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これからレモンの栽培に挑戦したいと考えている新規就農者です。
普段はブルーベリーをメインに栽培・出荷していますが、収穫時期である9月を過ぎた後の収入に不安を感じ、レモン栽培を検討しています。
収穫時期が10月以降であるレモンを育てるのが最適だと思い、準備を進めていますが、これまでレモン栽培をしたことがないため、土台である土作りの方法が分かりません。
レモン栽培における土壌作りについて教えてください。
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前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
レモン栽培の土作りは、赤玉土6：腐葉土4：苦土石灰一握りの割合で配合しましょう
レモン栽培の土作り1：保水性を与える赤玉土
ブルーベリーは、作物のなかでは珍しく酸性土壌を好みますが、レモンは多くの作物同様、弱酸性土壌を好む作物です。ブルーベリーとは、土壌のphが異なりますので、栽培には気をつけましょう。
レモンの土作りにおいて、保水性を高めるためには「赤玉土」が欠かせません。
赤玉土は、関東ローム層の赤土や火山灰で構成された弱酸性(ph6.0)用土です。レモン栽培に使用する場合は、用土の6〜7割の量を混ぜ込みましょう。
赤玉土は粘土質であるため、「保水性」や「保肥性」が高い特徴があります。
また、赤玉土は無機質で、自然の有機物物質を含んでいないため、菌や害虫が繁殖しにくいという特徴もあります。
なお、赤玉土は、水や風雨にさらされると風化が起こり、赤土に戻ってしまいます。排水性が低下し「根腐れ」のリスクも高まるため、定期的に土がどのくらい湿っているかを確認しましょう。
レモン栽培には小粒の赤玉土がおすすめ
レモン栽培に使用する赤玉土は、小粒タイプのものを使用しましょう。中粒・大粒よりも保水性が高く、程よい排水性もあるからです。
また、レモンの株を植えた際に安定しやすく、抜けにくいというメリットもあります。
レモン栽培の土作り2：排水性を与える腐葉土
腐葉土とは、落ち葉を微生物や土壌生物などが分解することで作られる中性(pH6～7)の改良用土・補助用土です。
腐葉土は「通気性」「保肥性」「保水性」が高い堆肥です。有機物を分解する微生物が多いため、レモンを栽培する土と混ぜることで微生物が増殖し、ふかふかの土を作り出します。
分解しきれていない葉が含まれているため、小さな空間が生まれて通気性・保水性をもたらします。
レモン栽培の土作り3：酸性土壌のphを矯正させる苦土石灰
レモンは弱酸性の土壌を好むため、生育適正ph（土壌酸度）は5.5〜6.5程度を保つ必要があります。酸度が上がってきたときには苦土石灰を施用して適正なphを保ちましょう。
レモン栽培の場合、土壌のphを1上げるためには、1平方メートルあたり苦土石灰を200g(一握り)程度を与えるのが適量となります。
また、苦土石灰には、苦土（マグネシウム）と石灰（カルシウム）を含む肥料で、作物の根を強くしたり、葉の色を良くしたりする効果もあります。
作物の種類によって土壌の適切な phが異なります。土壌酸度計でのpHを計測しながら散布すると確実です。
レモン栽培は肥料の追肥も重要
レモンは肥沃な土壌を好み、有機質が多い土壌で栽培することで、果実の収穫量の増加が期待できます。
レモンを結実させる時期になると、春肥（3月）、夏肥（6月）、初秋肥（9月）、晩秋肥（11月）と可能な限り、細かく分施することが望ましいです。根が吸水できなくなり枯死してしまう「肥料焼け」のリスクが高まるため、土中肥料濃度に注意しましょう。
結実時期のレモンへの追肥は、上記のように4回に分けて、根元から1〜2メートル離れた場所へ、10a 当たり窒素成分で、各々10キロ、12キロ、10キロ、8キロずつ有機質肥料を散布しましょう。
特に冬場は、レモンの木周辺に堆肥を散布することで、根の張りが良くなる効果があります。
レモンの栽培方法や施肥についてはこちらもご覧ください
「レモンの栽培方法について教えてほしい」
「レモン栽培における追肥のやり方を知りたい」
「レモンを栽培する際の肥料や施肥のタイミングについて詳しく教えて」
このお悩みの監修者
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。