1、枝接ぎ


苗木を育成したい場合、カラタチという台木用の種子をまいて台木を育てます。

地際部の太さが鉛筆大~小指程度の太さになったら接ぎ木をします。

穂木は皆さんが育てたいみかんの品種の枝を持って来てください。

接ぎ木の様子を下記に写真で紹介します。写真はみかんではありませんが、接ぎ木の方法は同じです。

<接ぎ木の基本的なやり方>
1、台木を地表5cm程度の高さで切りましょう。
台木を地表5cm程度の高さで切りましょう

2、穂木は枝の中央部の充実した部分を使いましょう。
穂木は枝の中央部の充実した部分を使いましょう

3、穂木には1~2芽つけ、基部の3cm程度を接ぎ木ナイフで表面を削るようにそいで、形成層を見えるようにしましょう。
穂木には1~2芽つけ、基部の3cm程度を接ぎ木ナイフで表面を削るようにそいで、形成層を見えるようにしましょう

④削った反対側は1 cm程度、45度くらいの急な角度で斜めに切りましょう。
削る前削った後
                        
5、穂木の形成層の幅と同じ幅になるように、台木の部分を接ぎ木ナイフでまっすぐ下に切りましょう。
穂木の形成層の幅と同じ幅になるように、台木の部分を接ぎ木ナイフでまっすぐ下に切りましょう
                       
6、5で切り込みを入れた台木の部分に、台木と穂木の形成層をあわせて穂木をさし込みましょう。
⑤で切り込みを入れた台木の部分に、台木と穂木の形成層をあわせて穂木をさし込みましょう

7、台木と穂木を接ぎ木テープ(下記写真参照)でしっかり固定しましょう。
台木と穂木を接ぎ木テープでしっかり固定しましょう

8、接ぎ木用の伸長性のあるテープ(メデール(下記写真参照)またはパラフィルム)で、テープを伸ばしながら接ぎ木部分をしっかり縛り、穂木全体を覆いましょう。
接ぎ木用の伸長性のあるテープ(メデールまたはパラフィルム)で、テープを伸ばしながら接ぎ木部分をしっかり縛り、穂木全体を覆いましょう

9、接ぎ木部分をテープなどで固定した後は、茶封筒などを被せて直射日光を避けましょう。
接ぎ木部分をテープなどで固定した後は、茶封筒などを被せて直射日光を避けましょう

その樹の品種と異なる品種を育てたい場合接ぎ木の方法は、上記とまったく同じです。

ただ、太い枝をばっさり切って、そこに皆さんが接ぎ木したい枝を繋げます。

下記の写真はすべての枝に接ぎ木していますが、1本の太い枝だけに接ぎ木して他の太い枝は元の品種のままでも問題ありません。販売等する時に品種を間違えないよう注意してください。

参考までに下記の写真のような接ぎ木方法は、枝接ぎですが、その中で高接ぎというものです。

高接ぎ


芽接ぎ


先ほどの枝接ぎでは、接ぎ木する穂木が下記写真のように2芽ほどついた状態で接ぎ木をしました。

2芽ほどついた状態での接ぎ木

しかし、芽接ぎでは、1芽だけをきりとって、下記のように台木に接ぎ木します。

台木に接ぎ木している図
※果樹園芸学 朝倉書店 米森敬三 編集 2015 P65より引用

芽接ぎは、効率的に多くの芽を使って接ぎ木ができます。


接ぎ木の時期


1、枝接ぎ


一般的にみかんの接ぎ木は暖かくなってくる3月末ごろから始めます。

穂木は、春に発芽してくる前にとって、冷蔵庫等で保管しておきます。

穂木の保管は、乾燥しないように枝を新聞紙でくるんで、ビニール袋等で密封し、冷蔵庫の野菜室等で保管します。

冷蔵庫の野菜室以外で保管しておくと凍る心配がありますので、野菜室が良いかと思います。


2、芽接ぎ


一般的に8月下旬から9月上旬に行います。

接ぎ木時に芽を削って接ぎ木します。


接ぎ木の準備(台木含む)


最初からすべてご自身で接ぎ木される場合は、まずは台木を準備しましょう。

一般的にみかんの台木はカラタチを用います。

したがって、カラタチの種子をまいて台木を作る必要があります。

しかし、カラタチの果実はあまりみかけないかと思いますので、種子をまくといっても難しいかと思います。

その場合は、カラタチの台木を購入して接ぎ木するのも一つの方法です。

一番、皆様方が取り組みやすい方法は、すでに結実しているようなみかんの樹の枝を切って、そこに新しい品種の枝を接木するのが、取り組みやすい方法だと思われます。


接ぎ木をする際の注意点


・ご自身でカラタチの種子をまいて、台木を育成し、接ぎ木される場合
・カラタチ台を購入され接ぎ木される場合


上記の場合は、ポットの苗木だと思われますので、下記のことに注意して下さい。

接ぎ木をする日が決まっていれば、接ぎ木の2~3日前からは水やりは控えましょう。

台木のポットの土に水を多く含んでいる場合は、台木が水を吸収して、接ぎ木してもテープで固定しているところに水がたまりカビが生えて失敗する原因になります。

接ぎ木後は、ポットの土をみながら表面が完全に乾けば、少しずつ水やりを始めましょう。

最初は大量に水やりせず、表面が少し湿る程度で良いです。

その後、徐々に水やりの量を増やして元に戻していきましょう。

接ぎ木後は、直射日光を避けて下さい。

できれば、遮光ネットの下にポットを移動するか、接ぎ木部分に茶封筒をかけて直射日光が当たらないようにしましょう。

接ぎ木する際の最重要点は、下記の図のように台木と穂木の形成層(黄緑色の部分)
を合わせることです。

台木と穂木の形成層(黄緑色の部分) を合わせている図
※だれでもできる 果樹の接ぎ木・さし木・とり木 上手な苗木のつくり方 小池洋男 編著 農文協 2007 28ページから引用

しかし、実際は、台木と穂木の太さが異なりますので、上記の図のように2ケ所の形成層が重なることはごくまれです。

一般的にはどちらか一方の形成層だけ合わされば接ぎ木は成功します。

一度皆さんも接ぎ木にチャレンジしてみましょう。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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